初めての異世界転生

藤井 サトル

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叶わぬ願いと望んだ未来

魔力視

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 それは一瞬で起きたのだ。
 リリアが大気を見つめ続けると周りから音が消えた。そして同時に熱の暑さまで考えなくなった。代わりにキラキラと輝く何かが見えてきた。

 直ぐにわかった。そのキラキラの正体が魔力なのだと。そう認識した瞬間、キラキラ輝いていた粒子が雲の様に辺りを漂っているように見えた。魔力の正しい形と言うものは分からないが、漂う魔力の中には滑らかに動いている様な線となって魔石に入って行くのだ。
 自分の中で理解できたのはそうして魔石に魔力が補充されているという事だ。

 リリアが開花させた魔力視まりょくしは人間の才能で見るような物でもエルフが訓練で視認するような物ではなく、純粋な世界の原則に触れる妖精が見る魔力の形だ。だからこそリリアは視える魔力を通してこの世界の美しさを垣間見た。

 そして……その美しい世界に魔の手を伸ばすような異端ともいえる別の魔力が生み出され魔石に補充されていくのもわかった。魔石に魔力が集まってしまう原因となる魔力源。それは溶岩の中にあったのだ。

 溶岩の中の何かはボコリボコリと鳴る音を利用して魔石に魔力を補充させていたのだ。音とは空気の振動である。その振動する物の動きに魔力を乗せて魔石に運ぶ。……そしてそれはつまるところ……何かが溶岩の下にいるという事。

 気が付けば最初からおかしかったのだ。この道中では溶岩は歩いてきた地面の近くまで上がってきていた。にもかかわらず、この場所はそれより下の位置にあるというのに溶岩が昇ってきていないのだから。そして、溶岩が昇ってきていないからこそ魔石を置く台座の魔道具は動いていないのだ。

「見つけた!!」

 自然と口に出たその言葉は大地とグラネス。そして他ならぬ自分自身に希望を与えた。

「どこだ!?」

 大地もグラネスも警戒を強目ながらリリアに聞くとすぐに返事がくる。

「真下……溶岩の中です!溶岩が立てる音を利用して魔力を送っています」

 リリアの声につられて大地は下を向いて溶岩を見つめる。そして気泡により少しだけ盛り上がる溶岩からボコリボコリという音が確かに聞こえてくる。

 場所はわかったのはいいがこちらからは手が出せない場所だ。ここが湖で水の中とかなら潜ればいいが溶岩の中は流石に無理だ。銃弾を放ったところで溶岩で溶かされてしまい効果は見込めない。結局八方塞がりなのだ……大地には。

「ダイチさん、グラネスさん。少し大きな音だします!」

 注意の意味を込めてそうリリアは言った。
 音を媒介にしているのならこちらから別の音を出せば相殺できるかもしれない。そう考えたリリアは魔道具に魔力を込め始める。『女神様。御力をお貸しください』そう心の中で唱えて込める魔力は大地とは比べ物にならないほど多くの魔力をそれも均一に魔石に込める。

 十分に込められた魔道具をリリアが自分の頭上へと掲げた。

 クエエエエエーーーーーーーー!!!! 

 次の瞬間、フラッシュバードの鳴き声とも思える音が広がった。それも大音量だ。

 その音が鳴り終わると溶岩が奏でていたボコリボコリという気泡は収まっていた。それはまるで下にいる奴が意図して止めたかのように見える。

 溶岩から音がしなくなったのたであれば魔石は静まり返るのでは?と考えた大地は視線を魔石へと移すがそれは依然として真っ赤に光輝いていて止まってはいないのだと落ち込ませた。

「大丈夫です。魔力が送られるのは止められました」

 悪意ある魔力の道が消えたことを確認したリリアは魔力視を解く。その途端、どっと力が抜ける感覚を味わい意図せず膝が曲がってしまい崩れ落ち始めた。

「おっと地面は熱いぞ?」

「それは……経験則ですか?」

 とっさに手を取って支えてくれた大地の手を頼りながら疲れを隠そうと少しだけ笑みを浮かべて言ったリリアは再び足に力を込めて確りと立ち上がる。

「そんなところだ」

 そんなリリアにニヤリと笑って大地は返した。少しだけ余裕が出てきたもののそれでも疑問はつきない。

「しかし魔力の供給が止まったのはわかったが……まだ赤く光ってるのは何でだ?」

 未だに赤く熱を発する魔石。このまま放置していいのかダメなのか。判断をつけられない大地は見続けるしかなかった。

「リリアさん!ダイチ!何か来る!!」

 グラネスがいち早く地面から違和感を感じとりそう告げた。大地とリリアがその声に反応してグラネスの見ている先へと視線を動かすと地面が盛り上がり始めた。

 破壊音と共に地面から何かが飛び出してきた。溶岩を上空へ撒き散らしながら重量のある着地音と共に現れたのはモグラだ。

 大地の二倍はある体、毛並みの代わりに燃え続ける炎を生やしている姿、さして延びていないが鋭く黒い爪、そんな狂暴さがギャップになる程の可愛いつぶらな瞳。

 そんなモグラのモンスターが両足で立ちながら「クルゥー~ー!!!」と威嚇するように大地達を見て鳴いた。

 こいつが元凶か!!

 大地がショットガンを構え、グラネスは大剣を持ち上げるように構える中、なんの動きも感じられないリリアへ大地が視線を向けると……まさかのリリアは戦意喪失見惚ていた。

「ダイチさん!!大変です!!」

「お、おう。どうした?」

 勢いに押されながら返答するのだがリリアの瞳は輝いている様にも見えた。その視線の先は確かにモンスターを見据えている。

「とても……とても可愛いです!!あぁ撫でてみたい……でも燃えてるから無理でしょうか……でもでもあの可愛いお顔はズルいです」

「り、リリア?」

 リリアの意外な側面を目の当たりにして大地が困惑気味に声をかけるとハッと今が大事な時だと気づき取り繕う様に言った。

「わ、わかってます!可愛くても倒します!」

 グッと杖を握る手に力を込めて少しだけ凛々しい表情をモンスターに向ける。そんなリリアを大丈夫かな?と思わなくも無いが自分もあのモンスターを倒す為に立ち向かわなければならない。

 近づいて撃つ!そう大地が考えた瞬間、モンスターがこちらへ自分の長い爪を振るってきた。爪自体は届くことはない。だが、その爪先から炎の刃が放たれた。

 5つ並んだその炎の刃はモグラの爪による斬撃だ。炎の飛爪ひそうとでも呼べばいいか。速度はあまり早いとは言えず大地もリリアもグラネスも直ぐに避けることはできた。

「しまった!」

 避けてから気づいた。炎の飛爪が最終的に到達する場所は魔石だ。それに気づいた時には遅かった。斬撃が魔石へと当たるのだが魔石は壊れるでもなければ傷ついてすらいなかった。しかし、次の瞬間に魔石から熱風が放出された。

 急激に温度が上昇した事を感じる。熱さを増した今の場所は非常に危険領域にあるだろう。そして、これ以上熱くなればマントを羽織っていても生きられない可能性が高くなる。

「何が起きた!?」

「ダイチさん!あのモンスターの攻撃は魔力の塊みたいです!なのでその攻撃が魔石に触れると魔力を吸収して熱を生み出しています!」

 あのモンスターの攻撃を避け続ければそのうち魔石が大変な事になるのか……。非常に不味い展開だな。

「うおおおおおお!!!」

 グラネスが大剣を振りかざしてモンスターに向けて振り下ろした。だが、モグラは両手の爪を交差させて丁度刃の部分を受け止める。グラネスの重い一撃だったせいか受け止めきれるわけはなく、モンスターは後ろへ吹き飛んでいくが斬撃によるダメージまでは与えることが出来なかった。

「く……爪に防がれたか」

 モンスターを後退させるだけで留まってしまった一撃に悔しさを覚えながらグラネスが呟くその隣を大地は駆けていく。

「追撃は任せておけ!」

 後ろに転がりそうになったモンスターが体勢を立て直したばかりのところに大地は溶岩が固まったような黒い地面へ降りるとモンスターに一気に近づきショットガンの銃口を向けて引き金を引いた。

 グラネスと違いこちらの攻撃はバラける。爪なんかで防ぎようはないはずだ。

 火薬の破裂音と共に銃口から弾丸が発射され、空中で小粒の玉がバラけながらモグラへと飛ばされる。しかし、モグラは地面を強く踏んだ。それが合図だったのかモグラの手前の地面から火の壁が勢いよく現れ、散弾の玉を全て溶かしきった。

「マジかよ……」

 二人の攻撃に怒りを増したようにモグラは「クルゥーーー!!!」と再び叫んだ後に片手をかざした。先程の炎の飛爪を繰り出すつもりだ。

 だが、モグラの攻撃が放たれる前に魔力を溜め終わっていたリリアが既に攻撃を開始していた。

「ホーリーレイ!」

 杖の宝玉部分から白い光線が放たれた。その光線の行先は当然モンスターだ。

 何回か見たことある聖女ビームだ。直撃しているみたいだしこれならいけるんじゃないか?

 リリアの魔法がを受け続けているモグラを見届けながら大地はそんなフラグ的な感想を抱いた。そして聖女ビームも射ち終わった瞬間、モグラガ片手を振った。

「来るぞ!?」

 グラネスがそう叫ぶと同時に炎の飛爪が飛んできた。狙いはあくまでも魔石のようだ。当たれば更なる熱風が巻き起こるだろう。だから大地は炎の飛爪の前に出ると両腕をクロスして衝撃に備えた。

「くっ……」

 魔力で出来た攻撃だ。大地体に刃が食い込むことはないが衝撃によるダメージは通り痛みを少し感じて声を漏らした。

「ダイチさん!!大丈夫ですか!?」

「ああ、少しマントが切られただけだ」

 そのところどころ切り裂かれているマントに目を向けたリリアは動揺した。

「っ!?……それ以上破損してしまったら危険です!」

 大地にそれほどダメージはなくても同じような攻撃はもう受けれない。今はまだ魔道具としての機能を失っていないがこれ以上破けるか、背中の内側にある魔石が傷つけば効果は失いこの高温とも言える場所に生身で投げ出されてしまう。そうなればいくら大地でも長くはもつはずがない。

「ならそうならないように戦わないとな!グラネスは離れてろ!!」

 大剣でも散弾でも聖女ビームでもダメだったがこれならどうだ?

 大地はショットガンを消してから別の武器を召喚する。敵を一瞬で凍らせるその武器の名前は……れいと――凍結ビーム零式だ。

 その武器を見た瞬間、グラネスは走って距離をとる。何せその威力を目の当たりしているのだから当然の行動だ。

 大地が先細りの銃口をモグラへと向けるが、その銃口の先でモグラは大地に向かって四つん這いになって口を開けていた。

 何をする気かはわからないがこいつを防ぐことは無理だろ!!

 大地が引き金を引いて勝利を確信するが……その直後にモグラは口から赤い熱線を吐き出してきた。大地の持つ凍結ビーム零式のノズルのような銃口から発射された青白いビームとモグラが吐いた真っ赤な熱線が空中で衝突する。

 こいつビームなんて吐き出しやがった!!バトル漫画の世界かっつうの!!

 大地の心の叫びを無視して二つの光がぶつかり合う。やがて衝突箇所で行き場の無いエネルギーが膨張し小規模の爆破が起きた。

 発生した爆風が三人の髪を乱暴に撫でる。その勢いにリリアはたまらず「きゃっ」と小さな悲鳴を漏らした。
 煙が晴れるとモグラを視認できるようになるが、今の爆風程度では動じてはいないのか動きもせずにこちらを見ていた。

「余裕そうな面しやがって……」

 爆風を浴びた時にでも「クルゥー」と鳴けば少しは可愛げも出てくる……いや、リリアが反応するからだめか。しかし、毎回爆発を引き起こすわけにはいかないから凍結ビーム零式は使わない方がよさそうだ。

 大地は武器を消した――直後にモグラが動いた。四つん這いのまま俊敏に動き回り始めた。と思いきやグラネスへと飛びかかっていた。

「あの体格でこの速さ……っか!」

 見事に大剣で受けきったグラネスは足に力を込めてモグラを押し返す。宙へ放り出されたモグラだが空中で体を捻って体勢を直すとグラネスの押し返した力が強かったのか地面を摩りながら着地した。

 そのタイミングで大地は召喚した別の武器をモグラへと向けて引き金を引いた。その武器は電力をエネルギーに変換圧縮して打ち出すレーザー銃だ。

 先細りの銃口とは思えない銃口から光線を発射する。文字通り光の速さでモンスターへと放たれるがモグラは大地が引き金を引ききる前に横へ少しだけ体を動かしていた。

 それによって完全に避けきるとまではいかないが光線の被弾箇所を体の端にずらし致命傷を避けた。だがそれでも痛みはあったようでモグラは「クルゥー!」と鳴いたあと大地をにらみ続ける。

「いい声で鳴くじゃないか。もう一発どうだ!!」

 銃口を少し横にずらし、モグラの頭部に狙いを定めてから再び引き金を引いた。……だが、二発目は中ることはなかった。

 すぐさま飛び退いたモグラが回りを駆け出した。四方八方に飛んで、駆け走る相手に狙いを定めることは難しく射ちあぐねている大地にモグラが飛びかかってきた。

 咄嗟にレーザー銃を盾にしたおかげで直接的な被害は避けれたが、モグラはレーザー銃を掴んでいて密着状態だ。

「そんなに欲しけりゃくれてやるよ!」

 大地はレーザー銃から手を離して即座にハンドガンを召喚して構えると同時に引き金に掛ける指に力を込めた。

 その大地の判断に対してモグラは咄嗟に自由になったレーザー銃を両手を押し出すように大地の顔に向けて押し投げてきた。銃が顔に当たったことで若干怯んでしまった大地は向けていた銃口がぶれてしまい引き金を引き終えるのが一瞬の遅れが生じてしまい銃弾が放たれたころにはモグラは既に別の場所へと逃げられていた。

「くそっやってくれるな……」

 大地がモグラの逃げた先を目で追った。直ぐにモグラは視認できたが奴は少し離れた位置で二足歩行に戻っていた。そして何をするでもなく「クルゥーーー!」と高らかに鳴いたのだ。

 その行動が何を意味するのか。を考えた直ぐにリリアの悲鳴に似た叫び声で自分の名前が呼ばれた。

「ダイチさんっ!!魔石が!」

 魔石の輝きが明らかに増している。しかし何故だ?今までの攻撃で当たったのは一回だけだったはずだ。なのに今の魔石の光具合はかなり魔力を蓄積させているのではないだろうか。

 どうやって魔力を?特別なことなんてこいつは……いや、まさか!?

 見た目は特別ではないがその行動に意味を持たせられればどうだろうか。リリアが最初に気づいた『音』で魔力を送る。それはもしかして溶岩の中で声を発していたのかもしれない。魔力の伴った声が溶岩から出て魔石に送られていたのであれば……今の鳴き声でも魔力を送ったのだろう。

 大地が気づいた時には既に遅く、魔力を溜め込んでしまった後ろにある魔石は爆発の衝撃のような熱風を発しと。

「あっ……」

 既に悲鳴をあげる体力がないリリアはその風をもろに受けてしまい軽く吹き飛ばされた。乳白色の魔石を置く大きな台座の上からは転げ落ちなかったもののリリアはそのまま意識を失った。

「リリアっ!!!」
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