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第13章 新入社員と改革のススメ

第483話 強者を見た者は焦るか、すり寄るか

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 ダンジョンの狩人強化はアイディアが出なかった。弓矢の導入も魔法の規制もあり…鳥海ほか、討論を重ねていくが、結論が出そうになかった。その中で考えたのが…ポーションの販売である。普通なら無理だろうが…スパイとして存在している。どうもポーションには特殊な草が欲しいらしくその草と…錬金術のスキルをモンスター含み学校で習わせ…検証している。もう一つ回復には”聖女水”とやらがあり、傷が治るらしいのだが…。結構微妙だ、主にネーミング。南の外見は銅みても絶世の美女な事もあり、なんかいかがわしく見える。そして効果もあるが…
水に防腐対策の”エンソ”が入っていない疑いがある。すなわちこれ、結構速く腐る。水が腐った際の食中毒は水アレルギーを引き起こしやすく、特に気を付けねばらならない病気だ。なのでポーションを習わせ、ポーションを導入することにした。あちらは密閉容器次第だが2週間持つので、勇者大陸では教会では聖女水、ダンジョン内ではポーションのほうが貴重視される。食肉ダンジョンのけが人放置や威力増強のためになるとは思えないが…これは必須だと思えた。ポーションは人間の為にあるんじゃない。ダンジョンの為にあるんだ。皮肉にもそう思えた。
「井原、仕事だわさ。」
「…なんだ?」
「スキュラからの会談要請だわさ。事前交渉にあんたも出るだわさ。」
「…すぐにだな。」
 パーティから一週間と言えば、遅い方だが、魔王バトル終了から一日と言えばかなり早い方だろう。…大方魔王バトルで焦っていると思っての交渉だろう。実際そう言う動きが活発化してきていた反亜人同盟急先鋒月下の庭園の敗北。そして、圧倒的な”コクヨウ・鬼ちゃん・春宮一家”の実力だ。最初はどうも春宮一家含む楽園が弱いかもと言われていたが、実際は実力も我々から乖離しているほどに強く…。交渉可能な事だけが…攻略の突破口と言われ始める始末。勇者も”極悪棍棒”や”レーザー勇者”、”魔龍王(UR)勇者”とかいう化け物など多彩な戦力だった。それまで亜人に一定距離を取っていた…スキュラの焦りも理解できる。
 もう一個不気味なのが、わが大陸の北に位置する”パンダ同好会”だ。あそこには柳田がいる。そして実はパーティの情報だとフォレスタ大陸と呼ばれたわが大陸の状況は北部、南部で全く違う。フォレスタ大陸南部の”大森林”は太い木々と生物の匂いのしない森が有名で。人間が生存できない厳しい環境となっている。動物も厳しく、その為、開拓は半分諦め、鳥海が取りを放って遊ぶくらいしか…何もできない機微い土地だ。ついでに数件インスタンスが発覚した程度でそれ以外のダンジョンさえ生えない厳しい生存競争だ。が、北部は違う。その偏った生態系は北部においては”大森林入り口”と呼ばれるオーガ、ゴブリン連合軍率いる”大部族“、そして中層はこちらで言う魔物クラスがひしめく凶悪森林そして野良ダークエルフ(言語通じない)による大森林都市。奥まで飛行で偵察しようと思ったら跳躍した20mの猫に食われた話がある…”大森林・深部”など、自然は豊かだが非常に厄介な生き物と、どうもインスタンスダンジョンも固まっており、ある意味大魔境の様相を呈した…地獄らしい。そこでダンマスをかき集めていると聞いた。これに対するは白の旅団。黒の獣率いる。ダンジョンマスター9名であるが、一部族を抑えるが手いっぱいで一進一退らしい。人間も巻き込んで生存権を広げているが・・。大森林は相当厄介らしい。その上国内は分裂。
 …ひでぇ。これでは大方こちら攻めてくることはないだろう。が、そこと隣接しているのが…またも出てくる”スキュラ”そして”ドラン”だ。そりゃあ、この環境ではいろいろ疑うわ。謝罪して…受け入れてもらえるか不明だ。その中においてスキュラが動いた。という事である。
「こっち来るだわさ。」
 引き連れられ来たのは…一応対外的会議室”大使館”の一室をバトルに指定して、ダンジョンバトルとなった。まあ交渉だが…。
「すぐに話ができるとは思わなかっただがや。」
「こちらは…。」
「改めて、よろしくお願いしますだわさ。こちらを。」
 鳥海が名刺を出すと、海川、そしてそのお付きの人間二人の顔が焦る。当然だ。この世界で紙を出すことができるのはごく少数だ。実は森魔法という魔法は”中位”に属する貴重なな魔法でかなり…信憑性が疑われた魔法の一つだ。そして大会で明らかになったもう二つの特殊魔法”化学魔法”と呼ばれるワードと。”雷魔法”と呼ばれる魔法だ。特に雷は予選会で一回しか使われなかったが。火力は最強であり、絶対命中である。欠点もあるらしいが、不明瞭で…この存在が明らかになってから調査部隊がいろいろ出たという。
「すまねえ。俺達に名刺がねえ。交換できなくて済まないね。」
 なんかお付きの人が
「改めて…俺は船のダンジョンマスター、相良だ。よろしく。」
 2ON2に合わせた、二人目のダンジョンマスターか。
「私は家のダンジョンマスター、井原だ。名刺は…実は習慣が無くて作っていない。」
 実際は作ってあるし、ダークボックスに控えてあるが、ここで恥をかかせる気にはならない。
「よろしく頼む…。あんたが3賢人の一人か…。すげえな。」
「オーダーメイドの予定があるなら言ってくれ。設計とかするからな。」
 ただ、鳥海と海川はあまりお互いいい感じではないな。こちらの相良は起き楽そうだが…実際海の男というイメージに感じた。
「今回はそこの井原を貸してほしいだがや。」
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