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ルナが見えなくなってしばらくたった頃、ロビンさんが重たい口を開いた。
「ゾフよ。お主、もしや女か?」
どうしよう、バレてしまった...なぜ急にそんな...私は救いを求めるようにラモンとマリーの方を見た。二人は驚いた表情というよりも少し困ったような笑みを浮かべ頷いていた。
「はい、私はソフィーと言います、そのう...騙すようなことをしてすみませんでした。」
ロビンさんは「まさか」と一言言ったのち額に手を当て、うんうんうなっている。
「師匠、ソフィーは」
「分かっておる、それ以上言わんでもいい。」
ラスティーノ家に関わるものなら誰でも知っている不吉な子。女神の容姿を受け継いだ少女...。
「ソフィーよ、お主、月の女神の話はどこまで知っている?特に女神が少女を誕生させるくだりについてだ。」
そのことなら確か、闇の神との約束を忘れてしまった女神がつい出来心で自分に酷似した少女をつくった、とマリーが見せてくれた文書には書いてあった。そのくだりのことだろうか....
私の表情と沈黙を何かを読み取ったロビンさんはため息をこぼした。
「ここまで妾が言って気づかぬようなら、知らぬのだな。真実を。」
「なんだなんだ~嬢ちゃんやっぱり知らずにあいつと契約しちまったんか、ついてね~な」
またもやこの陽気な声、これはラモンの聖獣様のケオル様だ。
「嬢ちゃんよく聞けよ、女神は出来心で少女を作ったんじゃないんだ。ある雌の聖獣がそそのかしたのさ、その聖獣がルナだ」
血の気がさっと引く。さっきまでのケオル様とルカのやりとり、そういうことだったのか。また、そそのかしたとい言い方が引っかかる。まだ日があって浅いルカとの絆だが、彼女は無邪気で明るい天使のような性格をしている。彼女がそんな...
ロビンさんが私を伺い戸惑いつつも言う。
「雌の聖獣は、この真実のせいで偏見がある。雌の聖獣は主人を唆す、不吉な象徴としてね...まあ妾も雌の聖獣ではあるのじゃが」
そう言うとロビンさんを巨大な光が体を包みこんだ。そこにいたのは小さな紫色の竜だった。
「ソフィーよ、妾はお主の味方でありたい。雌に対する偏見を作った張本人であるルカは許せぬ、じゃがな、雌じゃと言って所構わず偏見を持つ輩はもっと許せぬのじゃ。ソフィー、お主からは女神の優しい匂いがする。妾は懐かしい旧友にあえて嬉しいぞ。」
強く気高いロビンさんが、小さき竜の姿でまるく美しい紫の瞳に涙を溜めながらそう言ってくれた。
部屋はまた重たい沈黙に包まれていた。
****
その後、なぜ私がここで聖魔法を習おうとしていたのか問われ、私がエセ聖女をやらされていることが発覚し、ロビンさんがラモンを強く、それはもう強く言及したのち、私は被害者ということでロビンさんがちゃんと面倒を見てくれることになった。
「弟子の失態は師匠が責任を取らねばならぬ、ラモン覚えておくのじゃぞ」
ラモンとマリーは、私をこの山小屋に残して帰っていった。
「ゾフよ。お主、もしや女か?」
どうしよう、バレてしまった...なぜ急にそんな...私は救いを求めるようにラモンとマリーの方を見た。二人は驚いた表情というよりも少し困ったような笑みを浮かべ頷いていた。
「はい、私はソフィーと言います、そのう...騙すようなことをしてすみませんでした。」
ロビンさんは「まさか」と一言言ったのち額に手を当て、うんうんうなっている。
「師匠、ソフィーは」
「分かっておる、それ以上言わんでもいい。」
ラスティーノ家に関わるものなら誰でも知っている不吉な子。女神の容姿を受け継いだ少女...。
「ソフィーよ、お主、月の女神の話はどこまで知っている?特に女神が少女を誕生させるくだりについてだ。」
そのことなら確か、闇の神との約束を忘れてしまった女神がつい出来心で自分に酷似した少女をつくった、とマリーが見せてくれた文書には書いてあった。そのくだりのことだろうか....
私の表情と沈黙を何かを読み取ったロビンさんはため息をこぼした。
「ここまで妾が言って気づかぬようなら、知らぬのだな。真実を。」
「なんだなんだ~嬢ちゃんやっぱり知らずにあいつと契約しちまったんか、ついてね~な」
またもやこの陽気な声、これはラモンの聖獣様のケオル様だ。
「嬢ちゃんよく聞けよ、女神は出来心で少女を作ったんじゃないんだ。ある雌の聖獣がそそのかしたのさ、その聖獣がルナだ」
血の気がさっと引く。さっきまでのケオル様とルカのやりとり、そういうことだったのか。また、そそのかしたとい言い方が引っかかる。まだ日があって浅いルカとの絆だが、彼女は無邪気で明るい天使のような性格をしている。彼女がそんな...
ロビンさんが私を伺い戸惑いつつも言う。
「雌の聖獣は、この真実のせいで偏見がある。雌の聖獣は主人を唆す、不吉な象徴としてね...まあ妾も雌の聖獣ではあるのじゃが」
そう言うとロビンさんを巨大な光が体を包みこんだ。そこにいたのは小さな紫色の竜だった。
「ソフィーよ、妾はお主の味方でありたい。雌に対する偏見を作った張本人であるルカは許せぬ、じゃがな、雌じゃと言って所構わず偏見を持つ輩はもっと許せぬのじゃ。ソフィー、お主からは女神の優しい匂いがする。妾は懐かしい旧友にあえて嬉しいぞ。」
強く気高いロビンさんが、小さき竜の姿でまるく美しい紫の瞳に涙を溜めながらそう言ってくれた。
部屋はまた重たい沈黙に包まれていた。
****
その後、なぜ私がここで聖魔法を習おうとしていたのか問われ、私がエセ聖女をやらされていることが発覚し、ロビンさんがラモンを強く、それはもう強く言及したのち、私は被害者ということでロビンさんがちゃんと面倒を見てくれることになった。
「弟子の失態は師匠が責任を取らねばならぬ、ラモン覚えておくのじゃぞ」
ラモンとマリーは、私をこの山小屋に残して帰っていった。
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