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第13章 新入社員と改革のススメ

第490話 ユニット工法は本来クレーンが必須。

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そしてしばらく待つと…太った男とそして、筋肉質ではあるが…歩き方が異様な男がやってきた。護衛の一団もいたため、町は騒然としていた。
「あらあら…まあまあ…あなたがイーハ商会ね。確かに言われた紋章があるわね。」
 その後ろの男は、くねくねと女性らしいしぐさをしているが、筋骨隆々の男であり、その異常さは…兵士たちは慣れているが、柳田には気持ち悪く映った。
「はい、イーハ商会のウルフェと申します。しばらくすればイーハ本人も参ります。それを持って着工いたします。」
「…これは計算外だわよねえ。公爵様。」
「で、これをどうするつもりだ?」
「はい、先日工程表は提出いたしました。なので、私たちは計画に基づいて来ています。もし聞いていないなら…。依頼は破棄されたとして引き返します。」
「それは本当か?」
「…しかたないわねえ。確かに言ったわよ。ここで向こうのお偉いさんを迎える、快適な建物が欲しいんでしょ?それで頼んだのよ。建築がうまいやつを。で…。」
「これは?」
 公爵らしい男が。巨大な荷物を指さす。
「確か工程表があるけど、家のかけら…だそうよ?」
「は、こちらにはこの完成させた家の数々をつなげ…一個の家にするので…。」
「丈夫なのか?」
「ちゃんと組木工法を用いた、木々の接合等を行い衝撃に耐える丈夫な家になる予定です、もしよければ見学していただければ…。」
 30人の御者たちが下りてきて…。
「…いいわ。完成を楽しみにしているわ。」
 少しウルフェを睨みつけると…男たちは去っていった。
「…怖くないのか?あいつは・・。」
 柳田も知っている、スキュラの戦闘担当の大貫だった。顔もばれているはずだが…外見で騙されてくれたようだった。
「誰が相手だろうが…。やらねばならないことがあります。ここからが問題です、早くしないと完成しませんから。皆さん、ここからが本番です、よろしくお願いします!」
「「おう!」」
 
 ウルフェはやることは結構多い、実際魔法を使わない”ユニット工法”には一個の欠点がある。それが”棟上げ”だ。ユニットで作った部屋を揺らさずに横に置いたり、上に置いたりする本来これには多大な腕力を用いる。ので、
「息を合わせていきますよー。」
 緊急で鉄の柱を立て、その上に滑車を置き、ロープを使い引き上げる。そのあとその下に突貫で台を置き滑車で重さを軽減しつつ横移動可能な場所を設置、そのままずらして移動させ…そして所定の位置につくと、それを滑車で気持ち程度に上げて、組木のほぞに差し込み…その後に木くぎを穴をあけて打ち込み、くさびを入れて固定する。こうすることで木造建築が完成する。今回は3×4マスの部屋建築の上に従業員用の小さい住まい2階建てと厩舎…この地方では狩りに狼を使う風習があり、厩舎が欲しかった。それの建築をお香予定で、2Fまでの組み立てを
行っている。ゴーレム車30台の内、3×4=12個のの部屋と廊下付きの部屋をつなぎ合わせ目的の建築を作り、厩舎、従業員建築で三つ。屋根用の資材で三つ。後は舘内部に置く家具である。
「こういうのに詳しいのか??」
「マスターからの教育もある。建築関連を学んでいる。」
「魔法無しでここまでやるとか…。」
 町の人間もあまりに珍しい建て方と、素早くできていく貴族の建築に、人だかりができていた。そのため大貫の視線だけが恨めしい…嫉妬の目線がより強く刺さった。それ以外はかなり速いペースで建築されてきていた。自分も手伝ってたが、こうも簡単にできてい杭建築物に…違和感を持っていた。建築して三日目の夜に、馬車に泊まっている。ウルフェの元を柳田が訪れて、料理と酒を持ち込んでいた。ウルフェは盗難防止用に見張りを兼ね、ゴーレム車で警備にあたっていた。
「今回の案はマスターが一から説明していた。私も実験してみて…半信半疑だった。最初は。」
「そうなのか?」
「当然だ。あんな大きなものつるつる上がる様を見て驚かないはずがない。」
 大きく頷くが、確かに…。そう言う滑車やてこの原理さえここでは使われていないという事を柳田は思い出していた。
「ふむ、そう言えばそう言う力学関連の知識は確かにないな…そう言う教科書があってもいいな。」
「力学?」
「物を動かすのが力。そう言う動作とかの学問だ。やろうと思えば…軽く手合わせするか…。」
 柳田がゴーレム車を降りると、ウルフェも降りて、外にいた。この世界の住人は夜になると、明りをけちって基本寝る。井原の解析だと地球換算で48時間あるこの世界の時間だが・・・住民の仕様のされ方は24時間の頃と変わらず…。燃料もそう多くないため、夜は暗く…そして誰も外に出ないのだ。夜に活動できる種族がここで有利な理由である。
「いいのか?」
「私はそう言う無学の類を見るのが嫌いだ。それにだ、この程度教えても…。何にも変わらん。」
 ただその中においてウルフェの狼としての特性である”夜目”やリッチの”夜間目視”は夜においても昼と変わらない明るさを誇っていた。
「力学は慣れれば武術にも使える。移動や…例えば馬車はなぜ走るのかとか…。そう言うのに使える。」
「そう言われてみれば…。」
 柳田がすッと構えるのを見て、軽く中腰の姿勢になる、これがウルフェの戦闘姿勢だ。ただウルフェはそう言われてみれば、なぜゴーレム車の車軸が円で,重たい荷物が運べるのか。とかそういう事を知らなかった。そして柳田が無言ですっと拳で正面を突くので、それをウルフェは軽く受け止める。
「普通に殴ればこうだ。が…。」
 一歩下がり構えを変えての一撃はその普通のスピードとは違い、早く思い一撃が、ウルフェの手の中に納まった。
「!!」
「こうなる。これもれっきとした力学だ。拳に体重を乗せ、そして反動を利用した一撃だ。動物の多くはこうした一撃を無意識的に体現するが。人間は発展させる。てこの原理や様々な、方程式が力を…そして流通に力を与える。」
「…そうなのか?」
「ただ、この原理には今現在凶悪な穴がある。…魔法だ。」
「…。」
「魔法やスキルでどうして体の重さ以上の力が出るのか。又骨の状態の人間が筋肉無しで筋肉があるのと一緒の力が出るのか、その謎は解けていない。」
「…。」
「だが、これはれっきとした武術にも応用ができる事は実感している。結局どんな原理を言おうが、それを成すなら…そこに言葉はいらない。」
「変わった人だ。」
「まあな…。ただ、井原…面白いやつかもしれん。」
「マスターは偉い、そう信じています。」 
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