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月光の花嫁
隠された扉の暴き方
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「な、何だったんだ?」
その問いにはリリアも答えが出せず「えっ……とぉ~」と口走る。そして召喚していた武器達を消している大地の方向へ振り向くと言うのだ。
「ダ、ダイチさん。女性?の足を乱暴に触ってはダメですよ?」
「リリア。それ本気で言ってる?」
リリアの言葉に大地はそう訪ねると彼女は苦笑ぎみに「えへへ」と笑ってきた。その表情から本気ではないとわかり大地は小さくため息をつく。
「ところで俺達が進む道はやっぱりあれしかないのか」
ロボットが壊したおかげで先に進む通路が見えてはいるが、この先に進むと確実にロボットと鉢合わせだ。
「なぁリリア。俺ここから先に進みたくないんだけど……というかあのロボットに会いたくない」
それが大地の正直な思いだった。ただの敵としてミサイルやレーザーを放ってくるロボットなら(本当は嫌だけど)まだ良いのだ。こともあろうに性別女性?のように接してこられるのが一番困る。ロボットに触れてもセクハラになるんだろうか?そんな馬鹿げたことが頭をよぎってしまう。
「あ、あはは。でも、ここでじっとしているわけには行きませんし、グラネスさんがどうしているかも気になります」
「そうだよなぁ。……諦めて進むか」
この部屋での二度目のため息を吐き出した大地は通路へと目を向けると歩き出した。建物から発する淡い光だけの薄暗い雰囲気が変わらない通路を歩いていく。
「ここは今どの辺なんだろうな……」
「同じ通路ばかりで代わり映えがしませんね」
同じような道を進み続けているせいでこの道が入口に続いているのかどうかすら分からなくなってくる。
「遺跡って光る物なのか?」
「いえ、ここの遺跡自体が魔道具の影響を受けているんだと思います」
リリアが遺跡の壁に手をついてそう答えたのを見て大地も同じように壁に手をついて見る。だが特に何も感じられず大地が小首をかしげるがそれを見ていたリリアがクスクスと笑った。
「何かわかりましたか?」
行動を一部始終見られていて少し顔が熱くなるのを感じた大地は「何も分からないな」と出来るだけ平静を装った。だが、リリアは再びクスクスと笑った。
「実は私も壁に触れても魔力が流れているくらいしか分からないんです」
「え?」
舌を出してお茶目な様子を見せるリリアに呆気に取られているとリリアが更に口を開いてきた。
「不死鳥石って覚えてますか?」
「ああ、砂漠の地下に行った時に見た光る石だよな」
「はい。その不死鳥石が使われてはいなさそうですし、魔法だとしたら既に効果を失っていると思ったので魔道具だと判断したんですよ」
「なるほどな……俺はてっきり手をつけば何でもわかるもんだと思ったよ」
「それならいいんですけどね」
はにかみながらリリアが大地の側まで近寄り、大地が手をついた近くに自分の手をつけた。ただ、そこで何かを感じ取ったのかリリアの顔が少しだけ強ばった。
「リリア?」
一変した表情をするリリアへ声をかけてもすぐには返事が戻ってこない。
「何かあったのか?」
再び大地が口を開いて問うとようやくリリアは大地へ顔を向けた。
「何か……この場所にあります。不思議な感じ……魔力を流してみますから少し離れてて下さい」
「危険はないんだよな?」
そう心配そうに言う大地にリリアは「もちろん大丈夫ですよ」と答えと。
大地が離れるとリリアは魔力を流す。その意味を大地は理解していないがこれによって魔法で隠された物を暴くことができるのだ。
魔力を流し終わるとリリアが感じたようにそれは現れた。木製で取手がついてるそれは秘密の隠れ家へ続く扉のようだった。
「こんなところに扉?」
「そうみたいですね……中に入ってみましょう」
リリアが取手へ手をかけた瞬間、慌てて大地は止めた。
「まてまてまて。俺が開けるから!」
その勢いにキョトンとしたリリアは大地の言葉に従うように取手から手を離して大地の後ろへ歩いていく。
「それじゃあダイチさん。お願いします」
リリア自身でもわからないが、何となく大地が前を歩いてくれることに嬉しく思うのだ。本当なら自分が前にでてトラップ等を対処した方がいいのだけれど……最近、不思議なことに危険から守ってくれる大地を見ていたいと思うようになってきている。
「よし。それじゃあ開けるぞ!」
大地がゆっくりと扉を開いていく。その遅い動きのせいか少し錆びた金属からキィィィィと甲高い音がなってしまう。
「ただの部屋?」
なんの変哲もない物置部屋のように見える。ボロボロの剣や槍が入った樽。埃だらけになった机。何が入っているのかわからない木箱。綺麗なままの状態を保っている宝箱。
「宝箱……」
宝箱なんて元の世界でも見たことなかった。それが年月が経っていることを思わせないほどの姿で置かれているのだ。
「ダイチさん。これは……魔道具ですよ。たぶん長く保存する為の物ですね」
「魔道具?……少し前から気になってるんだけどさ、魔道具ってどれくらい長く使えるんだ?」
「え?」
「この遺跡を隠していた魔道具は効果切れなんだろ?でも他の魔道具が生きているのが不思議でさ」
「それは魔道具と使い方によりますから一概には言えないんですけど、この遺跡を隠していた魔道具は頑丈に作ったけれど消耗が激しくて先に壊れたんだと思います」
「そう言うものなのか」
「はい。この宝箱の魔道具は魔力の消耗を極力少なくしてるんだと思います。なのでまだ生きててこうやって開けることが出来るんですよ」
リリアはそう言いながら宝箱をいとも簡単にあけた。
その問いにはリリアも答えが出せず「えっ……とぉ~」と口走る。そして召喚していた武器達を消している大地の方向へ振り向くと言うのだ。
「ダ、ダイチさん。女性?の足を乱暴に触ってはダメですよ?」
「リリア。それ本気で言ってる?」
リリアの言葉に大地はそう訪ねると彼女は苦笑ぎみに「えへへ」と笑ってきた。その表情から本気ではないとわかり大地は小さくため息をつく。
「ところで俺達が進む道はやっぱりあれしかないのか」
ロボットが壊したおかげで先に進む通路が見えてはいるが、この先に進むと確実にロボットと鉢合わせだ。
「なぁリリア。俺ここから先に進みたくないんだけど……というかあのロボットに会いたくない」
それが大地の正直な思いだった。ただの敵としてミサイルやレーザーを放ってくるロボットなら(本当は嫌だけど)まだ良いのだ。こともあろうに性別女性?のように接してこられるのが一番困る。ロボットに触れてもセクハラになるんだろうか?そんな馬鹿げたことが頭をよぎってしまう。
「あ、あはは。でも、ここでじっとしているわけには行きませんし、グラネスさんがどうしているかも気になります」
「そうだよなぁ。……諦めて進むか」
この部屋での二度目のため息を吐き出した大地は通路へと目を向けると歩き出した。建物から発する淡い光だけの薄暗い雰囲気が変わらない通路を歩いていく。
「ここは今どの辺なんだろうな……」
「同じ通路ばかりで代わり映えがしませんね」
同じような道を進み続けているせいでこの道が入口に続いているのかどうかすら分からなくなってくる。
「遺跡って光る物なのか?」
「いえ、ここの遺跡自体が魔道具の影響を受けているんだと思います」
リリアが遺跡の壁に手をついてそう答えたのを見て大地も同じように壁に手をついて見る。だが特に何も感じられず大地が小首をかしげるがそれを見ていたリリアがクスクスと笑った。
「何かわかりましたか?」
行動を一部始終見られていて少し顔が熱くなるのを感じた大地は「何も分からないな」と出来るだけ平静を装った。だが、リリアは再びクスクスと笑った。
「実は私も壁に触れても魔力が流れているくらいしか分からないんです」
「え?」
舌を出してお茶目な様子を見せるリリアに呆気に取られているとリリアが更に口を開いてきた。
「不死鳥石って覚えてますか?」
「ああ、砂漠の地下に行った時に見た光る石だよな」
「はい。その不死鳥石が使われてはいなさそうですし、魔法だとしたら既に効果を失っていると思ったので魔道具だと判断したんですよ」
「なるほどな……俺はてっきり手をつけば何でもわかるもんだと思ったよ」
「それならいいんですけどね」
はにかみながらリリアが大地の側まで近寄り、大地が手をついた近くに自分の手をつけた。ただ、そこで何かを感じ取ったのかリリアの顔が少しだけ強ばった。
「リリア?」
一変した表情をするリリアへ声をかけてもすぐには返事が戻ってこない。
「何かあったのか?」
再び大地が口を開いて問うとようやくリリアは大地へ顔を向けた。
「何か……この場所にあります。不思議な感じ……魔力を流してみますから少し離れてて下さい」
「危険はないんだよな?」
そう心配そうに言う大地にリリアは「もちろん大丈夫ですよ」と答えと。
大地が離れるとリリアは魔力を流す。その意味を大地は理解していないがこれによって魔法で隠された物を暴くことができるのだ。
魔力を流し終わるとリリアが感じたようにそれは現れた。木製で取手がついてるそれは秘密の隠れ家へ続く扉のようだった。
「こんなところに扉?」
「そうみたいですね……中に入ってみましょう」
リリアが取手へ手をかけた瞬間、慌てて大地は止めた。
「まてまてまて。俺が開けるから!」
その勢いにキョトンとしたリリアは大地の言葉に従うように取手から手を離して大地の後ろへ歩いていく。
「それじゃあダイチさん。お願いします」
リリア自身でもわからないが、何となく大地が前を歩いてくれることに嬉しく思うのだ。本当なら自分が前にでてトラップ等を対処した方がいいのだけれど……最近、不思議なことに危険から守ってくれる大地を見ていたいと思うようになってきている。
「よし。それじゃあ開けるぞ!」
大地がゆっくりと扉を開いていく。その遅い動きのせいか少し錆びた金属からキィィィィと甲高い音がなってしまう。
「ただの部屋?」
なんの変哲もない物置部屋のように見える。ボロボロの剣や槍が入った樽。埃だらけになった机。何が入っているのかわからない木箱。綺麗なままの状態を保っている宝箱。
「宝箱……」
宝箱なんて元の世界でも見たことなかった。それが年月が経っていることを思わせないほどの姿で置かれているのだ。
「ダイチさん。これは……魔道具ですよ。たぶん長く保存する為の物ですね」
「魔道具?……少し前から気になってるんだけどさ、魔道具ってどれくらい長く使えるんだ?」
「え?」
「この遺跡を隠していた魔道具は効果切れなんだろ?でも他の魔道具が生きているのが不思議でさ」
「それは魔道具と使い方によりますから一概には言えないんですけど、この遺跡を隠していた魔道具は頑丈に作ったけれど消耗が激しくて先に壊れたんだと思います」
「そう言うものなのか」
「はい。この宝箱の魔道具は魔力の消耗を極力少なくしてるんだと思います。なのでまだ生きててこうやって開けることが出来るんですよ」
リリアはそう言いながら宝箱をいとも簡単にあけた。
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