聖女の行進

行枝ローザ

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溜息だけが部屋を埋め尽くす

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ハァ~~~~~…………

ハァ~~~~~…………

ハァ~~~~~…………

ハァ~~~~~…………

ハァ~~~~~…………

華やかに飾られた控えの間には、ロメリアの溜息だけがうっとおしいほどに響く。
傍に控えたホムラは、空になったカップに新たに紅茶を注ぎ、無言で母からの差し入れであるフィナンシェをまたいくつか皿に載せて差し出した。
それを何も言わず、溜息をつきつつロメリアは次々と食べていく。
膝には女神シアスターから授けられてしまった・・・・・・・・・絹袋が鎮座していた。
「……ホムラ………」
「いけません」
じぃっとその美しい袋を見つめたままロメリアが呼びかけると、侍女からはすかさず禁止の言葉が飛び出る。
「でも………」
「ダメです」
「だって………」
「『デューク様』のためでも?」
「……………」
最後にはロメリアが折れた。
目にいっぱいの涙を溜めて。


ハァ~~~~~…………

ハァ~~~~~…………

ハァ~~~~~…………

ハァ~~~~~…………

ハァ~~~~~…………

王妃付きの侍女が、長い溜め息をついている。
何度も、何度も。
手のひらにはすり潰して細かくした薬草が乗っていた。

言われた通り・・・・・・に、あのいつまでたっても大きくならない、第二王子に付きまとい続ける不気味な犬の食事に、飲み水に、この薬をこっそり混ぜたのに──
「……どうして……」
ギュッとその葉を握ると火傷するかと思うような熱さを感じて、慌てて小さな袋に入れる。
その袋を抱えたままドアのそばに誰もいないことを確かめると、侍女はこっそりと外に出た。
「『不死の実』を持って大聖女が戻ってくる前に………」
コトッ…コトッ…コトッ…
使用人たち専用棟のごみ捨て場で作られているのは、いい香りのする肉団子だった。
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