魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第７章 魔界慰安旅行一泊二日

第２５８話 王都到着

「お、来ただわさ…。」
　城門前で待っていたのは鳥海さんだった。
「…逃げてきた。まあ…。」
「いいだわさ、入るだわさ。」
「お、来たのか、待ち合わせのにーちゃん。」
「まあ…だわさ。そう言えばなんであんたらはチェックしないだわさ。」
「あ、してる、犯罪者でないなら全部通す、それだけだ、それに犯罪者になるとギルドカードが使えなくなる。だから一発でばれるか、厳しい野外でしか生きれなくなる。」
　そういう事か、このカードがいろいろ選別してるのか…。怖い管理社会だな…。
「じゃ、うちらは？」
「ああ、構わない。通ってくれ。後、外部の情報があるならギルド行ってくれ。結構多いからな…。最近はダンジョンなるものまであるらしいし、魔物が街に来るかどうかのチェックだよ。」
「そうか…では。」
　通って…すごいな、まるで、ローマ市街を思い浮かべる…洗練した作りだ。その上で、色で建物が分かれており、道路には苦戦が引かれ、交通規制が生きている、あれはゴーレム車か。
「みんなはギルドに行っただわさ。これは大きいだわさ。」
「ああ、驚いている、かなり進んだ都市だ。鹿もほら…。」
　井原が指した先ではケーキ屋が存在していた。そこに行列するメイド服の女性たちである。
「ケーキ屋だわさ？」
「ああ、私たちの町ではここまでに至っていない。そして、見て欲しい、窓だ。」
「あ、ガラスだわさ。」
　ガラスも珍しいが、その上でケーキ屋とかの”単独系料理屋”は基本よっぽど人口がいないと成り立たない。そうなると、ここには相当人口がいる事になる。
「凄いだわさ。」
「ああ、しかも、匂いが…よく見ると、下水道が配備されてる、排水溝がある。」
「あ！」
　実は衛生観念導入の際に問題となったのが”下水道管理”である。掃除用にスライムを放出することも考えたほどに掃除が困難である、その為、帝国で法案可決して通す事ができず、審議入りしている。というより、それを待ってあげる鳥海さんが優しいと最近思ってる。
「その上…すごいな…。」
　兵士服の人間も街中にいる事からここは内部の警戒も厳しいとみている。ある意味完成された”中世ファンタジー都市”だ
「でもすごいだわさ、さっきのメイドさんにエルフ耳と獣人と、後あの大きさだとドワーフだわさ。後細いのがグラスランナーだわさ。」
　そう言う意味での凄いのか…。亜人都市…ある意味理想郷だな。
「でも、進んだ都市だわさ、聞いた話だと、大通りにある…あれだわさ？」
　指さした先にあるのはエルフの女性と葉っぱのマークの看板”ギルド商会”のマークだ。が、でかいな…5Ｆだ。一階が特に大きい。で、中に入ると、…役所を思い出す作りでカウンターが並び、下は大理石か？白いな…。リノリウムならもっとすごいが・・・。その中を張られた、クエストを見る者、地図を見るもの。酒場とかはない…上に結構空いている、
「いらっしゃいませ。」
　エルフの店員らしい…スーツ着てるな。
「ん？」
「きょうはどの御用件で？」
「待ち合わせと、後できれば色々教えて欲しいだわさ。」
　そう言うと金カードを見せる。
「では、2Ｆの応接間に、知り合いとかパーティメンバーの方はいらっしゃいますか？いれば伝達しますが？」
　流石金カードの勇者待遇。さっと応接間行きだ。権力は使い方を知っていれば十分武器となる。理解できないから、隠す。と思うがね…権威が無くて予算が通らない建築をいくつも見てる。
「では、女性3人組と男性一人が来ているはずだわさ。その子たちに空いたら来るように伝えるだわさ。」
「分かりました。」
　そう言うとすすっと、エルフの女性は階段を指す。こっちが歩いたのを確認すると、それで一緒に歩く、ちゃんと礼儀も出来ている。がこれに一番驚いているのが会長だった。
「…魔界おそるべしだわさ。」
「何でだ？」
「だって、トサカに一切反応してないだわさ。」
　ちらっと見たが、確かに、凄い反応力だ。よく考えたら、あの外見であの口癖に無反応。恐ろしい練度だ。
「こちらです、どうぞ、ではお待ちください、担当の物が、資料を持ってまいります。」
　そう言うと、エルフさんは去っていった。そして扉が閉じた。中は貴賓室というまでではないがテーブルとソファーが…。
　ブファ、
「ん？」
「…大方、我慢してただけだわさ。人間味があってよかっただわさ。初見でこれを笑ったり視線が上に向いたりするのがほとんどだわさ。一応井原。説明するだわさ。あれ、どうしてだわさ？」