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雪夜咲く、美人の笑顔に、満ち足りる
見える……というのは大事な情報です
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フルネールが全て言い終えると……リリアの頭がボンと爆発したように今日何度目かの顔を赤くするが、それプラス頭から湯気が出ているように見える。
「あ、あのリリア様?」
服を整え直したハンナに名前を呼ばれ何とか気を確かに持つ。
そのリリアの様子をフルネールは困り顔で見る。
やっぱり少し早かったかも知れませんね。顔を赤くするリリアちゃんも可愛いんですが……もうちょっと大地さんで耐性をつけさせるべきでしたでしょうか。
「えっと、ハンナさんは、その、私がダイチさんと……?」
リリアの問いにハンナは自分が思っていたこと、考えたことをすべて打ち明ける。
聖女であるリリアが夜伽しなければならない相手かも知れず、大地を何処かの貴族や王族だと思い込み、そして男が自分を呼び止めたのだと。それによって自分の体を要求されたと思い、怖くても……でも逃げればリリアが大変な目に遭うかもしれないと思った事で行動に移したのだと。
後、フルネールがそれっぽいことを言った為に信憑性が高まっていたことも含めて伝えた。
「えっと……わわ、私は……よよよ、そんなことなんてしてませんからね!」
ハンナから説明を聞いた後のリリアが口にする第一声がこれだった。ただ、恥ずかしくて言葉を濁したことはありありとわかる。
「そ、それにダイチさんだって……そんなこと要求しないと……」
「リリアちゃん。それは甘いですよ。男性ならそういうことを考えていてもおかしくありませんし、相手によっては油断すると襲ってくることだってあるでしょう。……ですから、そこは気を付けてください」
「は、はい」
世間を知らなさすぎるリリアにフルネールが注意をする。その言葉は保護者のような厳しさもあったのだが、次の言葉はそこからかけ離れるものだった。
「それに、ちゃんと男の人の思考を知っていれば、それを利用して他の人もからかえますよ?」
「え?……私からかわれたんでしょうか」
フルネールの言葉にハンナは唖然としているが、当のフルネールは少しだけ笑みをこぼしながらハンナに近づく。
そして、ハンナの両手を握ると言うのだ。
「ごめんなさい。少しからかいすぎちゃいましたね。あのとき言ったことは全部嘘ですから気にしないでください」
その表情はフルネールの美しい顔立ちを遺憾なく発揮しての微笑みであり、ハンナは何か見守られているような錯覚を覚える。
「い、いえ……あ!それでしたらあちらの男性は……いったい誰なのでしょう?」
フルネールに近づかれて困ったハンナは話を変える為に気になっていた男の方へ向いた。
「あの人はダイチさんです。……私のお友達?」
この表現であっているのかわからないリリアだが、その答えは端から見たら友達ですらないニュアンスも含まれているように見える。
「えっと、貴族や王族の方では?」
そのハンナの問いにフルネールは笑いながら答える。
「ふふふ。そんなすごい人では有りませんよ。ちょっとエッチな放浪者さんです」
「放浪者!?」
フルネールの答えに驚くハンナ。その声が聞こえた大地は『またフルネールに変なステータスをつけられているんだろうな』と窓を眺めながら思い黄昏る。
「ハ、ハンターですよ!」
なんとか訂正しようとするリリアだがフルネールは淡々と大地の現状教えていく。
「んー、でも、日々無一文で過ごしてますし、依頼で稼いだお金はその日の内に使いきってしまいますし、夜はいつも野宿ですし、朝は南の森で滝に飛び込んでますし、朝御飯は山菜とウサギのお肉ですし……」
「……あの」
フルネールの言葉に挟むようにハンナは手をあげる。
「フルネールさんは何でそんなに……ダイチさん?の生活を知っているんですか?」
「私も一緒にいるからですよ?」
「え!?……野宿も滝も?」
まさか、またからかっているんじゃ。そう思いを込めて聞くのだが、フルネールは笑顔でうなずく。
「はい!一緒に滝で水浴びしていますよ」
「「えっ!?」」
今度は初耳だったせいかリリアも一緒に驚いている。
「は、裸で……ですか?」
どんどんわき出てくる疑問……興味がでる問題にハンナは素直に質問をする。何せ目の前の女性は自分より二歩も三歩先を行っているのだろうから。
「もちろんそうですよ?水浴びなのですから」
だが、全てをわかっている状態で、且つ、二人の反応も予想内にあるせいかフルネールはクスクス笑いながら答える。
「その、は、はは恥ずかしくないのですか?」
今度の質問はリリアだ。今まで蓋をされてきていた分、興味があるのかもしれない。
とはいえ、この辺でやめておかなければ大地が致命的な誤解を受けたままになるだろう。なのでそろそろネタばらしのお時間だ。
「恥ずかしく有りませんよ?だって……こうやって隠しますし」
そう言ってフルネールは黒い板を自分の首から下に出現させて見せる。
「こ、これも魔法ですか?」
こんな魔法は見たことがなく、リリアは驚き戸惑いながら黒い板を指てつつく。
「そうですよ?リリアちゃんやハンナさんにもかけてあげましょうか?」
そう言って二人にも同じように黒い板を出現させる。もちろん首から下を隠すように。
「ま、魔法ってすごいですね!」
魔力はあれど魔法が使えないハンナは驚き、でも、始めて魔法をかけてもらったことに興奮する。そして、頭を冷やすようにメイドとしての矜持を思い出す。今までないがしろにしてきた大地も立派なお客様なはずなのに部屋のすみへ追いやったままではないか。と。
「あ、あの。ダイチ様にも謝ってきます。私の勘違いでご迷惑をおかけしたのですから……」
放浪者だろうがなんだろうが、聖女リリアが招いた立派なお客様である。ならば、メイドの自分がやることはくつろげる空間を作らねばならないのだ。
そして、今の魔法がかかっているまま、ハンナは大地へと近づいた。
「あ、あのダイチ様。全て誤解だとお聞きいたしました。申し訳ありません」
そのハンナの声を聞いた大地は『もういいのかな?』と思い、窓から声がした方へと振り替える。そしてハンナを視界に移したこと直後、盛大にむせた。
「ぶふぉっ……ゲホッゲホッ」
「だ、大丈夫ですか!?」
そう言って近づいて背中をさすろうとしたハンナを大地は手を向けて制す。
これも漫画やアニメという存在を知っているからこそ理解する大地なのだ。ハンナはもちろんメイド服をきちっと着なおしているのだが、大地から見ると裸だと想像してしまう。黒い板のせいで。
「だ、大丈夫だから」
「もう、何しているんですか?」
後からやって来たフルネールとリリアが心配そうに近くに来た……のはいいが、全員が同じように黒い板で首から下を黒い板で隠しているのだ。
フルネール。お前わざとやっているだろう!!
さぁ?なんの事かわかりませんよ?
そうやって大地の考えもまるっとお見通しのフルネールはニヤニヤと笑う。三人は服を隠しているだけなのだが、大地からしたら黒い板の奥がどうなっているか。その想像が流れ込んできて逆にめのやり場に困る事態となった。
「あ、あのリリア様?」
服を整え直したハンナに名前を呼ばれ何とか気を確かに持つ。
そのリリアの様子をフルネールは困り顔で見る。
やっぱり少し早かったかも知れませんね。顔を赤くするリリアちゃんも可愛いんですが……もうちょっと大地さんで耐性をつけさせるべきでしたでしょうか。
「えっと、ハンナさんは、その、私がダイチさんと……?」
リリアの問いにハンナは自分が思っていたこと、考えたことをすべて打ち明ける。
聖女であるリリアが夜伽しなければならない相手かも知れず、大地を何処かの貴族や王族だと思い込み、そして男が自分を呼び止めたのだと。それによって自分の体を要求されたと思い、怖くても……でも逃げればリリアが大変な目に遭うかもしれないと思った事で行動に移したのだと。
後、フルネールがそれっぽいことを言った為に信憑性が高まっていたことも含めて伝えた。
「えっと……わわ、私は……よよよ、そんなことなんてしてませんからね!」
ハンナから説明を聞いた後のリリアが口にする第一声がこれだった。ただ、恥ずかしくて言葉を濁したことはありありとわかる。
「そ、それにダイチさんだって……そんなこと要求しないと……」
「リリアちゃん。それは甘いですよ。男性ならそういうことを考えていてもおかしくありませんし、相手によっては油断すると襲ってくることだってあるでしょう。……ですから、そこは気を付けてください」
「は、はい」
世間を知らなさすぎるリリアにフルネールが注意をする。その言葉は保護者のような厳しさもあったのだが、次の言葉はそこからかけ離れるものだった。
「それに、ちゃんと男の人の思考を知っていれば、それを利用して他の人もからかえますよ?」
「え?……私からかわれたんでしょうか」
フルネールの言葉にハンナは唖然としているが、当のフルネールは少しだけ笑みをこぼしながらハンナに近づく。
そして、ハンナの両手を握ると言うのだ。
「ごめんなさい。少しからかいすぎちゃいましたね。あのとき言ったことは全部嘘ですから気にしないでください」
その表情はフルネールの美しい顔立ちを遺憾なく発揮しての微笑みであり、ハンナは何か見守られているような錯覚を覚える。
「い、いえ……あ!それでしたらあちらの男性は……いったい誰なのでしょう?」
フルネールに近づかれて困ったハンナは話を変える為に気になっていた男の方へ向いた。
「あの人はダイチさんです。……私のお友達?」
この表現であっているのかわからないリリアだが、その答えは端から見たら友達ですらないニュアンスも含まれているように見える。
「えっと、貴族や王族の方では?」
そのハンナの問いにフルネールは笑いながら答える。
「ふふふ。そんなすごい人では有りませんよ。ちょっとエッチな放浪者さんです」
「放浪者!?」
フルネールの答えに驚くハンナ。その声が聞こえた大地は『またフルネールに変なステータスをつけられているんだろうな』と窓を眺めながら思い黄昏る。
「ハ、ハンターですよ!」
なんとか訂正しようとするリリアだがフルネールは淡々と大地の現状教えていく。
「んー、でも、日々無一文で過ごしてますし、依頼で稼いだお金はその日の内に使いきってしまいますし、夜はいつも野宿ですし、朝は南の森で滝に飛び込んでますし、朝御飯は山菜とウサギのお肉ですし……」
「……あの」
フルネールの言葉に挟むようにハンナは手をあげる。
「フルネールさんは何でそんなに……ダイチさん?の生活を知っているんですか?」
「私も一緒にいるからですよ?」
「え!?……野宿も滝も?」
まさか、またからかっているんじゃ。そう思いを込めて聞くのだが、フルネールは笑顔でうなずく。
「はい!一緒に滝で水浴びしていますよ」
「「えっ!?」」
今度は初耳だったせいかリリアも一緒に驚いている。
「は、裸で……ですか?」
どんどんわき出てくる疑問……興味がでる問題にハンナは素直に質問をする。何せ目の前の女性は自分より二歩も三歩先を行っているのだろうから。
「もちろんそうですよ?水浴びなのですから」
だが、全てをわかっている状態で、且つ、二人の反応も予想内にあるせいかフルネールはクスクス笑いながら答える。
「その、は、はは恥ずかしくないのですか?」
今度の質問はリリアだ。今まで蓋をされてきていた分、興味があるのかもしれない。
とはいえ、この辺でやめておかなければ大地が致命的な誤解を受けたままになるだろう。なのでそろそろネタばらしのお時間だ。
「恥ずかしく有りませんよ?だって……こうやって隠しますし」
そう言ってフルネールは黒い板を自分の首から下に出現させて見せる。
「こ、これも魔法ですか?」
こんな魔法は見たことがなく、リリアは驚き戸惑いながら黒い板を指てつつく。
「そうですよ?リリアちゃんやハンナさんにもかけてあげましょうか?」
そう言って二人にも同じように黒い板を出現させる。もちろん首から下を隠すように。
「ま、魔法ってすごいですね!」
魔力はあれど魔法が使えないハンナは驚き、でも、始めて魔法をかけてもらったことに興奮する。そして、頭を冷やすようにメイドとしての矜持を思い出す。今までないがしろにしてきた大地も立派なお客様なはずなのに部屋のすみへ追いやったままではないか。と。
「あ、あの。ダイチ様にも謝ってきます。私の勘違いでご迷惑をおかけしたのですから……」
放浪者だろうがなんだろうが、聖女リリアが招いた立派なお客様である。ならば、メイドの自分がやることはくつろげる空間を作らねばならないのだ。
そして、今の魔法がかかっているまま、ハンナは大地へと近づいた。
「あ、あのダイチ様。全て誤解だとお聞きいたしました。申し訳ありません」
そのハンナの声を聞いた大地は『もういいのかな?』と思い、窓から声がした方へと振り替える。そしてハンナを視界に移したこと直後、盛大にむせた。
「ぶふぉっ……ゲホッゲホッ」
「だ、大丈夫ですか!?」
そう言って近づいて背中をさすろうとしたハンナを大地は手を向けて制す。
これも漫画やアニメという存在を知っているからこそ理解する大地なのだ。ハンナはもちろんメイド服をきちっと着なおしているのだが、大地から見ると裸だと想像してしまう。黒い板のせいで。
「だ、大丈夫だから」
「もう、何しているんですか?」
後からやって来たフルネールとリリアが心配そうに近くに来た……のはいいが、全員が同じように黒い板で首から下を黒い板で隠しているのだ。
フルネール。お前わざとやっているだろう!!
さぁ?なんの事かわかりませんよ?
そうやって大地の考えもまるっとお見通しのフルネールはニヤニヤと笑う。三人は服を隠しているだけなのだが、大地からしたら黒い板の奥がどうなっているか。その想像が流れ込んできて逆にめのやり場に困る事態となった。
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