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セブンナイト
急襲!馬車での戦い!!
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初めての馬車の旅。異世界に来たら一度は乗ってみたい乗り物の一つである。当然大地もちょっとはワクワクしていた。冒険みたいだな。と。
しかし、そんなワクワクしていた感情なんて尻の痛み共に消し飛んでしまっている。そもそも移動方法はホワイトキングダムからナイトガーデンへ向かうといった馬が二頭もついている長距離用の馬車である。それは前にクルスがクロトと偽りながら乗せてくれた馬車とは雲泥の差があるのだ。つまりこの馬車はその移動力と引き換えに利便性を消失させたものである。
もちろん内装、外装などは凝った作り等ではなくシンプルに仕上がっているものだ。そして二日分の食料を積む必要があるために椅子のようなものはない。
最初は良かったのだ。共に行く騎士との雑談も悪くなかった。
「そういえば名前聞いてなかったな」
「僕の名前は テッド・ファルネシア」
「テッドだな。知っての通り俺は大地でこっちはフルネール。俺の膝に乗ってるのがレヴィアでフルネールの膝に乗ってるのがナルだ」
「この子達はモンスターだよね?契約してるんだ。凄いなぁ」
レヴィアとナルの腕にある銀色の腕輪を見ながら感嘆したようにテッドは言う。
「そう言えばテッドはなんでリリアを探しているんだ?」
「実は呪いの解除を頼みたかったんだ」
「呪いの解除?お前呪われてるのか?」
「僕じゃないよ。でも僕の家族さ」
「家族が呪われたのか……」
「そう。だから絶対にリリア様に会わなければならないんだ」
といった具合に彼……テッドの話を聞いていた。もちろん聞くばかりだけではなく……と言うよりはリリアとの関係性を聞かれて言葉に詰まるのだが。とにもかくにもそんな話をしながら森を越え、砂漠を越えて見晴らしの良い街道を進む。
その間、ずっと座りっぱなしなのだ。そして進む道は平らに整備などされているわけもなくガタガタと動く振動はそのまま尻へとダイレクトアタックするのだ。つまり尻が痛くなる。
「あと何時間座りっぱなしなんだ?」
日が傾き始めてきたのを知りながら大地はそう嘆く。何せ本当に痛いのだ。
「もう少し進んだら野宿の準備かな?」
痛みと戦う大地とは対照的にテッドは爽やかそうにしている。チラリと視線を移したフルネールも同様にすまし顔だ。
「お前らなんでそんなに余裕なんだよ……」
「僕はナイトガーデンからホワイトキングダムに来るときに散々乗ってきたからね。まぁそれよりも今回の方が乗っている時間は長いけど……まだ大丈夫だよ」
そんなに慣れるものなのだろうか?
再びフルネールの方へ視線を向けるとフルネールはムッとした顔でにらみ返してきた。
「もしかして大地さんは私にも聞こうとしてます?女の子にそんなこと聞こうものなら平手打ちですよ!」
「流石に聞かねぇよ……てか聞けねぇよ……」
女性の恐ろしさと言うのはいくら大地でもわかっている。滅多なことを聞いて殴られるのは流石にごめんなのだ。
「大地。アタシどいたほうが良いかしら?」
大地の膝の上に座っているレヴィアが心配そうにそう聞いてきた。今の状況下で労ってくれるのはホロリと涙が出てくる。
「いや、そのままで構わない」
むしろいてくれた方が助かるまである。特にその澄んだ瑠璃色の髪をゆっくり撫でると目を細めて嬉しそうにするレヴィアを見るだけでも十分な癒しを大地にもたらしてるのだ。
「そ、そう……でも無理しちゃだめよ?アタシはここに座れて嬉しいけど……」
少しだけ照れたように言うレヴィアにさらに癒されてまたまた頭を優しく撫でる。
「そう言えばナイトガーデンってどういうところ何だ?」
現在の大地が知っていることは騎士がいる。くらいなものである。それしか情報がないのだからリリアがなぜ連れていかれたのかを推測する材料が何一つない。
「どういうところ……か。そうだね。あの国は王様の次に偉いのが三人の騎士なんだ」
「三騎士ってやつか?」
「うん。良く言われている三騎士は夜空のアルメルス、朝風のヨシュア、夕陽のマーレだ。ただ、理由は不明なんだけと夕陽はここ最近代替りしたんだよね」
「ほー。もしかしてリリアがさらわれたのはその三騎士のせいなのか?」
「それはないと思う。三騎士が勝手にそんなことするとは思えないし王様がそんな命令するとも思えないんだ……」
確かに夜空のアルメルスはリリアを相手にしている時は礼儀を欠かしていなかったし、もし他の二人も似たような人材ならテッドが否定するのも当然か。
だとすれば怪しいのはそれより下の……。
「なぁ例えばなんだけど。リリアを使って三騎士を陥れる事はできるのか?」
「聖女様を?どうかな……。それに三騎士を陥れてどうしようと言うんだい?」
「そこはほら、三騎士を恨んでいる奴とか、今の体制が気にくわない奴が自分の地位を上げるためとか?」
テッドは思い当たる節を探すように自分の顎に手を当てる。例えば三騎士がいることで割りを食ってる奴がいるか?例えば三騎士に捕えられて恨んでる奴は?
だが、前者に思い当たる事はなく、後者なら聖女を拉致したところで三騎士に何かあるとは思えない。
「う~ん。そう言えば三騎士の真似をしたのかわからないが七騎士と言うのを作った人がいるな」
「七騎士?」
「ああ。なんか三騎士に匹敵するほどの人材を揃えたとか言っていたな」
「そいつらの私怨と言うのはなさそうか?」
首を横に振ってテッドは大地の言葉を否定する。
「わからない。と言うのが正直なところだ。彼らは心配して聖女様をお連れする為に動く僕の手助けをしてくれようとしてくれたけれど……それが本心かどうかは僕に見抜けなかったから」
「そうか……痛ってぇ!」
話のちょうど終わりに大きな石があったのか馬車が跳ねた。それと同時に大地もフワリ……からの床へのメテオストライクである。
「ちょ、ちょっと大地さん大丈夫ですか?」
尻への痛恨の一撃を受けた大地へフルネールが顔を覗きなが心配する。
「太陽も大分傾いてきたし脇にそれてここらで野宿しようか」
時間も言い頃合いだと見計らい、テッドは立ち上がると御者の方へ近づくとその旨を伝えた。
「あー、九死に一生を得た気分だぜ……」
「大地さん大袈裟すぎですよ。それとも……私にナデナデして欲しいアピールですか?」
少し色っぽくフルネールが言ってくるが彼女の事だ。きっと『頭を』と言う言葉を敢えて言わずに言ってきたに違いない。ただそれならそれで恥ずかしく思う大地は慌てて否定した。
「そ、そんなこと思ってねぇよ!」
「やだなぁ勘違いしないでくださいよ。お尻の事ですよ」
ウィンクしながらドヤ顔で言ってくるフルネールに対して。
「余計に思ってねぇよ!!」
と叫ぶように返した。
「そもそも俺が頷いたらどうすんだよ」
「ドン引きしますね」
悪びれもしない笑顔のままそんなことを言ってくるものだからなにか言い換えそうとするが、フルネールに先手をとられた。
「でも言ったからにはちゃんと撫でてあげますよ……泣きながら」
「あほか!」
そんなアホなやり取りをしている間にも夜営の準備はちゃくちゃくと進んでいた。主に御者とテッド。お手伝いにレヴィアとナルの四人で。
「あ、わりぃ。俺たちも何か手伝うぞ」
とは言うものの何をどうしたら良いのかなんてわかるはずもない。野宿は何時もしているが夜営は初めてなのだ。
「ゆっくりしていてください。あとはこの魔道具の設置するだけなのですぐ終わりますよ」
そう言って御者が両手で抱えた大きな三角コーン見たいな物を持ちながら言う。
「それは?」
「これは明かりと暖を取るための魔道具です」
御者が設置し終わり魔力を込めて起動すると魔道具が赤い光を放ち始めた。似たような魔道具を雪山に行った時に見たことがある。
「おお、なかなか暖かいな。もう一つ聞くんだがここで寝るんだよな?」
「そうですが、野宿は初めてですか?あれでしたら馬車の中で寝ても問題ありませんよ?」
「いや、毎日野宿しているからそれは別にいいんだ。それよりこのだだっ広い場所で寝てたらモンスターに襲われるんじゃないか?」
今は陽が完全に落ちたせいで辺り一帯は真っ暗である。今の唯一の明かりは先ほど設置された魔道具の明かりのみである。そうなるとモンスターの接近にも中々気づくのが難しいはずだ。
しかし、御者は大地の心配事に対して問題視をしていなかった。
「そちらは大丈夫ですよ。そちらのお嬢さん方にモンスター避けを置いて貰いましたから」
そう言って御者の目配せで視線を向けた先にいるのがレヴィアとナルだった。二人はせっせとお手伝いをしていたらしい。
「そっか。二人ともがんばったな!」
「これくらい当然よ!」
「えへへ。がんばりました!」
大地のそばまでトコトコ歩いてきては満面の笑みを見せれる。そんな彼女達を労う意味も込めて大地は頭を撫でてあげると嬉しそうに目を細めた。
が、その隣で自分に指を向けながら猛烈にアピールをする存在が一人……いや一神。そう、フルネールである。無言の圧という視線までついてきている。
「わかったわかった!だからせめてなんか言えよ!」
二人を撫で終えた後にフルネールへ体を向けると彼女の美しくきめ細かい銀色の髪を優しく撫でる。
「大地さんの優しく撫でるの好きですよ」
「そりゃよかった」
フルネールもこうしていると本当に美人だ。それ故にこの顔を眺めていたくもなるのだが……。
「大地さん?そんなに見つめて惚れちゃいました?いやぁ照れちゃいますね!」
これが長続きしない原因である。
大地はため息を一つ吐き出して撫でる手を止めて引っ込めた。
「もういいだろ?取り敢えず寝るしたくだな。ところでテッド。明日にはナイトガーデンにつくのか?」
「つくのは明後日だな。だから明日もずっと馬車の中だ」
「マジかよ……」
大地がどれほどうんざりしようが残酷にも夜は更けていく。
しかし、そんなワクワクしていた感情なんて尻の痛み共に消し飛んでしまっている。そもそも移動方法はホワイトキングダムからナイトガーデンへ向かうといった馬が二頭もついている長距離用の馬車である。それは前にクルスがクロトと偽りながら乗せてくれた馬車とは雲泥の差があるのだ。つまりこの馬車はその移動力と引き換えに利便性を消失させたものである。
もちろん内装、外装などは凝った作り等ではなくシンプルに仕上がっているものだ。そして二日分の食料を積む必要があるために椅子のようなものはない。
最初は良かったのだ。共に行く騎士との雑談も悪くなかった。
「そういえば名前聞いてなかったな」
「僕の名前は テッド・ファルネシア」
「テッドだな。知っての通り俺は大地でこっちはフルネール。俺の膝に乗ってるのがレヴィアでフルネールの膝に乗ってるのがナルだ」
「この子達はモンスターだよね?契約してるんだ。凄いなぁ」
レヴィアとナルの腕にある銀色の腕輪を見ながら感嘆したようにテッドは言う。
「そう言えばテッドはなんでリリアを探しているんだ?」
「実は呪いの解除を頼みたかったんだ」
「呪いの解除?お前呪われてるのか?」
「僕じゃないよ。でも僕の家族さ」
「家族が呪われたのか……」
「そう。だから絶対にリリア様に会わなければならないんだ」
といった具合に彼……テッドの話を聞いていた。もちろん聞くばかりだけではなく……と言うよりはリリアとの関係性を聞かれて言葉に詰まるのだが。とにもかくにもそんな話をしながら森を越え、砂漠を越えて見晴らしの良い街道を進む。
その間、ずっと座りっぱなしなのだ。そして進む道は平らに整備などされているわけもなくガタガタと動く振動はそのまま尻へとダイレクトアタックするのだ。つまり尻が痛くなる。
「あと何時間座りっぱなしなんだ?」
日が傾き始めてきたのを知りながら大地はそう嘆く。何せ本当に痛いのだ。
「もう少し進んだら野宿の準備かな?」
痛みと戦う大地とは対照的にテッドは爽やかそうにしている。チラリと視線を移したフルネールも同様にすまし顔だ。
「お前らなんでそんなに余裕なんだよ……」
「僕はナイトガーデンからホワイトキングダムに来るときに散々乗ってきたからね。まぁそれよりも今回の方が乗っている時間は長いけど……まだ大丈夫だよ」
そんなに慣れるものなのだろうか?
再びフルネールの方へ視線を向けるとフルネールはムッとした顔でにらみ返してきた。
「もしかして大地さんは私にも聞こうとしてます?女の子にそんなこと聞こうものなら平手打ちですよ!」
「流石に聞かねぇよ……てか聞けねぇよ……」
女性の恐ろしさと言うのはいくら大地でもわかっている。滅多なことを聞いて殴られるのは流石にごめんなのだ。
「大地。アタシどいたほうが良いかしら?」
大地の膝の上に座っているレヴィアが心配そうにそう聞いてきた。今の状況下で労ってくれるのはホロリと涙が出てくる。
「いや、そのままで構わない」
むしろいてくれた方が助かるまである。特にその澄んだ瑠璃色の髪をゆっくり撫でると目を細めて嬉しそうにするレヴィアを見るだけでも十分な癒しを大地にもたらしてるのだ。
「そ、そう……でも無理しちゃだめよ?アタシはここに座れて嬉しいけど……」
少しだけ照れたように言うレヴィアにさらに癒されてまたまた頭を優しく撫でる。
「そう言えばナイトガーデンってどういうところ何だ?」
現在の大地が知っていることは騎士がいる。くらいなものである。それしか情報がないのだからリリアがなぜ連れていかれたのかを推測する材料が何一つない。
「どういうところ……か。そうだね。あの国は王様の次に偉いのが三人の騎士なんだ」
「三騎士ってやつか?」
「うん。良く言われている三騎士は夜空のアルメルス、朝風のヨシュア、夕陽のマーレだ。ただ、理由は不明なんだけと夕陽はここ最近代替りしたんだよね」
「ほー。もしかしてリリアがさらわれたのはその三騎士のせいなのか?」
「それはないと思う。三騎士が勝手にそんなことするとは思えないし王様がそんな命令するとも思えないんだ……」
確かに夜空のアルメルスはリリアを相手にしている時は礼儀を欠かしていなかったし、もし他の二人も似たような人材ならテッドが否定するのも当然か。
だとすれば怪しいのはそれより下の……。
「なぁ例えばなんだけど。リリアを使って三騎士を陥れる事はできるのか?」
「聖女様を?どうかな……。それに三騎士を陥れてどうしようと言うんだい?」
「そこはほら、三騎士を恨んでいる奴とか、今の体制が気にくわない奴が自分の地位を上げるためとか?」
テッドは思い当たる節を探すように自分の顎に手を当てる。例えば三騎士がいることで割りを食ってる奴がいるか?例えば三騎士に捕えられて恨んでる奴は?
だが、前者に思い当たる事はなく、後者なら聖女を拉致したところで三騎士に何かあるとは思えない。
「う~ん。そう言えば三騎士の真似をしたのかわからないが七騎士と言うのを作った人がいるな」
「七騎士?」
「ああ。なんか三騎士に匹敵するほどの人材を揃えたとか言っていたな」
「そいつらの私怨と言うのはなさそうか?」
首を横に振ってテッドは大地の言葉を否定する。
「わからない。と言うのが正直なところだ。彼らは心配して聖女様をお連れする為に動く僕の手助けをしてくれようとしてくれたけれど……それが本心かどうかは僕に見抜けなかったから」
「そうか……痛ってぇ!」
話のちょうど終わりに大きな石があったのか馬車が跳ねた。それと同時に大地もフワリ……からの床へのメテオストライクである。
「ちょ、ちょっと大地さん大丈夫ですか?」
尻への痛恨の一撃を受けた大地へフルネールが顔を覗きなが心配する。
「太陽も大分傾いてきたし脇にそれてここらで野宿しようか」
時間も言い頃合いだと見計らい、テッドは立ち上がると御者の方へ近づくとその旨を伝えた。
「あー、九死に一生を得た気分だぜ……」
「大地さん大袈裟すぎですよ。それとも……私にナデナデして欲しいアピールですか?」
少し色っぽくフルネールが言ってくるが彼女の事だ。きっと『頭を』と言う言葉を敢えて言わずに言ってきたに違いない。ただそれならそれで恥ずかしく思う大地は慌てて否定した。
「そ、そんなこと思ってねぇよ!」
「やだなぁ勘違いしないでくださいよ。お尻の事ですよ」
ウィンクしながらドヤ顔で言ってくるフルネールに対して。
「余計に思ってねぇよ!!」
と叫ぶように返した。
「そもそも俺が頷いたらどうすんだよ」
「ドン引きしますね」
悪びれもしない笑顔のままそんなことを言ってくるものだからなにか言い換えそうとするが、フルネールに先手をとられた。
「でも言ったからにはちゃんと撫でてあげますよ……泣きながら」
「あほか!」
そんなアホなやり取りをしている間にも夜営の準備はちゃくちゃくと進んでいた。主に御者とテッド。お手伝いにレヴィアとナルの四人で。
「あ、わりぃ。俺たちも何か手伝うぞ」
とは言うものの何をどうしたら良いのかなんてわかるはずもない。野宿は何時もしているが夜営は初めてなのだ。
「ゆっくりしていてください。あとはこの魔道具の設置するだけなのですぐ終わりますよ」
そう言って御者が両手で抱えた大きな三角コーン見たいな物を持ちながら言う。
「それは?」
「これは明かりと暖を取るための魔道具です」
御者が設置し終わり魔力を込めて起動すると魔道具が赤い光を放ち始めた。似たような魔道具を雪山に行った時に見たことがある。
「おお、なかなか暖かいな。もう一つ聞くんだがここで寝るんだよな?」
「そうですが、野宿は初めてですか?あれでしたら馬車の中で寝ても問題ありませんよ?」
「いや、毎日野宿しているからそれは別にいいんだ。それよりこのだだっ広い場所で寝てたらモンスターに襲われるんじゃないか?」
今は陽が完全に落ちたせいで辺り一帯は真っ暗である。今の唯一の明かりは先ほど設置された魔道具の明かりのみである。そうなるとモンスターの接近にも中々気づくのが難しいはずだ。
しかし、御者は大地の心配事に対して問題視をしていなかった。
「そちらは大丈夫ですよ。そちらのお嬢さん方にモンスター避けを置いて貰いましたから」
そう言って御者の目配せで視線を向けた先にいるのがレヴィアとナルだった。二人はせっせとお手伝いをしていたらしい。
「そっか。二人ともがんばったな!」
「これくらい当然よ!」
「えへへ。がんばりました!」
大地のそばまでトコトコ歩いてきては満面の笑みを見せれる。そんな彼女達を労う意味も込めて大地は頭を撫でてあげると嬉しそうに目を細めた。
が、その隣で自分に指を向けながら猛烈にアピールをする存在が一人……いや一神。そう、フルネールである。無言の圧という視線までついてきている。
「わかったわかった!だからせめてなんか言えよ!」
二人を撫で終えた後にフルネールへ体を向けると彼女の美しくきめ細かい銀色の髪を優しく撫でる。
「大地さんの優しく撫でるの好きですよ」
「そりゃよかった」
フルネールもこうしていると本当に美人だ。それ故にこの顔を眺めていたくもなるのだが……。
「大地さん?そんなに見つめて惚れちゃいました?いやぁ照れちゃいますね!」
これが長続きしない原因である。
大地はため息を一つ吐き出して撫でる手を止めて引っ込めた。
「もういいだろ?取り敢えず寝るしたくだな。ところでテッド。明日にはナイトガーデンにつくのか?」
「つくのは明後日だな。だから明日もずっと馬車の中だ」
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