魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１１章 出向社員的ダンジョンマスター

第４３３話 砂海渡り 砂鮫、意外と出てくるモンスターです。。

　サメを先導に勇者チームと魔王国のチームが、洞窟を進む。サメも、意外とゆっくりと進んでいる。
「まるでシールドマシンだな。」
「なにそれ？」
「トンネルの穴掘り専用マシンだ。それに本当に似ている。」
　砂鮫は土を操り、ゆっくりと及ぶ。
「もう少し早くならないの？」
「どうも、こいつの普通がこれ。本気出すと、いろいろ身体が痛くなるみたい。だから基本はゆっくり動くか、まったく動かない。その辺が砂漠の生き物。」
　だが、その辺は全員、理解はできないようだ。砂漠は暑く、非常に動くにも体力がいるので、基本は動かない。動くにしても夕方とかの温度が適温の数時間のみだ。その眼、基本は動かないか、または動くにしても少量、それが基本である。ただ、そんな雑学を持ったメンバーはここにはいない、彼らは、砂漠を舐めていた…砂漠初心者でもあったからだ。
「まあいいわ。でも、確か確認して、危ない地域はもう確認済みで、この辺にはダンジョン領域はないはずよね。」
　奥原もゆっくり歩きながらも、考えがまとまっていないようだった。
「そんなに領域が見えるだけでも危ないんですか？」
「正確には領域が目視で確認できるなら、ダンジョンが気が付けば、そこから視界の届く範囲は全て確認できるわけ。だから接触と化してアラームが鳴らないなら、いいんだけどそうでないなら…見つかったら最後、逃げれないわよ、相手はこの世界最大のダンジョンマスター組織の亜人同盟だからね。敵に回せば…生きて帰れないと思うわ。」
「そんな危ない橋を渡るのはやめておけ、いきって大企業に盾突いて生き残るのは物語の勇者だけだぞ。」
「ま、こっちの勇者はほぼ全部…というか知っている限り、この音無ちゃんたち以外、ほぼ全員亜人同盟に所属よ。」
「そうなんです？」
「そういう事。だから、そんな盾突けるだけの、戦力もないわけ。」
「なんか、世知辛いですね。」
「交渉に持ち込むにしても相手が大きすぎて、こっちが飲まれるわ。但し…。」
「なんですの？」
「現在の亜人は、融和派よ。」
「確かに、ドルカスとか含め昔は非常に険悪でな、亜人同盟とも。」
「マスター。そろそろです。確認お願い。」
「分かった。」
　全員で砂鮫の前に回り込み…。様子を見てみると…何もないただの洞窟に見える。
「わっかんない。ちょっとメール送ってみるわ。」
「どうした？｝
「あれ、ダンジョンだわ。だけどさ、”砂塵の漁村”なんてダンジョン名効いたことないでしょ？」
「ダンジョン名はあまり興味ないな。が…そんなネーミングセンスないのは…。」
「で、ちょっと確認してもらってる。」
「確かに、ここは無人…いや誰も領域のないはずのエリアだからな。」