魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第７章 魔界慰安旅行一泊二日

第２７２話 会社の去就に家族の関係が関わる事が多いです

　それから各自、魔界にいるというタイムアドバンテージを生かし、各自訓練を行い、そのまま魔界を出た。そして次の日に出たのが…。
「お久しぶりです、皆様。」
　そう、白い衣の聖女、聖女の南だった。ダンジョンバトル越しに現れた、現最大派閥”亜人同盟”のトップだ
「久しぶりだわさ。」
「現金という訳ではないのですけど…まあ…。」
「でもできればいきさつ聞かせて欲しいだわさ。できれば、少しお話もしたいだわさ。」
「私も頼みたいことがありまして。」
　そう、交渉のお時間だった。
　
「なにだわさ。」
「実はあることを計画していまして、その証明としてあなた方の”中立性”をお借りしたいのです、」
　言い方は丁寧だが、芯の強い瞳。ただ鑑定には聖女は称号だった。が、能力値は聖女を超える。そんな化け物。一年前は鑑定で見る事はできなかったがその実、ステータスには恐ろしいものが映っていた。それが勇者だった。元勇者の称号である、こいつは勇者でありダンジョンマスターである、…確かに、亜人同盟トップになるにふさわしい”勇者”の魔王である。鑑定が育ってから見るとわかる化け物スペックだ。この人は。しかも本人が謎のＵＲという称号もある。
「何だわさ、」
「ある魔物討伐をするので、その映像の証明に、あなた方に来て欲しいのです、魔界に。」
「魔界に？」
「鍛冶師、ドルカスの計画で運営公認URモンスター”クラウドドラゴン”の討伐を行います、これにドラン達の手法である”動画公開”を行うのですが、ただこれだけだと信用性がありません。」
「まあそうだわさ、あのドラゴンバスターでさえ、負けた動画と相手の勝ち名乗り動画が一緒でない時は嘘だと思われただわさ。」
　加工については幻覚で可能ではないかという提案があり、ダンマスのコア商人映像でも当然偽物、本物論争が起きた。それは動画配信者ドランでも一緒だった。がそこをカバーしたのが”敗北映像”と他者映像の合致だ。それで本物を出していると信用を得て一躍有名ダンジョンマスターとなった。が亜人同盟は魔王軍が合併しただけあって
信頼性がない。山岳同盟にしろ、元大陸統一機構でもそうだ。
「なので、他の団体に証明映像を敗北であっても取ってもらう。これが決定となりました。そこでドルカスからあなた方に頼んではと言われまして。」
「確かにうちらも宣伝になるからいいだわさ。でも、何もなしはきついだわさ。」
「…何にします？」
「そうだわさ…。」　
　予測はしてあっても”連絡員一名ねじ込む”に使える程度の大きさの功績にはなりえない。なのでもっと軽いものでなくてはならない。
「そうだわさ、あんたたちにできるだけ真相を語ってもらうだわさ。場合によってはもっと深い付き合いになるかもしれないだわさ。」
「特に、ネルさんはどうしたんだ？」
　南は、下を俯く。
「あの方は…。」
「あの方は？」
「愛する方の所に行かれてしまいました。その為、私が引き継いだのです。全てを。」