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温泉の中の金と銀
狐を追いかけろ!
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「キューキュー」と鳴きながら逃げるナインテイルの子供を合流した5人が追いかける。先頭を走るのはフルネールだ。銀色の髪を煌めかせて本気の表情で叫ぶ。
「私の塩焼き返してくださいー!」
執念によるものかあと少しで届くその距離まで縮めたフルネールが飛び込んだ!だが、それを察知したナインテイルが跳躍して見事に躱した。
「きゃっ!」
勢いをそのままに飛び込んだフルネールはおでこから地面に激突した。
「うー。痛いです……」
直ぐに走り直したフルネールは赤くなった額を擦りながら大地へと並ぶ。
「おー。見事に赤くなってんな。大丈夫か?」
「私が行きます!」
次に前に躍り出たのはリリアだ。金色の髪をなびかせて狙い澄ます。その鋭い目つきは普段のリリアでは見ることができないだろう。それほど本気なのだ。
「私にも触らせてください!!」
そう言って邪念丸出しでぴょんっと飛び込むもナインテイルはその軌道を把握して横に移動することで避ける。
「ふぎゅ」
結局触れることすら出来なかったリリアはフルネールと同じように額を痛めながら再び走り出す形になった。
「……大丈夫か?」
「はい。何とか……」
避けられて心にダメージを受けてそうだが走る元気はまだあるようだ。
「それなら私に任せて!」
クラリスが「やあっ!」と言うかけ声を放ちながら後方から跳躍した。飛び上がった彼女は建物へ横から着地すると地を蹴る感覚で二度目の跳躍を行った。いわゆる三角跳びだ。
ナインテイルを追い越して立ちはだかるように前へ出たクラリスは「捕まえた!」と叫びながら腰を下ろして両手をつきだす。相手の速さ考慮して出す手のタイミングは完璧で捕らえたとクラリスは確信した。
「キュッ」
ナインテイルが小さく叫ぶとクラリスの顔へ跳躍し、彼女を踏み台にして飛び越えて行った。
「ちょっとーー!」
まんまとしてやられて喚いているクラリスの横を皆が走り抜けていく。直ぐにクラリスも走り出してリリアの隣へ並んだ。するとリリアが声をかけてきた。
「クラリスさん羨ましいです!私なんて足でさえ触れてないのに」
「え?ええ……」
追走は続くがナインテイルが色んなところを駆け回るせいで町の中でちょっとした悲鳴が聞こえてくる。
店の前で料理を注文している男の前をナインテイルは跳躍して通り抜ける。急に目の前に黄色い何かが横切られた事で驚いた男が尻餅をついたり。
「いてっ」
楽しそうに話ながら二人の浴衣を着た女性観光客の足の横をすり抜ける。意識外からの足に触れたふわふわの毛に驚いたその女性がぺたりと地面に座り込んでしまったり。
「きゃぁ!……なに?」
店の前に置かれたテーブルの上に並べられている幾つもの料理の皿をナインテイルが通った事でひっくり返していったり。
「せっかくの料理が!」
必死に鳴きながら逃げ続けるナインテイル。このまま被害を増やし続けるなら取っ捕まえるのではなく仕留める事も考えた方がいいだろう。……出来れば捕まえるくらいに留めたかったが。
そう考えた矢先、いつの間にかに横へ並んできたレヴィアが何かを迷う素振りを見せていた。
「レヴィア?どうしたんだ?」
「……うん。大地に一つ言うか迷ってることがあるの」
「それは、このタイミングで話すことなのか?」
今も逃走するナインテイルを追いかけながらレヴィアの言葉に耳を向ける。レヴィアの言いたいことを後回しにしないのはレヴィアが本当に迷っているように見えたからだ。
「……聞かせてくれ」
「アタシね。モンスターの言葉がわかるよ」
レヴィアがモンスターであることを考慮すれば大地が別段驚く事ではなかった。しかし、誰かが困るような自分の秘密を暴露したわけではないはずなのにレヴィアの表情から別の感情が見える。それは目を伏せて悲しそうな……。
確かにその情報は初だが何でそんな顔を?
「……レヴィア。あいつは何て言ってるんだ?」
レヴィアが何を迷っていたか。それはモンスターと話せることを隠していたかったとかではないだろう。どちらかと言えば理解できるからこそモンスターが言っている言葉を伝えていいのか躊躇したからかもしれない。
「いいの?」
念を押して聞いてくるレヴィアに大地は「教えてくれ」と頼む形で応える。そう言われることでレヴィアは話しやすくなった。
「あの子『ごめんなさい』『許して!』って。それと『助けて』とも言ってる……」
「そうか……」
生きるための必死さ……それがレヴィアの言葉から伝わってくる。モンスターは殺すべきなのだ。傷害を加えてきていなくても確実に人へ被害を出しているから。だが、懸命に走り、鳴き、逃げるナインテイルの子供を殺すのは……。
「ごめんなさい。やっぱり言わない方がよかったわね」
考え込み始めた大地を見たレヴィアはそうなるとわかっていた……だから言いたくない気持ちもあった。言えば大地を惑わせるだけ。それに大地達にはモンスターの声を聞く必要なんてないから。
「困らせるってわかってたの……でも」
「見て見ぬ振りは辛かっただろ。いいんだよそれで」
今の状況ではレヴィアをゆっくり撫で悲しみを和らげてやる時間が取れない。そのかわりに大地はレヴィアの頭を軽くポン。ポン。と二回乗せて少しだけあやすとレヴィアは小さく「うん」と呟いた。
しかし、これで殺したくない理由が増えてしまった。とは言えどうしたら良いかなんて全くわからん。肝心のフルネールは魚に夢中だし……。
「しかし、よく逃げるな」
「あれ!ダイチさん。この先は森だと思います」
リリアが指差した方向を見ると森が見えてくる。それもそのはずでもう少し行けば自分達が入ってきた町の入り口につくのだ。
だがこのまま追いかけるしかない。少なくとも殺す選択肢はとうに捨てているのだから。
ナインテイルを追いかけ森の中へ入っていく。森での追跡は町の中と違って中々難しく大地は見失いそうになるが、クラリスは手慣れているのかナインテイルが進んだ道を見つけ出して先導してくれる。
そして短い道のりだったがナインテイルの住みかと思われる目的地へついた。少しひらけた場所で色んな花が咲いている花畑だ。真ん中には大きな木があり、そのうろには寝床と思われるような複数の葉が敷き詰められていた。
だが、大地達5人が目を引いたのはそんな景色なんかではなかった。ナインテイルが餌を盗む理由、餌を運んでくる理由が目の前にある。
「キュー……」
ナインテイルはソレの前に魚を置くと悲しそうな声で鳴くのだ。何と言っているのか大地にはわからない。故に大地は視線をレヴィアへ移すが、そのレヴィアは目を伏見がちにしていた。
「大地。目の前に倒れているナインテイルは……その子のお母さんみたい……」
「私の塩焼き返してくださいー!」
執念によるものかあと少しで届くその距離まで縮めたフルネールが飛び込んだ!だが、それを察知したナインテイルが跳躍して見事に躱した。
「きゃっ!」
勢いをそのままに飛び込んだフルネールはおでこから地面に激突した。
「うー。痛いです……」
直ぐに走り直したフルネールは赤くなった額を擦りながら大地へと並ぶ。
「おー。見事に赤くなってんな。大丈夫か?」
「私が行きます!」
次に前に躍り出たのはリリアだ。金色の髪をなびかせて狙い澄ます。その鋭い目つきは普段のリリアでは見ることができないだろう。それほど本気なのだ。
「私にも触らせてください!!」
そう言って邪念丸出しでぴょんっと飛び込むもナインテイルはその軌道を把握して横に移動することで避ける。
「ふぎゅ」
結局触れることすら出来なかったリリアはフルネールと同じように額を痛めながら再び走り出す形になった。
「……大丈夫か?」
「はい。何とか……」
避けられて心にダメージを受けてそうだが走る元気はまだあるようだ。
「それなら私に任せて!」
クラリスが「やあっ!」と言うかけ声を放ちながら後方から跳躍した。飛び上がった彼女は建物へ横から着地すると地を蹴る感覚で二度目の跳躍を行った。いわゆる三角跳びだ。
ナインテイルを追い越して立ちはだかるように前へ出たクラリスは「捕まえた!」と叫びながら腰を下ろして両手をつきだす。相手の速さ考慮して出す手のタイミングは完璧で捕らえたとクラリスは確信した。
「キュッ」
ナインテイルが小さく叫ぶとクラリスの顔へ跳躍し、彼女を踏み台にして飛び越えて行った。
「ちょっとーー!」
まんまとしてやられて喚いているクラリスの横を皆が走り抜けていく。直ぐにクラリスも走り出してリリアの隣へ並んだ。するとリリアが声をかけてきた。
「クラリスさん羨ましいです!私なんて足でさえ触れてないのに」
「え?ええ……」
追走は続くがナインテイルが色んなところを駆け回るせいで町の中でちょっとした悲鳴が聞こえてくる。
店の前で料理を注文している男の前をナインテイルは跳躍して通り抜ける。急に目の前に黄色い何かが横切られた事で驚いた男が尻餅をついたり。
「いてっ」
楽しそうに話ながら二人の浴衣を着た女性観光客の足の横をすり抜ける。意識外からの足に触れたふわふわの毛に驚いたその女性がぺたりと地面に座り込んでしまったり。
「きゃぁ!……なに?」
店の前に置かれたテーブルの上に並べられている幾つもの料理の皿をナインテイルが通った事でひっくり返していったり。
「せっかくの料理が!」
必死に鳴きながら逃げ続けるナインテイル。このまま被害を増やし続けるなら取っ捕まえるのではなく仕留める事も考えた方がいいだろう。……出来れば捕まえるくらいに留めたかったが。
そう考えた矢先、いつの間にかに横へ並んできたレヴィアが何かを迷う素振りを見せていた。
「レヴィア?どうしたんだ?」
「……うん。大地に一つ言うか迷ってることがあるの」
「それは、このタイミングで話すことなのか?」
今も逃走するナインテイルを追いかけながらレヴィアの言葉に耳を向ける。レヴィアの言いたいことを後回しにしないのはレヴィアが本当に迷っているように見えたからだ。
「……聞かせてくれ」
「アタシね。モンスターの言葉がわかるよ」
レヴィアがモンスターであることを考慮すれば大地が別段驚く事ではなかった。しかし、誰かが困るような自分の秘密を暴露したわけではないはずなのにレヴィアの表情から別の感情が見える。それは目を伏せて悲しそうな……。
確かにその情報は初だが何でそんな顔を?
「……レヴィア。あいつは何て言ってるんだ?」
レヴィアが何を迷っていたか。それはモンスターと話せることを隠していたかったとかではないだろう。どちらかと言えば理解できるからこそモンスターが言っている言葉を伝えていいのか躊躇したからかもしれない。
「いいの?」
念を押して聞いてくるレヴィアに大地は「教えてくれ」と頼む形で応える。そう言われることでレヴィアは話しやすくなった。
「あの子『ごめんなさい』『許して!』って。それと『助けて』とも言ってる……」
「そうか……」
生きるための必死さ……それがレヴィアの言葉から伝わってくる。モンスターは殺すべきなのだ。傷害を加えてきていなくても確実に人へ被害を出しているから。だが、懸命に走り、鳴き、逃げるナインテイルの子供を殺すのは……。
「ごめんなさい。やっぱり言わない方がよかったわね」
考え込み始めた大地を見たレヴィアはそうなるとわかっていた……だから言いたくない気持ちもあった。言えば大地を惑わせるだけ。それに大地達にはモンスターの声を聞く必要なんてないから。
「困らせるってわかってたの……でも」
「見て見ぬ振りは辛かっただろ。いいんだよそれで」
今の状況ではレヴィアをゆっくり撫で悲しみを和らげてやる時間が取れない。そのかわりに大地はレヴィアの頭を軽くポン。ポン。と二回乗せて少しだけあやすとレヴィアは小さく「うん」と呟いた。
しかし、これで殺したくない理由が増えてしまった。とは言えどうしたら良いかなんて全くわからん。肝心のフルネールは魚に夢中だし……。
「しかし、よく逃げるな」
「あれ!ダイチさん。この先は森だと思います」
リリアが指差した方向を見ると森が見えてくる。それもそのはずでもう少し行けば自分達が入ってきた町の入り口につくのだ。
だがこのまま追いかけるしかない。少なくとも殺す選択肢はとうに捨てているのだから。
ナインテイルを追いかけ森の中へ入っていく。森での追跡は町の中と違って中々難しく大地は見失いそうになるが、クラリスは手慣れているのかナインテイルが進んだ道を見つけ出して先導してくれる。
そして短い道のりだったがナインテイルの住みかと思われる目的地へついた。少しひらけた場所で色んな花が咲いている花畑だ。真ん中には大きな木があり、そのうろには寝床と思われるような複数の葉が敷き詰められていた。
だが、大地達5人が目を引いたのはそんな景色なんかではなかった。ナインテイルが餌を盗む理由、餌を運んでくる理由が目の前にある。
「キュー……」
ナインテイルはソレの前に魚を置くと悲しそうな声で鳴くのだ。何と言っているのか大地にはわからない。故に大地は視線をレヴィアへ移すが、そのレヴィアは目を伏見がちにしていた。
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※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
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