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雪夜咲く、美人の笑顔に、満ち足りる
冷たい体を暖める方法
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流される体、その自由がない状態でも……掴んだ手は決して離さなかった。
雪の中、無理矢理リリアの体を引き寄せ、自分の体で彼女を覆う。何とかそこまでは出来た俺だが……ずっと気を保つことは出来ずやがて意識を失った。
次に目覚めた時、自分の近くにリリアを見つけれて安堵した。辺りを見回すと今自分がいる場所は洞窟の中のようだ。すぐ近くには雪が崩れて流れてきた様なものが見える。そこから流れてきたのだろうか。
もしそうだとしたら奇跡的な確率だろう。しかし今はリリアの安否だ。見たところ血痕が見えないことから外傷は無いのだろうか。……彼女の頬に触れると異様に冷たい……いや、雪に埋もれたのだ当たり前だ。
しかし、これは不味い。
当然この場所が暖かいわけなどない。大地自身はマントの中で後光を使い続けているため、寒さをだいぶ緩和している。マントによって光の熱をこもらせているからだ。
しかし、リリアにはそんなことができるわけもない。彼女自身の力で体温を上昇させることは無理だ。今、手を打たなければ近い未来……リリアは凍死する。だから動くしかない。たとえ彼女に嫌われるとしても――。
大地はリリアのコートに手をかける。触った瞬間、彼女のコートが水浸しと言えるほどに濡れているのがわかる。このまま着ていたら体を冷やし続けてしまうだろう。
しかし、幸いなことにコートで包んでいた聖女の服……こちらは濡れていない。コートがかなり優秀なのだろう。
そして、どこかで聞いた話だと体を暖めるなら肌をくっつけろ。とあるが……無理。これからすることでリリアには嫌われるの確定だとしても、寝て起きたら裸でおっさんに抱きつかれてるとか悪夢でトラウマだろ。
だから、服を着たままのリリアに密着する。そして、この大きなマントで二人を包むようにすると大地は自身の体を光らせた。
これでもだいぶ暖まれるはずだ。だけど、もし、改善されないのなら……その時にはリリアに悪いが服は脱がさせてもらおう。嫌われてもトラウマを与えても……死なせたくはない。
――『離れるときは一瞬ですよ?』。全く女神様のアドバイスは的確だな……。
***
ダイチさんの事、クルスお兄様の事、聖女の事。考えることが多くて整理しきれない。ダイチさんについてはよくわからないし、クルスお兄様は心配だし、聖女の仕事も……こなさなきゃいけない。
昔ならこんなに考えること少なかったはずなのに。慣れないせいでふとしたときに考え込んじゃう。だから……失敗した。
私一人だけ列から離れ……雪崩に飲み込まれた。それも、最悪なことにダイチさんを巻き添えにしたかもしれない。……ううん。かもしれないじゃない。
瞼を閉じている暗闇の中で意識を覚醒させたリリアが思考を巡らせる。
今はどういう状況だろう。瞼が重い……たぶん完全に起きれていないのかな?痛みは……無さそう?でも、体が麻痺しているだけかも。……でも、何か暖かい。
少しずつ瞼が持ち上がってくる。視界には何か岩で出来た壁が見える。そこで自分の体が横向きで寝ていることがわかった。
そして、視界の端にもなにか見える……これは人?
「リリア?目が覚めたのか?」
耳許で声が聞こえてきた。聞き知った声だ。でも、真横から聞こえてくるのと、徐々に体の感覚が戻ってきている事でわかる。
「ダダダ、ダイチさん。えとえと……」
今までで一番、大地との距離で近くに感じたのは抱き上げられたときだろうか?或いは膝に乗ったときだろうか?
勝手に腕枕をさせた時でさえこの……全身をくっつける程の距離はなかった。自分の頬、胸、お腹、太もも、脚。それらが意図的に……大地の意思で触れていることはわかる。
昨日、指か触れた時でさえ一瞬にして心臓が跳ねたのだ。今の状況では心臓が止まらず頭も『なんで?』と言う単語が連呼されている。
「リリア、大丈夫か?体に痛みとか無いか?寒くないか?」
「え……?」
そこで瞼を閉じていた時に考えていたことを思い出す。雪崩に流されたことを。そして、今大地がしてくれていることも……。
「……ありがとうございます。痛みはないですし……暖かいですよ」
変に考えた自分が恥ずかしくなる。大地が自分のために……死なないように体を暖めてくれているというのに。
「ごめんな。こんな方法しか考え付かなかった……」
恐らく先程の言葉は助けられたから言っただけのはずだ。本心ではきっと……。
「……恥ずかしいのはそうなんですけど」
「ああ……」
「でも……いえ、なななんでもありません!もう体は充分に暖まりましたから!」
そういってリリアが大地から抜け出る。しかし、彼女のコートは濡れていて乾いているわけもない。
「そのコート着るよりそのマント羽織ってろ。何もないよりはましだろ」
「でも、それじゃあダイチさんが……」
「俺は女神の力で何とかなるから。まぁ、俺のこと嫌になっただろうから本当ならマントでも触りたくないだろうけどよ」
「うん?……私、ダイチさんのこと嫌いになんてなってませんよ?」
どうして大地がそう考えたかわからないリリアは首をかしげている。
うーん、聖女っていうのは本当に心が広い。正直牢屋行きも覚悟したんだけどな。
「それより、ここは何処なんでしょう?」
洞窟のような場所だが目の前にはガラス?のようなもので出来た大きい建造物が見える。この形は……なにか小さい宮殿にも見えなくはない。
「入ってみるか」
コクりと頷くリリアを見て同意と受けとると大地はその建造物へと近づく。正面にあるのは扉のようだ。手をかけて押してみるとあっさり開いていく。しかし、非常に冷たい扉だ。まるで……氷のような。
「この壁……氷みたいですよ?冷気が……出てますね」
その壁に手を当ててリリアが調べてみる。
「氷?氷で作った建物なのか?」
「そうだと思います。でも、ちょっと変わってますね。なんと言うか……魔力がこもってるみたいな」
「魔法で作られたってことか?」
リリアはそれも考えたようだが首を横に振った。
「いえ、魔法で作られたと言うより魔力がこもった氷を削っただけ。だと思います」
自然に作られた物を使っていると言うことか。
そんなものを使って建てられた建物。氷の壁は透明度が高く奥まで見渡せる。それゆえに回りにはモンスターがいないこともわかる。
「あそこに何かあるだろうか」
そんな透けている建物で大地が見つけたのは部屋の壁?が歪んでる様にぐにゃぐにゃとしている部屋だった。
雪の中、無理矢理リリアの体を引き寄せ、自分の体で彼女を覆う。何とかそこまでは出来た俺だが……ずっと気を保つことは出来ずやがて意識を失った。
次に目覚めた時、自分の近くにリリアを見つけれて安堵した。辺りを見回すと今自分がいる場所は洞窟の中のようだ。すぐ近くには雪が崩れて流れてきた様なものが見える。そこから流れてきたのだろうか。
もしそうだとしたら奇跡的な確率だろう。しかし今はリリアの安否だ。見たところ血痕が見えないことから外傷は無いのだろうか。……彼女の頬に触れると異様に冷たい……いや、雪に埋もれたのだ当たり前だ。
しかし、これは不味い。
当然この場所が暖かいわけなどない。大地自身はマントの中で後光を使い続けているため、寒さをだいぶ緩和している。マントによって光の熱をこもらせているからだ。
しかし、リリアにはそんなことができるわけもない。彼女自身の力で体温を上昇させることは無理だ。今、手を打たなければ近い未来……リリアは凍死する。だから動くしかない。たとえ彼女に嫌われるとしても――。
大地はリリアのコートに手をかける。触った瞬間、彼女のコートが水浸しと言えるほどに濡れているのがわかる。このまま着ていたら体を冷やし続けてしまうだろう。
しかし、幸いなことにコートで包んでいた聖女の服……こちらは濡れていない。コートがかなり優秀なのだろう。
そして、どこかで聞いた話だと体を暖めるなら肌をくっつけろ。とあるが……無理。これからすることでリリアには嫌われるの確定だとしても、寝て起きたら裸でおっさんに抱きつかれてるとか悪夢でトラウマだろ。
だから、服を着たままのリリアに密着する。そして、この大きなマントで二人を包むようにすると大地は自身の体を光らせた。
これでもだいぶ暖まれるはずだ。だけど、もし、改善されないのなら……その時にはリリアに悪いが服は脱がさせてもらおう。嫌われてもトラウマを与えても……死なせたくはない。
――『離れるときは一瞬ですよ?』。全く女神様のアドバイスは的確だな……。
***
ダイチさんの事、クルスお兄様の事、聖女の事。考えることが多くて整理しきれない。ダイチさんについてはよくわからないし、クルスお兄様は心配だし、聖女の仕事も……こなさなきゃいけない。
昔ならこんなに考えること少なかったはずなのに。慣れないせいでふとしたときに考え込んじゃう。だから……失敗した。
私一人だけ列から離れ……雪崩に飲み込まれた。それも、最悪なことにダイチさんを巻き添えにしたかもしれない。……ううん。かもしれないじゃない。
瞼を閉じている暗闇の中で意識を覚醒させたリリアが思考を巡らせる。
今はどういう状況だろう。瞼が重い……たぶん完全に起きれていないのかな?痛みは……無さそう?でも、体が麻痺しているだけかも。……でも、何か暖かい。
少しずつ瞼が持ち上がってくる。視界には何か岩で出来た壁が見える。そこで自分の体が横向きで寝ていることがわかった。
そして、視界の端にもなにか見える……これは人?
「リリア?目が覚めたのか?」
耳許で声が聞こえてきた。聞き知った声だ。でも、真横から聞こえてくるのと、徐々に体の感覚が戻ってきている事でわかる。
「ダダダ、ダイチさん。えとえと……」
今までで一番、大地との距離で近くに感じたのは抱き上げられたときだろうか?或いは膝に乗ったときだろうか?
勝手に腕枕をさせた時でさえこの……全身をくっつける程の距離はなかった。自分の頬、胸、お腹、太もも、脚。それらが意図的に……大地の意思で触れていることはわかる。
昨日、指か触れた時でさえ一瞬にして心臓が跳ねたのだ。今の状況では心臓が止まらず頭も『なんで?』と言う単語が連呼されている。
「リリア、大丈夫か?体に痛みとか無いか?寒くないか?」
「え……?」
そこで瞼を閉じていた時に考えていたことを思い出す。雪崩に流されたことを。そして、今大地がしてくれていることも……。
「……ありがとうございます。痛みはないですし……暖かいですよ」
変に考えた自分が恥ずかしくなる。大地が自分のために……死なないように体を暖めてくれているというのに。
「ごめんな。こんな方法しか考え付かなかった……」
恐らく先程の言葉は助けられたから言っただけのはずだ。本心ではきっと……。
「……恥ずかしいのはそうなんですけど」
「ああ……」
「でも……いえ、なななんでもありません!もう体は充分に暖まりましたから!」
そういってリリアが大地から抜け出る。しかし、彼女のコートは濡れていて乾いているわけもない。
「そのコート着るよりそのマント羽織ってろ。何もないよりはましだろ」
「でも、それじゃあダイチさんが……」
「俺は女神の力で何とかなるから。まぁ、俺のこと嫌になっただろうから本当ならマントでも触りたくないだろうけどよ」
「うん?……私、ダイチさんのこと嫌いになんてなってませんよ?」
どうして大地がそう考えたかわからないリリアは首をかしげている。
うーん、聖女っていうのは本当に心が広い。正直牢屋行きも覚悟したんだけどな。
「それより、ここは何処なんでしょう?」
洞窟のような場所だが目の前にはガラス?のようなもので出来た大きい建造物が見える。この形は……なにか小さい宮殿にも見えなくはない。
「入ってみるか」
コクりと頷くリリアを見て同意と受けとると大地はその建造物へと近づく。正面にあるのは扉のようだ。手をかけて押してみるとあっさり開いていく。しかし、非常に冷たい扉だ。まるで……氷のような。
「この壁……氷みたいですよ?冷気が……出てますね」
その壁に手を当ててリリアが調べてみる。
「氷?氷で作った建物なのか?」
「そうだと思います。でも、ちょっと変わってますね。なんと言うか……魔力がこもってるみたいな」
「魔法で作られたってことか?」
リリアはそれも考えたようだが首を横に振った。
「いえ、魔法で作られたと言うより魔力がこもった氷を削っただけ。だと思います」
自然に作られた物を使っていると言うことか。
そんなものを使って建てられた建物。氷の壁は透明度が高く奥まで見渡せる。それゆえに回りにはモンスターがいないこともわかる。
「あそこに何かあるだろうか」
そんな透けている建物で大地が見つけたのは部屋の壁?が歪んでる様にぐにゃぐにゃとしている部屋だった。
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