上 下
276 / 1,264
第7章 魔界慰安旅行一泊二日

第274話 あの村は今

しおりを挟む
「モアレがそんな事を…。」
 村長でもあるモアレの父と一緒に流れ者の村を歩いている。
「だそうですよ、今ゴルド城で練習中ですよ。」
「確かに部一辺倒でした。生きるに必要ですから、それがこうなるんですか…。」
 そう言う気持ちもわかる、ほんの数年前までモアレたちは子供であり、狩人になり、そして村を逃げそして、村長になった。そしていつの間にか将軍になり、この地方を
治めるようになった。
「ですね。」
「そしてこんなに人がいる、そう言えば、村の名前を変えて欲しいとの嘆願が多いんですよ。魔導士様。」
「そうですか…彼女にもその辺を任せてもよかったが。」
「あの子が言うには、あなた様に任せたいと、」
「そうか…。」
 そう言えば最近は全く開拓にタッチできていない。書類もすべてモアレでストップするからだ。
「で、どうです、こっちは忙しくて来れなかったんですけどね。」
 一応実は、記憶はある、というのも、フェルミィがモアレに頼まれて、いくつもの設計を行っていた。建物、道具等だ。問題を聞けば、その材料を探し、物を作っていく。その為…一応頼まれた物は渡したという感じがしている、がそれがどうなったかの記憶がない。自覚なきチートって奴である、まあ、利用範囲はわかっているし、サンテはいる。だからこそ、信頼はしているんだけどね。
「発展していますな、そろそろ街にも匹敵するでしょうな。隣の町よりも今、ここは人がいますよ。」
「あれ?奥地のほうがいるんじゃなかったですか?」
「ああ、向こうの村はもっといますよ、今は最果ての町という異名で知られていますよ。」
 町か、この話もフェルミィから聞いていた。これも去年からの風潮で今帝国では西の地が”美食の地”として人気を博し、まあ、確かに今シロウのいる村ではハムの生産を本格化せていた。メッチャングという塩の産地が近く、且つ獣が”ばらまける”という観点では一番立地がいいのは向こうの村である、ただ、それ位なら畜産に手を出した方
が良いというのが自分の持論だ、こっちでは当然畜産に踏み切っている、味が天然から劣化しても自分で育てさせた方がずっと自然だ、ごまかすにしてもね。ってことで鶏小屋がある、が田舎なんだが…。まあ当然と言えば当然で烏骨鶏も元気だ。
「でもまあ、人口の方は?」
「現在そろそろ3700人を超えそうで、増築も6回は頼みましたな。」
「という事は南側も?」
「はい、そろそろ、間の草原地が消え直接の家という感じですな。」
 そうなるとあれだ、外の狩場がなくなってきたぞ、…ダンジョン内は広さを優先して高さがないから、入れる場所が本気でない、これは山脈で背伸びするか?あそこは
…木が多いから遊べない。
「まあ、向こうはもっと多いそうですが、この街道も人通りが多くなり、ここに来る人も増えましたからなあ…。」
「そうなんですか?」
「村人も多くは官職に付いてますからなぁ。それに魔法の訓練の効果も出始めているようで。」
「ふむ、確かに…。」
 初期の村人50人はもうほとんどが、何かの長として行動していた。そして、念願だった家具工房も完成、現在はオーダーメイド+時間が余れば既製品の作成となり、ついでに畳の作成も開始させた。小上がりを作るためだ。靴は実は結構監修で問題な事が多い、海外に日本文化を説明した際に結構問題になったのがこの、靴問題だった。ドイツでは靴を履いたまま一生過ごすという話が出るレベルに”靴を脱がない”にもかかわらず、日本家屋は土足厳禁だ。で、そんな人間が靴を脱ぐと基本”臭い”。当然臭い。日本人だと我慢してもらえるが、それが”同種族”だと違う。その為に様々な問題があったと、昔見た建築雑誌で見たことがあった。という事は当然この世界の人間も同じだろう。
「そう言えば、軒下はどれくらい…。」
「ああ、それがほどんと普及しませんでしたね。魔導士様推挙ではあるんですけどね。ベンチでいいという話が多くて。」
 この調子では畳の良さの普及は難しいのだろうか。
「仕方ないですが、販売は継続お願いします。」
「はい、でも家具ですか…。」
「こういう技巧が増えて行けば生活が良くなり、うかつに殺せなくなります、村人を狙うにしても職人は作れる”技術”がある限り、価値を知る者は殺さなくなるでしょう。」
「そう言う物ですか、そう言えば革製品の”なめし”も教えてよかったんですか?」
「あれはないと困ります、特に都市部では。」
 ダンジョンから毛皮が多く産出され、吸収してもよかったのだが大物である”バイラード”の皮に至っては別の価値が生まれた。”ゴム製品”の代わりだ。あの分厚い革はなめすと衝撃吸収率が高く、且つ厚い。なので、とても高額で買い取られている、最悪貴族の命令があり、金額が提示されれば軍隊が狩りに行くレベルだ。但しうちには
レベリングのついでに大量に余らせてある、DP高いけど。この防具を使った”複層装甲”や”衝撃吸収材”としての価値があり、その為最近取引金額が上がっている。この調子でドラゴンスケイルなんて使った防具が完成したらどうなるんだろうか…。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

隠しスキルを手に入れた俺のうぬ惚れ人生

紅柄ねこ(Bengara Neko)
ファンタジー
【更新をやめております。外部URLの作品3章から読み直していただければ一応完結までお読みいただけます】 https://ncode.syosetu.com/n1436fa/ アウロス暦1280年、この世界は大きな二つの勢力に分かれこの後20年に渡る長き戦の時代へと移っていった リチャード=アウロス国王率いる王国騎士団、周辺の多種族を率いて大帝国を名乗っていた帝国軍 長き戦は、皇帝ジークフリードが崩御されたことにより決着がつき 後に帝国に組していた複数の種族がその種を絶やすことになっていった アウロス暦1400年、長き戦から100年の月日が流れ 世界はサルヴァン=アウロス国王に統治され、魔物達の闊歩するこの世界は複数のダンジョンと冒険者ギルドによって均衡が保たれていた

異世界なんて救ってやらねぇ

千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部) 想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。 結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。 色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部) 期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。 平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。 果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。 その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部) 【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】 【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔法公証人~ルロイ・フェヘールの事件簿~

紫仙
ファンタジー
真実を司りし神ウェルスの名のもとに、 魔法公証人が秘められし真実を問う。 舞台は多くのダンジョンを近郊に擁する古都レッジョ。 多くの冒険者を惹きつけるレッジョでは今日も、 冒険者やダンジョンにまつわるトラブルで騒がしい。 魔法公証人ルロイ・フェヘールは、 そんなレッジョで真実を司る神ウェルスの御名の元、 証書と魔法により真実を見極める力「プロバティオ」をもって、 トラブルを抱えた依頼人たちを助けてゆく。 異世界公証人ファンタジー。 基本章ごとの短編集なので、 各章のごとに独立したお話として読めます。 カクヨムにて一度公開した作品ですが、 要所を手直し推敲して再アップしたものを連載しています。 最終話までは既に書いてあるので、 小説の完結は確約できます。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

「専門職に劣るからいらない」とパーティから追放された万能勇者、教育係として新人と組んだらヤベェ奴らだった。俺を追放した連中は自滅してるもよう

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「近接は戦士に劣って、魔法は魔法使いに劣って、回復は回復術師に劣る勇者とか、居ても邪魔なだけだ」  パーティを組んでBランク冒険者になったアンリ。  彼は世界でも稀有なる才能である、全てのスキルを使う事が出来るユニークスキル「オールラウンダー」の持ち主である。  彼は「オールラウンダー」を持つ者だけがなれる、全てのスキルに適性を持つ「勇者」職についていた。  あらゆるスキルを使いこなしていた彼だが、専門職に劣っているという理由でパーティを追放されてしまう。  元パーティメンバーから装備を奪われ、「アイツはパーティの金を盗んだ」と悪評を流された事により、誰も彼を受け入れてくれなかった。  孤児であるアンリは帰る場所などなく、途方にくれているとギルド職員から新人の教官になる提案をされる。 「誰も組んでくれないなら、新人を育て上げてパーティを組んだ方が良いかもな」  アンリには夢があった。かつて災害で家族を失い、自らも死ぬ寸前の所を助けてくれた冒険者に礼を言うという夢。  しかし助けてくれた冒険者が居る場所は、Sランク冒険者しか踏み入ることが許されない危険な土地。夢を叶えるためにはSランクになる必要があった。  誰もパーティを組んでくれないのなら、多少遠回りになるが、育て上げた新人とパーティを組みSランクを目指そう。  そう思い提案を受け、新人とパーティを組み心機一転を図るアンリ。だが彼の元に来た新人は。  モンスターに追いかけ回されて泣き出すタンク。  拳に攻撃魔法を乗せて戦う殴りマジシャン。  ケガに対して、気合いで治せと無茶振りをする体育会系ヒーラー。  どいつもこいつも一癖も二癖もある問題児に頭を抱えるアンリだが、彼は持ち前の万能っぷりで次々と問題を解決し、仲間たちとSランクを目指してランクを上げていった。  彼が新人教育に頭を抱える一方で、彼を追放したパーティは段々とパーティ崩壊の道を辿ることになる。彼らは気付いていなかった、アンリが近接、遠距離、補助、“それ以外”の全てを1人でこなしてくれていた事に。 ※ 人間、エルフ、獣人等の複数ヒロインのハーレム物です。 ※ 小説家になろうさんでも投稿しております。面白いと感じたらそちらもブクマや評価をしていただけると励みになります。 ※ イラストはどろねみ先生に描いて頂きました。

処理中です...