135 / 281
叶わぬ願いと望んだ未来
溶岩の作り方
しおりを挟む
下を見れば熱気が顔を焼いてくる。その視界で見えるものは暗い穴だが奥底には赤い光が見える。その光こそが顔を焼いてくる元凶だ。
そして、今からその元凶の近くまで行かなければならない。
だが安心してほしい!大地の仲間には水や氷を操るのが得意のモンスターレヴィアやシャーリーがいる!こんな熱さは魔法でちょちょいのちょいだ!!……とはならない。
なぜなら今ここにいるのは大地、リリア、グラネス……以上!3人だからだ。
その理由は先ほどお城に呼ばれたのは大地達全員だ。しかし、ライズとシャーリーは渡される家についての呼び出しだ。色々と手続きをする必要があるらしく今も書面とにらめっこしているだろう。
レヴィアは別件で呼ばれている。その別件だが……まずスノーパールという果実は覚えているだろうか?クルスが掛かった病を治せる果実だ。レヴィアはその果実の栽培方法を知っている。そのため今はお偉いさんとお話し中である。
そのレヴィアの保護者?としてフルネールがついていっているのだが、先ほど「相当時間かかりそうです」とフルネールが教えてくれた。因みに彼女は大地が火山にいくと知ると大地へ餞別に魔道具を渡してくれた。
それは魔力を流すと音が鳴る……おもちゃだ。フラッシュバードの形をしていた。
「おもちゃじゃねえか!」
それも大地が魔力を込める魔道具の練習にしている玩具だ。
大地が突っ込みをいれるもフルネールはそれを無視して「これを私だと思って持っていって下さい」といい顔で言って無理矢理持たせてきたのだ……。
そんなわけで今は水や氷魔法に長けた人材は居ない。……まじかよ。
「大地さん。このマントを羽織ってください」
リリアが大地に青いマントを渡してきた。きっと今この場で使える魔道具だろう。……もし悪戯でただのマントを羽織らせてきたら泣くしかない。
大地がリリアからマントを受け取りそれを羽織ると今まで熱かったのが嘘のように和らいでいく。
「これはすごいな」
マントを羽織ってその効果を実感している大地に続いてリリアとグラネスもマントを羽織った。
「さあ!行きましょう!」
火口下にある溶岩を見据えながらリリアは意気込んでそう言った。
この溶岩山内部にハンター達がくることは珍しくもない。それは住み着いているモンスターの駆除や竜の谷では取れない魔石も数多く眠っている。
その出入りを便利にするために内部に入り込む用の階段が火口から少し離れた場所には作られている。
洞窟のような作りになっているその入り口は二人ならんで歩けるくらいの広さだ。
その階段を一つ一つ降りていく中で大地は壁に嵌められている木製の六角形で作られている何かを見つけた。その木製の何かには紋様が描かれている。
「これはなんだ?」
「それは簡易のモンスターよけですね」
「この木で出来た奴が?」
「正確には特殊な道具に魔道具で紋様を描いたものが該当します」
その言い方だとこの木以外にもモンスターよけになる道具がありそうだ。そう考えながら奥へと進む。
「雪山に行くときに行った港は覚えていますか?あそこにも使われているんですよ?素材も規模も大きいですが」
そう言えばあの場所ではモンスターが来ないんだよな……。
階段の終わりまでたどり着くと広い空間に出た。地面は高低さが多く入り組んでいて、所々穴が開いている。その穴の中を覗き込むと溶岩がボコボコと立てる音が聞こえてくる。
音と熱気が増して来たことで溶岩にだいぶ近い位置まで来ていることはわかった。
「そう言えば調べるってどうするんだ?」
大きな魔石があるということしか聞いていない。話の口振りから魔石と熱が関わってるのだろうか。だが、熱さの原因は溶岩だとも聞いている。
「ダイチ。溶岩はどうやって出来ると思う?」
熱で岩とかが溶けているくらいは分かるが……それしかわからん。
「いや。知らないな。グラネスは知っているのか?」
問いかけてきた相手にそのまま質問するとグラネスは頷いた。
「ここの奥にある魔石は熱を出す性質がある。それも空気中に漂う微弱な魔力で反応し、放出する熱は地中深くへと伝達する。その熱により岩がとけたものが溶岩であり、溶岩の量が増えると上がってくるわけだ」
なるほど。俺の世界にも魔石が存在していたのか!……って冗談は置いといてこの世界の仕組みは分かった。
「なぁ。その流れだと時期関係なくずっと熱いままなんじゃないか?」
「ところがそうでもないんだ。確かに溶岩は常に作られているがこの時期だけ魔石の力が強まる。その効果によって溶岩は火口付近までせり上がってくるという事だ。だが、火口付近まで上がる頃には魔石の力も戻っていくから溶岩も下がっていくのが通常なんだ」
なるほど。そのせり上がってくる溶岩によって本来なら熱さも少しずつ増してくる。と言うわけなんだな。
「今回、俺達は溶岩のせり上がり方が速いんじゃないかと思っていたのだが……今見た感じでは溶岩は特に変化が無い。……それなのに例年より町の中は熱い事が今分かった」
今朝はレヴィアのおかげで寝起きはよかったものの魔法を止めてもらったら一気に汗が噴き出してきたな。毎年起きている事だとしても俺は初めてだから違和感は分からないが……。
「という事はますます魔石が怪しくなっているわけだ」
「そうだな。まずは調べてみない事には始まらないが……ただ、もしかしたらあまり時間がないかもしれん」
グラネスは自身の感じる熱量を思う。青いマントの魔道具によって緩和しているはずだがそれでも熱さを感じてしまう。溶岩の近くにいるのだから当たり前だと思うかもしれないが今羽織っているマントはかなり高額なものだ。溶岩真近を歩いたところで熱さを感じずに歩けるほどの代物だ。
熱の上がり具合が加速している可能性がある事を念頭に置いてグラネスは先を見据えた。
そして、今からその元凶の近くまで行かなければならない。
だが安心してほしい!大地の仲間には水や氷を操るのが得意のモンスターレヴィアやシャーリーがいる!こんな熱さは魔法でちょちょいのちょいだ!!……とはならない。
なぜなら今ここにいるのは大地、リリア、グラネス……以上!3人だからだ。
その理由は先ほどお城に呼ばれたのは大地達全員だ。しかし、ライズとシャーリーは渡される家についての呼び出しだ。色々と手続きをする必要があるらしく今も書面とにらめっこしているだろう。
レヴィアは別件で呼ばれている。その別件だが……まずスノーパールという果実は覚えているだろうか?クルスが掛かった病を治せる果実だ。レヴィアはその果実の栽培方法を知っている。そのため今はお偉いさんとお話し中である。
そのレヴィアの保護者?としてフルネールがついていっているのだが、先ほど「相当時間かかりそうです」とフルネールが教えてくれた。因みに彼女は大地が火山にいくと知ると大地へ餞別に魔道具を渡してくれた。
それは魔力を流すと音が鳴る……おもちゃだ。フラッシュバードの形をしていた。
「おもちゃじゃねえか!」
それも大地が魔力を込める魔道具の練習にしている玩具だ。
大地が突っ込みをいれるもフルネールはそれを無視して「これを私だと思って持っていって下さい」といい顔で言って無理矢理持たせてきたのだ……。
そんなわけで今は水や氷魔法に長けた人材は居ない。……まじかよ。
「大地さん。このマントを羽織ってください」
リリアが大地に青いマントを渡してきた。きっと今この場で使える魔道具だろう。……もし悪戯でただのマントを羽織らせてきたら泣くしかない。
大地がリリアからマントを受け取りそれを羽織ると今まで熱かったのが嘘のように和らいでいく。
「これはすごいな」
マントを羽織ってその効果を実感している大地に続いてリリアとグラネスもマントを羽織った。
「さあ!行きましょう!」
火口下にある溶岩を見据えながらリリアは意気込んでそう言った。
この溶岩山内部にハンター達がくることは珍しくもない。それは住み着いているモンスターの駆除や竜の谷では取れない魔石も数多く眠っている。
その出入りを便利にするために内部に入り込む用の階段が火口から少し離れた場所には作られている。
洞窟のような作りになっているその入り口は二人ならんで歩けるくらいの広さだ。
その階段を一つ一つ降りていく中で大地は壁に嵌められている木製の六角形で作られている何かを見つけた。その木製の何かには紋様が描かれている。
「これはなんだ?」
「それは簡易のモンスターよけですね」
「この木で出来た奴が?」
「正確には特殊な道具に魔道具で紋様を描いたものが該当します」
その言い方だとこの木以外にもモンスターよけになる道具がありそうだ。そう考えながら奥へと進む。
「雪山に行くときに行った港は覚えていますか?あそこにも使われているんですよ?素材も規模も大きいですが」
そう言えばあの場所ではモンスターが来ないんだよな……。
階段の終わりまでたどり着くと広い空間に出た。地面は高低さが多く入り組んでいて、所々穴が開いている。その穴の中を覗き込むと溶岩がボコボコと立てる音が聞こえてくる。
音と熱気が増して来たことで溶岩にだいぶ近い位置まで来ていることはわかった。
「そう言えば調べるってどうするんだ?」
大きな魔石があるということしか聞いていない。話の口振りから魔石と熱が関わってるのだろうか。だが、熱さの原因は溶岩だとも聞いている。
「ダイチ。溶岩はどうやって出来ると思う?」
熱で岩とかが溶けているくらいは分かるが……それしかわからん。
「いや。知らないな。グラネスは知っているのか?」
問いかけてきた相手にそのまま質問するとグラネスは頷いた。
「ここの奥にある魔石は熱を出す性質がある。それも空気中に漂う微弱な魔力で反応し、放出する熱は地中深くへと伝達する。その熱により岩がとけたものが溶岩であり、溶岩の量が増えると上がってくるわけだ」
なるほど。俺の世界にも魔石が存在していたのか!……って冗談は置いといてこの世界の仕組みは分かった。
「なぁ。その流れだと時期関係なくずっと熱いままなんじゃないか?」
「ところがそうでもないんだ。確かに溶岩は常に作られているがこの時期だけ魔石の力が強まる。その効果によって溶岩は火口付近までせり上がってくるという事だ。だが、火口付近まで上がる頃には魔石の力も戻っていくから溶岩も下がっていくのが通常なんだ」
なるほど。そのせり上がってくる溶岩によって本来なら熱さも少しずつ増してくる。と言うわけなんだな。
「今回、俺達は溶岩のせり上がり方が速いんじゃないかと思っていたのだが……今見た感じでは溶岩は特に変化が無い。……それなのに例年より町の中は熱い事が今分かった」
今朝はレヴィアのおかげで寝起きはよかったものの魔法を止めてもらったら一気に汗が噴き出してきたな。毎年起きている事だとしても俺は初めてだから違和感は分からないが……。
「という事はますます魔石が怪しくなっているわけだ」
「そうだな。まずは調べてみない事には始まらないが……ただ、もしかしたらあまり時間がないかもしれん」
グラネスは自身の感じる熱量を思う。青いマントの魔道具によって緩和しているはずだがそれでも熱さを感じてしまう。溶岩の近くにいるのだから当たり前だと思うかもしれないが今羽織っているマントはかなり高額なものだ。溶岩真近を歩いたところで熱さを感じずに歩けるほどの代物だ。
熱の上がり具合が加速している可能性がある事を念頭に置いてグラネスは先を見据えた。
0
お気に入りに追加
153
あなたにおすすめの小説
この称号、削除しますよ!?いいですね!!
布浦 りぃん
ファンタジー
元財閥の一人娘だった神無月 英(あずさ)。今は、親戚からも疎まれ孤独な企業研究員・27歳だ。
ある日、帰宅途中に聖女召喚に巻き込まれて異世界へ。人間不信と警戒心から、さっさとその場から逃走。実は、彼女も聖女だった!なんてことはなく、称号の部分に記されていたのは、この世界では異端の『森羅万象の魔女(チート)』―――なんて、よくある異世界巻き込まれ奇譚。
注意:悪役令嬢もダンジョンも冒険者ギルド登録も出てきません!その上、60話くらいまで戦闘シーンはほとんどありません!
*不定期更新。話数が進むたびに、文字数激増中。
*R15指定は、戦闘・暴力シーン有ゆえの保険に。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる