上 下
463 / 1,232
第12章 開発再び

第460話 取扱注意を守る前提は…一部では無理

しおりを挟む
 その次の日からは又作業だ。そう思わせる者がイーハ商会の出入り口に積まれていた。そう…。
「一応これは未成熟ゆえだわさ。」
 次の日の麻に返品されたのはこの”ボイスオルゴール”だ。返品率9割…俗にいう亜人同盟が配ったもの以外すべて返品されたことになった。
「どういう事だ?}
「流石にな…。」
「これは、アチシも考えていなかっただわさ。もっと対策を練るべきだっただわさ。」
 そう一応このボイスオルゴール。手渡す時に”壊れやすいので丁重に扱ってください”と言って渡していた。貴族だから大丈夫だと思ったが、それでも帰りのゴーレム車の車内や家に帰って歌を聞こうと思った時には肝心の再生部の魔石が砕けていたという。当然イーハ商会は数少ない”辺境公お抱え+国に定められた御用商人”である。なので、一応申し訳無い顔でこちらに返品して修理の依頼にするか…鳥海さんの所にも話が来たらしい。
「で、聞いただわさ、どうやって暑かったのか。そしたら、丁重に扱うと言って”1m上から叩きつけるぐらいで落としたり、どうも箱に入っていれば大丈夫だと、ゴーレム車の座席のぐらいから落としたとか…普通どう聞いても壊れるという扱いしかみんなしていなかっただわさ。」
「一応、30㎝上からなら落としても割れないのは確認してあったぞ。そこまで来ると、手でつかんでぶん投げたと一緒だぞ。それ。」
「だよな。」
「どうも低調に扱うというのは”手荒に扱っても後で、立派な部屋に飾れば丁重な扱いになる”と思っていただわさ。それがこんなに壊れやすいとは思わなかった。だそうだわさ。」
 なんだそれ。
「確かに今までの帝国での下賜品は鎧や剣が多かっただわさ。だから壊れやすいとは叩いて数回で壊れるという意味に映ったかもしれないだわさ。」
「そこまでくればジーショック並みの耐久力が保持位のだぞ。それでさえ魔石は割れるかもしれないのに。」
「後、魔石の出どころも結構聞かれただわさ。この石はどこで手に入るのかって事だわさ。」
「どういう事だ?}
「これを使えばより正確な手紙や指令ができるだわさ。だたそうなると材料を使って作るのを試そうにも、この材料を手に入れないとダメだわさ。それで問い合わせが…。」
 そう言えばそうだ。こういう声を録音しておけば命令や宣誓文などに及ばず司令などの伝文書類を確実に本人の物だと証明できる、声を似せるにしても限界がある。
そうして出来上がるのが、”偽情報に騙されない手紙”だ。そういう使い方ねえ…。
「ただ、高いぞこれ。」
「分かっているだわさ。それが悩みの種だわさ。」
 そう、これを作るには魔石が…かなりの大きさで欲しい。天然なら。そうでないなら、魔石成型を使い固めてもいい。ただ問題なのが、この”魔石を扱いスキル”そのものが特殊系であるって事だ。すなわち人間では無理。そして何よりこれを出土するダンジョンはこのマルワール帝国に無い。作っても…。大方発見までに数百年かかる恐れがある。となるとこのプロジェクトもダメだって事になる。え?亜人同盟の場所から買えばいい?これも問題が出てくる。それが”距離”の問題だ。塔やって取引した?そこまでの距離となると値段は?そうなってくると高額どころではない値段となり、イーハ商会で出すにしても、難しいって事になる。だからこそ…。
「今回手に入った分は輸入分だったことにしておけ。後全部回収して…そのままにする。」
「どういう事だわさ?}
「壊したものは壊したものだ。補填謎しない。それに割ったのは貴族が悪いはずだ。王から下賜された”丁重に扱うよう”指示された物を即日割って来るなぞ、貴族として、いや
人として間違っているだろう。そのことをだれも聞かなかったんだぞ?問い合わせれば当然…回答したはずだ。こちらに瑕疵無し。今後輸入したら加工して渡すと伝えておけ。」
「分かっただわさ。輸入だわさ。そう言えば隣のあの国からの輸入品が…。」
「ん?」
 そう、水木の国と魔王国を渡り、国交を蒸すんているのだが、こちらも”食糧輸出国”である、向こうも平穏な気候と豊かな台地が売りの”食糧輸出国”だ。しかも麦がメインだ。そうなると、地味に向こうから輸入する者はないって事になった。がこうなるときついな。輸入と言って思いつくのは当然水木の居る国だ。
「…そうなると隣の国から輸入した事にしないといけないって事か。魔石を。」
「そういう事になるだわさ。」
「頼みに行くか?水木に。」
「仕方ないだわさ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!

アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。 「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」 王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。 背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。 受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ! そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた! すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!? ※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。 ※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。 ※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。

前回は断頭台で首を落とされましたが、今回はお父様と協力して貴方達を断頭台に招待します。

夢見 歩
ファンタジー
長年、義母と義弟に虐げられた末に無実の罪で断頭台に立たされたステラ。 陛下は父親に「同じ子を持つ親としての最後の温情だ」と断頭台の刃を落とす合図を出すように命令を下した。 「お父様!助けてください! 私は決してネヴィルの名に恥じるような事はしておりません! お父様ッ!!!!!」 ステラが断頭台の上でいくら泣き叫び、手を必死で伸ばしながら助けを求めても父親がステラを見ることは無かった。 ステラは断頭台の窪みに首を押さえつけられ、ステラの父親の上げた手が勢いよく振り下ろされると同時に頭上から鋭い刃によって首がはねられた。 しかし死んだはずのステラが目を開けると十歳まで時間が巻き戻っていて…? 娘と父親による人生のやり直しという名の復讐劇が今ここに始まる。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 全力で執筆中です!お気に入り登録して頂けるとやる気に繋がりますのでぜひよろしくお願いします( * ॑꒳ ॑*)

婚約破棄はいいですが、あなた学院に届け出てる仕事と違いませんか?

来住野つかさ
恋愛
侯爵令嬢オリヴィア・マルティネスの現在の状況を端的に表すならば、絶体絶命と言える。何故なら今は王立学院卒業式の記念パーティの真っ最中。華々しいこの催しの中で、婚約者のシェルドン第三王子殿下に婚約破棄と断罪を言い渡されているからだ。 パン屋で働く苦学生・平民のミナを隣において、シェルドン殿下と側近候補達に断罪される段になって、オリヴィアは先手を打つ。「ミナさん、あなた学院に提出している『就業許可申請書』に書いた勤務内容に偽りがありますわよね?」―― よくある婚約破棄ものです。R15は保険です。あからさまな表現はないはずです。 ※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』にも掲載しています。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」

サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――

処理中です...