魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第１１章 出向社員的ダンジョンマスター

第３７６話 相手とこちらと常識の差を埋めるのは地道な努力です。

「どういう事だ？」
「ダンジョンマスターの力の一つで、”ゲート”と呼ばれる力です。これで、遠く離れた２か所を結ぶことができます。但し、一回建設毎にかなり多額の金額が
かかるので、私でも一つしか建設できませんですた。」
　性格には”あの階段そのものが、千鳥万化の共同スペースへの入り口であり、そこから、井原に頼んでリンシュメルトへの出入口を設置してもらい歩いて移動した形だ。
「…訳が分からない。」
「でも現実です。」
「え？でも、どうしてこんなことに・・・そう言えば変えれるのでは？｝
「はい、いつでも来れますし、帰れます。」
「では何で？｝
「私がしばらくここに滞在しないといけないので。」
「どういう事か？｝

「よく要領を得ないが…君は君を頼る組織の為に身を挺したと、後は…。これだと我が国も対象では？」
「一応千鳥万花の領土扱いですので、その交渉が妥結できて、ギルドが建設された暁には新たな商人や金銭導入の対象になるかと、」
「かなり大きいのだな。」
　少しわくわくした顔で、現在リンシュメルトの千鳥万花拠点である、”イーハ商会・リンシュメルト支部”の商館の４階の一室にいた。本来は貴人室と呼ばれる商談ルームだ。
「ただし、初心者研修と共に数か月はこちらにいないといけません。それに、新たにこちらでダンジョンを一個建設しないといけません。」
「ダンジョンか？｝
「はい、そして、私たち千鳥万花に所属する勇者の支援もあります。その為にここで…。」
「分かっている、ここまでの建物がある国なら、と言っても何を学ぶんだ？｝
「こちらでは基礎的な事。文字、計算。道徳、後は自由となっております。」
「自由とは？」
「ここの勇者学級は各国の貴族が集まります。が、教わりたい技術はそれぞれ違います。そこで、ここでは逆に教わりたいことを申告し、それに対して先生を探し、招聘します。そして教えを請い、様々な知識を得るスタイルとなっております。但し呼ぶ人間に応じて追加費用等を支払います。それはこちらでお出しします。」
「いいのか？」
「はい、ただし、指名は非常に難しいらしいので、基本はこの学校に滞在している先生に頼むことです。後は、周囲に便乗して見学する事です。当然金額が高い先生を折半で払って呼ぶことも可能です。」
「貴族だろ？」
「ただ、勇者学級はその為に各教室があります。」
　通称”ゼミ式”と呼ばれる学校のスタイルだ。基礎講習を除いては全て自分の習いたいことを習う。という物だ。但しこれが規定コマ数ないと卒業できないとか話が出るのは大学というスタイルになる。
「でもな…。」
「その分、ギルドの基礎料以外取られないのだそうです。また、一度講習が行われてしまえば見学は自由だそうです。」
「それは、また…。」
　学級において教示スキルがある以上聞かれて”理解”されてしまうと誰であれスキル取得という効果が出てしまう。それに覆いをつけるのは…スキル次第は無駄なのであえてオープンになっていた。
「で目的は？」
「欲しいスキルを取る。という事に特化した学校です。」
「スキルとは？｝
　この言葉に説明が泣かくなりそうで、頭が痛くなってきた水木であった。

「うむ、スキルは理解できた。が何を習うのかしっかりしないといけないのだろう？」
　説明に一時間は書けたものの、関連の事柄の説明は終わった
「はい、そうなります。今からでも冒険者の方に変えてもいいのですが…。」
「冒険者だと確か…。」
「基礎講習以外外は全て有料となります。勇者学級の方は一部に限り無料となります。その代わり、出身国と身分証明が欲しくなります。」
「でもなんでそんなに貴族に優遇を？｝
「学校の方針なのですが、まず勇者の言っている事と学識についていけず、話にならない貴族が多くギルドが根気よく説得を繰り返してきた実績があります。いくら勇者が改革案を提示してもその有利の意味が理解できないと、提言に意味はなくなります。また、市民に対し計算ができない場合には商業の発展や領土の発展が阻害されかねません。ここに投資したリンシュメルト及び、ギルドからすれば民の繁栄は国力につながる。だそうで…。その為には貴族の頭が良く、施政の意味が理解できないといけません。」
「面白い事を聞いたな。確かに。」
「なので、貴族に対しては裏を取る代わりにその必要経費をすべて聖王国が負担するという事になります。」
　ただ、千鳥万花側はこの”貴族教育”には賛同しかねるところがあった。それは”洗脳教育”である。自国の貴族や政治家は自国で育てないと、その思考設計で優遇が生まれかねない。教育もれっきとした国家の礎であるというのが、鳥海のポリシーであった。
「そう言う意味では学識は重要なのだな。」
「国民に置かれましても、書いた紙の内容が理解できるのとできないのでは法律の徹底に差が生まれますし、法律を施行しただけでも市民に不満が出かねません。また、計算は先日の時山田商会みたいに、騙して土地を購入する。という事態を防ぐ国防になります。読み書き計算程度は覚えさせて損はありません。そのためにはまず、トップがそれに率先しませんと。」
「まずは私が覚え、国に伝えるか…。」
「はい、その通りでございます。」