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第4章 始動!千鳥万花

第159話 責任が取れるのが、上司の役割です

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「なんか、訳が分からないだわさ。ダンジョンがスタンピードを食らうとか、」
「俺、そこのハウスドックが被害者にしか見えないぞ、」
 シロウ達、モニター班が泣きそうになるのもわかる。元は奥原の意見を基にウルフェのダンジョンを改装し、軽い
デモンストレーション後にダンジョンを解放し、改良した奥原プランの実効性をみんなで確認する予定だった。ダンジョンに入るとメイズ4階層が待っているのだがそれを人間が力業で突破、その間にいる、スライムとハウスドックは見られることもなく行進する人間たちに踏みつぶされ、そしてダンジョンに流れ込むと…。そのまま、パークボア一体につき40人が殴りかかるという、訳の分からない展開となった。一応くるくるメイズに待機中のモニターを見ていたウルフェもこれにはさすがに…頭を抱えた。
「なんですかあれ!蟻ですか!害虫ですか!」
「いや、あれは人間だ!」
 興奮が極地の人間は、並の獰猛な動物より恐ろしい。派手噛みつき、人数で抑え込んでいく様はもはや狂気だった。が、それもバイラードを見ては踏みとどまり、カウを見ては
吹き飛ばされ、徐々に勢いを無くしていく。そして、一人、二人と、けが人がダンジョンを去り、二日もたたないうちに住民はダンジョンを去った。が、その間手に入った肉を
引きずって満足げな顔の市民の顔は恐ろしかった。ダンマス4人全員が。
「あれがいつもは温和に笑う人の顔に見えない。人間がトラウマになりそう。」
 というほど怖かった。がこれにより、街の食肉業者と領主で話し合いがもたれる事になり、会合がもたれる事になったのだが、そこで変に奇跡が生まれる。なんと彼らは
この責任を全会一致でイーハ商会に擦り付けるべく、召喚することを決定した。けが人はそれだけで路面を埋め尽くすほど多く、肉は手に入っていない市民の不満も多い。
しかもダンジョン入り口の封鎖は破壊され、しかも責任を取ると言ったはずの領主さえ最終的にイーハ商会が悪いと言い出したのだ。モニターしていたこっちと、あとで映像を
見せた、他のダンマスは腹をよじって笑う始末。一人展開に頭を抱えるのは私だけでいい。

 次の日に呼ばれ、領主の館に井原を待っていたのは居並ぶ兵士のいる踊り場だった。
「来たな!イーハとやら!」
「前もって言って置きます。」
「関係ない!責任を取って、お前の首を…。」
「お聞きください。皇帝の命によりあの地域のダンジョンを市民に討伐させるべく組織づくりの試験用にもとより人を厳選の上、行かせる予定で、対策用に武器防具も
お持ちしましたが。それを無視して突入したのは皆さまですよね?」
「じゃ、」
「皇帝の許可も貰い、皆様の陳情をかなえるべく来たのですが、皆様の暴動により、被害が深刻化しました。実績を確立後、あそこを商人たちと話し、買取体制の構築後、
領主様の許可をもらう予定でした。」
 納税税金とか、閉鎖人員の増強具合とか、さまざまに実験後の予定だった。武器も防具も持たない人間をダンジョンに突っ込めばどうなるか、理解していたからだ。
「…。」
「その為、当方は仕方なく、一度引き上げました。第二軍団とて、治療部隊無くして生きて帰れぬので治療体制の用地は武器防具の購入先頭、設備準備があったので
その設営後、行う予定でした。」
 鳥海さんによると、結構行政である話で、自分たちの話の旨味しか語られていないと、苦難をしていてもそのリスクを無視してゴリ押すパターンがあるという、で、そこで
被害が出ると、急に”説明しない奴が悪い”と言い出すのだ。
「こちらに今回の件に関して、皇帝の勅令がございます。どうぞお受け取り下さい。」
 頭を下げ、書類を差し出す。領主が受け取ると、苦い顔になる。ついでに立場上はこっちが上で。首を切られる筋合いはない。最悪の時に備えそっちの許可も貰って来た。
「では…。」
 大方あの茶番は何かお触れが合ったらあのダンジョンに行けば肉が手に入るのを知っていた彼らが、領主と茶番を仕掛けたのだろう。同じ方向の仕掛けが2枚重なったのだ。
「今回の件は領主に監督能力なし、私の方の商会の管理地となります。」
「ふざけるな!私たちが一日千秋の思いで待っていたと知っておろうが!」
「だとして、その肉を取る腕のいい狩人たちを見殺しにするのですが?また、肉は鮮度の問題もあります。あそこから運び出す際に第二軍団の皆様は”血抜き”と呼ばれる
処理を行っていました。」
「何!」
「なので、単純に運べばうまい肉になるわけでもありません。」
 実際現在配備されているフィールド型ダンジョンの入り口には肉の処理法に関する講習所がある。解体は採取の奥の”中位技術”なので取得に適性があるのだ。
「じゃ、じゃあ…。」
「はい、第二軍団がいない状態でなくても皆様にうまい肉を送るべく皇帝陛下は頭を悩ませていたのです。その思いを無碍にしたのはあなた方です。」
 実際回復とかさせて返さないと、傷が一生残る場合がある、古代の医療体制ではダンジョンの傍に医療部隊も置かないといけないのだ。残るだけならいい、障害が起きて
仕事ができなくなれば、最悪…殺される恐れだってある。飢え、暴行、いくらでもある。それを私たちは望んでいなかった。
「また、この暴動の責任によりあなたには更迭命令が来ております。文字通り、責任を取ってもらいます。一度荷物をまとめ、王都に向かうように、出頭命令が来て
おります。」
 背後からモアレ、ポアン達が兵士を連れ、現れた、彼らはタミさん配下のシルキー兵でその数は30名ほどだ。但しスキルはあるが、能力は当然高くないが一般人並み
には強い。
「すまないが頼んだ。お前たちも、家族の生活を守りたかったら、じっと次の領主が来るまで待つ事だ。」
「すまない、イーハ。君に説明を押し付けてしまった。お前たち領主をとらえよ、皇帝の眼前にお連れせよ。」
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