魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

第４章 始動！千鳥万花

第１５４話 新人さんに状況を教えれば、応用してもらえるかもしれない。

　ジャンのいる商会は現在、妙に手広い。タミさんの直属メイド軍団もあるが。ジャンが扱うのは新年以降増設した友好スポナー製のソウルレベル３のシルキースポナーだ。例の非人道トラップルームで貯め込んだ形だけのソウルをこのスポナーに投入。計９か所にある街道サルーンから派生して…なぜか鳥海に騙されたように各町の危険地域に
建設させられた”サルーン風宿泊所”ついでに隣にはオートキャンプ場の併設した。場所にして４５か所の…シルキー宿屋はの収支管理、物資の輸送（言い訳）用のダークエルフ輸送隊の編成を担当していた。その為国に言われて物資を用意する”御用商人”の立場もあり、また６つの商人株を抱える大商人でもあった。ここにはついでに分離により体を分かれる事に成功したミラージェが一応は井原代理人として運営を取り仕切っていた。
「で、あんたか、新人ダンマスは、よろしくな。」
「すっごい大きな態度だけど？」
　大きく手を上げ出迎えるのは小さい少年だった。
「仕方ないだろ？あんたは聞いた話、こっちのほうがいいだろ？例えば…。」
　そう言うとジャンが頭を下げ…。
「此度は冬も寒々しい中、よくぞおいで下さいました。」
「・・・。」
　その声は耳障りがいい感じで、少年から出てると思えないほぢに耳障りがいい感じの言葉だった。
「と、こんな回りくどい感じよりいいだろ？とりあえず、村で研修は終わったか？」
「うん、聞いてきた。」
　来たのは二人の少女だった。一人はエルフ耳、そして、一人はダンジョンマスターである奥原だ。
「うちは一応、井原リストにある物を輸送して売る会社だ。で、一応あんたの領域は買ってあるが、井原の趣味でな。」
「何？」
「店をやって欲しい、あとで、株分けの為に貴族の所に行くが、この株分けが終わればあんたは晴れて、この首都で店舗付きの店を開ける。一定の大きさのな。」
「…。」
　その為にオウルの学校で、読み書き、簿記、そして帝国の地理や歴史、そして一般常識について…なぜか子供姿の皇帝という人と学んでいた。訳が分からないけど。
その効果のせいか、ある程度前世よりやたら頭が回る感じになっていた。
「どんな店でもいいの？」
「いかがわしいのはよせた貴族によるが、一応今は好景気らしいからな、市場を見て回るにここ、モアレ将軍鄭の部屋を貸してやる。一応領域の家は立ち退きを済ませてある。」
「立退き？」
「ああ、多額に金を払った。向こうは喜んで立退きしたよ。で、こっちはほぼ輸送業とそこで物産販売だ。がいずれは家具生産に入りたいから商売移行を考えている。だから、あんたはこの帝都を見て回って、好きな商売を選べばいい、ただし、好景気で逆に野蛮な連中もいるらしいからな。で、一応予定地は更地にした。建築家だから。あいつ、お前がやりたい家を聞いてから図面を引いてそのルームをご祝儀で渡すようだ。だから要望を固めるまであんたは普通の家を建てておけ。で、調査して・・・。」
「・・・。」
「どうした？」
「あんたにまず聞いた方がいいよね、よくファンタジーであるじゃん、モンスターっているの？」
「最近の報告だとインスタンスというダンマスの卵と呼ばれる魔力黙りだっけ、そこから出るだろうが、ダンマス領域内では基本出ない。で、そいつが森林内を抑えているからいないわけではないが…動物だな。但し牛でも相当強いからな、害獣レベルに大きくなったパークボアとかいないわけではないが…。モンスターはこの世界に”自然”にはいない。」
「ん？」
「ダンマス領域次第では内部でＤＰ収益を増やすために有効スポナーでモンスターを放つ場合がある。が、その情報は他のコアから貰ったりすれば、うちの範囲はわかる。」
「じゃあいるんだ？」
「流れ者の村周辺ではパークボアが放出されてる。中立でな。そこの村人用だ。一応ヌーアでも鹿とかが放されてる。」
「そう言うのあるんだ。」
「あいつらがいると、雑草喰ってくれるから、周りの木が大きくなる助けになるんだよ。だから自然保護の観点だな。」
　少し奥原の顔が明るくなった感じだ。
「だから、自然環境があるよな程度だ。但し自然に最初から生き物もいるし、この辺はウサギ、イノシシの出現は聞く。ま、それ位だな。」
「へぇ。平和なんた。」
「まあ、だからこそ、大量運輸に期待がかかるんだ。」
「ん？」
「今のところ荷車運輸は貴族か俺達しかやってないからな。基本はリュックで一人で運ぶんだ。」
「背負子って奴？」
「ま、それだな。だからうちが唯一運輸業だ。頼まれた商品をゴーレム便で送るんだが・・・そう言うのが無いらしいんだ。しかも、シルキーは全員一日か二日もつゴーレムなら領域内なら自作できる。だから交互通行も可能だ。ま、最近、通信網ができたね、だと思っていい。」
「分かった。泊まりに来ていいの？」
「いいぞ、飯食うＤＰも配給されてれば自宅でもいいが、何がいいのか、考えろ、自分の身の振り方をな。」
「あんたは商人を？」
「あの村で承認できる奴が俺しかいなくて…ただ、母さんをこっちに呼ぶと増長で身を滅ぼしかねないからな。俺は単身赴任さ。こっちで。」
　苦笑いする少年の顔は、苦労した苦労人の顔だった。