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第11章 出向社員的ダンジョンマスター

第413話 新たな冒険の始まりは、結構我儘

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 一週間が経過し、どうにか黒川が戻ってくる頃、訓練しているのを見た三日月ナギサが全員に剣の訓練をつけてもらえることになり、全員で素振りをしていた。
「体幹をぶれないように。」
 流石に2時間ずっと素振りだと…全員の疲労もさすがだ。
「でもなんで…。」
「まずは疲れない素振りを覚える。それが大事だ。剣をフルに疲れない”姿勢”が作れれば後はそこから応用できる。まずは体力と素振り。」
 結構スパルタなのだが、恋天使でもある奥原たちはともかく、音無たちも一時間ちょいは素振りができるようになっていた。
「勇者だとその辺の最適化が速いから。」
 地味にさぼっているのを見ると、木刀で叩きに来る分…。スパルタではあるが。実際、ステータス差数百倍無ければ勝てないナギサ相手に戦う気はおきない。ついでにナギサに頼まれタミさんと、広い場所で一騎打ちをした場合…タミさんは受けるに精いっぱいで勝つことはできなかったという。その位にはナギサは強い。それを見た勇者たちが、剣を習うのは納得だろう。
「帰ったが…これは何です?」
「お父様。これはせっかく有名な勇者一行のナギサ殿がレッスンしてくれるというので。魔法も含め様々習っているところです。」
「…すまないな、」
「いや、同乗の門下生に教えていたのが懐かしくて、ついやっていたのだ、そっちの流儀もあろう。すまない。」
「気にしなくていい。」
 実際、黒川美玖は熱心に習っていた。体力はともかく…食らいつく姿勢が凄かった。その疲れているときも休憩を多めに取り、飯垣から魔法の理論について教わっていた。
「とりあえず休憩だ、少しぶれて来てるぞ。」
「は、はい!」
「んだば、リンゴジュースだべ。」
 全員にジュースを配っていくと、黒川たちも受け取っていた。
「今後だが…。お前たちはどうするんだ。我々も帰宅予定だが。」
「おらたちはこの子達を、北に連れて行かないといけないだ。」
 奥原たちを指さす。
「それは聞いてないわよ。」
「水木が言うには。しばらく後にザガートン国の首都で、どうもお祭りが開かれるらしいんだべ。」
 初心者ダンジョンが、成功か失敗が微妙な時に、ドルカスが持ってきたもう一つの報告。それが”豊年祭”と呼ばれる祭りをギルド加盟各国で開くとの事。一応義務はないものの出来れば賑やかしに来て欲しいと言われた。どうも首都ではオークションも開かれ、武術大会も開かれるという。
「そうなのか…。」
「お祭り。」
「どうも勇者大陸でも祭りを一週間後からどんどん開いていくらしいんだべ。で最後がこっちのザガートンだそうだべ。」
「そんな大きいのか?」
「一応王様号令の下、大国が開くんだべ。それに合わせてドワーフが武器オークションをやるらしいんだべ。一応亜人で募集中らしいんだけんど、かなり大掛かりらしいんだべ。」
「で、そこに行くと。」
「音無ちゃんをそこに送迎して、ダンジョン巡りとかさせるって話だべ。んだば、仕事や田舎ばっかりじゃ飽きるべ。んだから、休憩兼ねて…。」
「同行させてもらえないか?」
 タミさんがいきなり…手を握られる。
「んだば?」
「そう言うの…大好きなんだ。」
 一瞬気圧された。ナギサがキラキラした目で、タミさんの手を握っていた。あまりに早くて、全員…動作が取れなかったが。それ位彼女は興奮していた。
「そう言う大会とか、血が騒ぐ。」
「あ、これ。バトルジャンキーの目だ。」
「わ、私出るの止めましょうか?」
「…月下が行くなら我々も連れて行ってくれ。その調子だと…この大紗河、これる手段があるのだろう?
「ああ、それはあれだべ、おらが運んでいくべ、さすがにこの砂漠を馬車とかで渡るのは無理だべ。飛行持ちが飛んだ方が速いべ。」
「でも…砂の女王の領域だろ?」
「あ、それは大丈夫だべ。ちゃんとこの砂漠は”領域外”がいっぱいあるっぺ。んだっから。そこさ一部パクって基地にすッペ。」
 砂の女王は基本的にこの砂漠の全ては支配していない。人間た立ち寄りそうなオアシスに絞って占拠していた。水がないならモンスター含めこの砂漠は普通なら渡る前に死にそうな巨大な砂漠だった。
「砂漠の一部さ、ダンジョンにしちまえば。入り口張れるっぺ。そこから休憩すればいいっぺ。」
 本当なら、飛行で1週間はかかるが飛びながら移動すればどうにか飛べそうではある。但しミヨちゃんみたくダンジョン領域を飛び越せるほどのスピードは持っていないのでオアシスと、オアシスをつなぐ線を回避しつつ飛ぶとなると、それくらいかかる見込みだった。
「明日行くなら…兄上共々用意させる。兄は特にこういうのが大好きなんだ。」
「主に?」
「主に、武闘大会だ。」
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