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月光の花嫁
チートの強みとは技術を能力で埋められること
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「今開けてやるよ」
透明の箱の前でうろうろしているマーガレットに近づいた大地は鍵を見せながらそう言った。
「え……変態はどうして……」
「さっきから誰が変態だ!」
「ピー!」
マーガレットの物言いにムッときた大地が流石に怒った。
知らなかったとはいえ少し足を触っただけで寝に持ちすぎだろ!……まぁ少しって言うか女性の足で考えたらわしづかみ見たいなものだけど?でも、襲ってきたのはそっちなんだからしょうがないだろ!
という言葉を心の中に押し込んでため息を吐き出した。
「っていうかそれ泣き声かよ……。とりあえずどいてくれ開けるから」
不思議そうに自分を見たロボットが何も言わずに大人しく退くのを確認してから大地は透明の箱に鍵を近づける。一回目が偶然だとしても二回目となる今、大地は躊躇なく鍵を差し込んだ。後は回せばそれで開くのだが大地はそこで止めている。
「……あの?」
まったく動かない大地に不審がってマーガレットは声をかける。
「なぁ……こいつを開けるかわりに約束しろ」
「え?……何を約束すればいいの?」
「戦うのは良い。だけど相手は俺一人だ。リリアとグラネスには手を出すな」
そう言うと大地はリリアがやったように鍵を回したあとその場から離れる。透明の箱が左右にゆっくりと開き黄金の鎧がいっそうの輝きを放った。
「……良いでしょう。私と貴方の決闘です」
マーガレットが黄金の鎧に上から音を立ててハマるとくすんだ銅色の上半身が黄金へと変わっていく。これにより大地と同じくらいの背丈となったマーガレットは黄金の鎧についている盾を取り、剣を引き抜き、そしてその剣先を大地へと向けて高らかに宣言した。
「さぁ始めましょうか……私は己が使命を果たさんがために貴方を討ちます!」
そのマーガレットの騎士としての性分を見せられた大地は心に響くものがあり、その宣言に応えるように鉄の剣を召喚した。
「かかってこい。俺がお前の使命を終わらせてやる」
そう言いつつ心のどこかで『今俺カッコよくね?』と思いつつ決め顔をする大地。だが、そのふざけた考えを直ぐに捨てる事になった。大地が言葉を口にした後、すぐにマーガレットが動いたのだ。
マーガレットが繰り出したのはただの一閃。しかし、マーガレットの背中に取り付けてあるロケットブースターにより初速から最大速度で近づいてからの首を狙った正確な一撃はたったそれだけで必殺の技となる。
ただ、今回必殺に足り得なかったのはマーガレットの技量より大地の能力が上回ったからである。体を後ろに反らす事で紙一重で避けた大地は体勢を立て直す前に上半身へと狙いを定めた。そして元の体勢へと戻る勢いを利用してマーガレットの体へ突きを放つ。
大地の放った突きはしっかりとマーガレットの体へ向かうのだが、当たる直前に剣が上方向に弾かれた。
「くっ……」
大地は剣を離しはしなかったものの体は大きく仰け反って腕を大きく上げられてしまった。そこにマーガレットは大地の上半身に目掛けて剣を振るった。
大地は仰け反る体に逆らわずに重心を後ろに倒して、マーガレットの剣をやり過ごすとそのままバク転をして体勢を立て直した。
「今のを避けますか……」
「そうそう死んでやることは出来ないからな」
今度は大地が動く。真っ直ぐマーガレットの前まできた大地は縦に振り下ろす。
それをマーガレットは剣を横にして受けて防ぐのだが……タイミングはギリギリだった。
洗練されていないその動きと言うのは手練れな騎士からしたら厄介なものでどう動くのか予想がつかない。それはマーガレットも同じなのだ。
剣を持って対峙したときの駆け引きがまったくないのである。その上で力も速さも熟練された騎士よりも上なのだからたちが悪いのだ。
しかし、それでも体勢一つで込められる力が変わることを熟知しているマーガレットは大地の剣を弾く余裕もある。
「はあっ!!」
「うわっ……とと……」
勢いに押されて数歩よろめきながら後退した大地は構え直す。
「不思議な人ですね。貴方……騎士どころか剣をあまり握ってすらいないのでしょう?太刀筋を見ればわかります」
「流石だな」
誉め言葉を送ったのだがマーガレットは大地の言葉には反応を示さなかった。
「なのに、何故最初の一太刀を避ける事が出来たんでしょうか」
剣先が届くギリギリの距離まで最速で近づいて切る神速の一撃なのだ。軸足の置き方や重心を見ていればある程度予測する事は出来るだろうし、予測できなければ防ぐ事なんて出来ないはずだった。
「それはな……俺が強いからだ!」
大地が再び切りかかる。それを盾で防いだマーガレットは鋭く剣を振るった。それを避けた大地は何度も攻撃を続けるが盾と剣技に阻まれる。
「強いと言う割には私に攻撃が与えられていませんが?」
煽るように言うマーガレットに大地は鼻で笑った。
「ふっ。そりゃあ手加減しているしな。お前だってそうだろ?全力をだしていない」
「……わかりますか?」
「ま。なんとなくな……ここで二つの選択肢を選ばせてやるよ。全力出さずに倒されるか、全力出して倒されるか。どっちがいい?」
完全に舐めたような物言いでわざと煽る大地の言葉を受け、マーガレットは「……良いでしょう」と答えて剣を下ろした。
「ここから本気でいきます!」
透明の箱の前でうろうろしているマーガレットに近づいた大地は鍵を見せながらそう言った。
「え……変態はどうして……」
「さっきから誰が変態だ!」
「ピー!」
マーガレットの物言いにムッときた大地が流石に怒った。
知らなかったとはいえ少し足を触っただけで寝に持ちすぎだろ!……まぁ少しって言うか女性の足で考えたらわしづかみ見たいなものだけど?でも、襲ってきたのはそっちなんだからしょうがないだろ!
という言葉を心の中に押し込んでため息を吐き出した。
「っていうかそれ泣き声かよ……。とりあえずどいてくれ開けるから」
不思議そうに自分を見たロボットが何も言わずに大人しく退くのを確認してから大地は透明の箱に鍵を近づける。一回目が偶然だとしても二回目となる今、大地は躊躇なく鍵を差し込んだ。後は回せばそれで開くのだが大地はそこで止めている。
「……あの?」
まったく動かない大地に不審がってマーガレットは声をかける。
「なぁ……こいつを開けるかわりに約束しろ」
「え?……何を約束すればいいの?」
「戦うのは良い。だけど相手は俺一人だ。リリアとグラネスには手を出すな」
そう言うと大地はリリアがやったように鍵を回したあとその場から離れる。透明の箱が左右にゆっくりと開き黄金の鎧がいっそうの輝きを放った。
「……良いでしょう。私と貴方の決闘です」
マーガレットが黄金の鎧に上から音を立ててハマるとくすんだ銅色の上半身が黄金へと変わっていく。これにより大地と同じくらいの背丈となったマーガレットは黄金の鎧についている盾を取り、剣を引き抜き、そしてその剣先を大地へと向けて高らかに宣言した。
「さぁ始めましょうか……私は己が使命を果たさんがために貴方を討ちます!」
そのマーガレットの騎士としての性分を見せられた大地は心に響くものがあり、その宣言に応えるように鉄の剣を召喚した。
「かかってこい。俺がお前の使命を終わらせてやる」
そう言いつつ心のどこかで『今俺カッコよくね?』と思いつつ決め顔をする大地。だが、そのふざけた考えを直ぐに捨てる事になった。大地が言葉を口にした後、すぐにマーガレットが動いたのだ。
マーガレットが繰り出したのはただの一閃。しかし、マーガレットの背中に取り付けてあるロケットブースターにより初速から最大速度で近づいてからの首を狙った正確な一撃はたったそれだけで必殺の技となる。
ただ、今回必殺に足り得なかったのはマーガレットの技量より大地の能力が上回ったからである。体を後ろに反らす事で紙一重で避けた大地は体勢を立て直す前に上半身へと狙いを定めた。そして元の体勢へと戻る勢いを利用してマーガレットの体へ突きを放つ。
大地の放った突きはしっかりとマーガレットの体へ向かうのだが、当たる直前に剣が上方向に弾かれた。
「くっ……」
大地は剣を離しはしなかったものの体は大きく仰け反って腕を大きく上げられてしまった。そこにマーガレットは大地の上半身に目掛けて剣を振るった。
大地は仰け反る体に逆らわずに重心を後ろに倒して、マーガレットの剣をやり過ごすとそのままバク転をして体勢を立て直した。
「今のを避けますか……」
「そうそう死んでやることは出来ないからな」
今度は大地が動く。真っ直ぐマーガレットの前まできた大地は縦に振り下ろす。
それをマーガレットは剣を横にして受けて防ぐのだが……タイミングはギリギリだった。
洗練されていないその動きと言うのは手練れな騎士からしたら厄介なものでどう動くのか予想がつかない。それはマーガレットも同じなのだ。
剣を持って対峙したときの駆け引きがまったくないのである。その上で力も速さも熟練された騎士よりも上なのだからたちが悪いのだ。
しかし、それでも体勢一つで込められる力が変わることを熟知しているマーガレットは大地の剣を弾く余裕もある。
「はあっ!!」
「うわっ……とと……」
勢いに押されて数歩よろめきながら後退した大地は構え直す。
「不思議な人ですね。貴方……騎士どころか剣をあまり握ってすらいないのでしょう?太刀筋を見ればわかります」
「流石だな」
誉め言葉を送ったのだがマーガレットは大地の言葉には反応を示さなかった。
「なのに、何故最初の一太刀を避ける事が出来たんでしょうか」
剣先が届くギリギリの距離まで最速で近づいて切る神速の一撃なのだ。軸足の置き方や重心を見ていればある程度予測する事は出来るだろうし、予測できなければ防ぐ事なんて出来ないはずだった。
「それはな……俺が強いからだ!」
大地が再び切りかかる。それを盾で防いだマーガレットは鋭く剣を振るった。それを避けた大地は何度も攻撃を続けるが盾と剣技に阻まれる。
「強いと言う割には私に攻撃が与えられていませんが?」
煽るように言うマーガレットに大地は鼻で笑った。
「ふっ。そりゃあ手加減しているしな。お前だってそうだろ?全力をだしていない」
「……わかりますか?」
「ま。なんとなくな……ここで二つの選択肢を選ばせてやるよ。全力出さずに倒されるか、全力出して倒されるか。どっちがいい?」
完全に舐めたような物言いでわざと煽る大地の言葉を受け、マーガレットは「……良いでしょう」と答えて剣を下ろした。
「ここから本気でいきます!」
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