162 / 257
喜ぶ者。
しおりを挟む
とにかくバルトロメイに関しては冒険者たちの新たなレベル査定に関わった功労として、今回の待遇が通ったというわけである。
何よりバルトロメイはほとんど戦闘を行っていないため、そちら方面の実力やレベルアップが見込めず、簡単にランクアップするわけにもいかないという実情もあった。
だがいずれは何らかの称号を与えられる──それが何なのかアギディハーンには目安がついているらしく、ニヤッとしながらバルトメイに向かってウィンクしながらこうも言っていた。
「ま、お前さんがそれを望むなら、上の奴らにガタガタ言わせないし、言えるわけもねぇ。後はお前さんの実力次第さ」
とはいえ、バルトロメイ自身は実力を発揮しようにも手に入れた剣は生者を切れず、死したものを払うことができるらしいとはわかったが、だからといってアンデッドが出るところばかりを狙う冒険者になるつもりはない。
かといって自分が目指すのが何かも分かってはいないのだ。
今のところ目標は、無事にレーアのもとに着いたことをマロシュ老に伝えるために戻ることである。
何せここまで無事についた過程において、エンとヤシャという二頭の魔馬を手に入れたという幸運もあり、逆に道を行くのもたやすく思えた。
そうして思った通りバルトロメイはガンス家に戻ってくるという目的を果たし、改めて冒険者としての目的を定めたのである。
『自分が育った場所を見つける』という目的を──
とはいえバルトロメイ自身も自分の実力とやらを発揮させる方法もわからず、とりあえず旅立ちの支度がてら、1人で村を彷徨った。
むろん以前に防具と剣を譲ってくれた武器屋にも立ち寄った。
旅立った時とは違ういで立ちに驚きはしても、自分が用意だてた物よりも上質な革鎧をつけたバルトロメイを喜び、しかもドファーニ商会からの紹介状を携えてきたとなれば諸手を挙げて歓迎するしかない。
「なんてこった!これは……お前さんのような新人冒険者がこの村から出た場合や、立ち寄った時に必要な上質な防具なんかをこちらに卸してくれるって?!しかも……希望すればドファーニ商会と縁を続けて支店扱いで、さらに店を大きくする支援もしてくれるって……」
髭面の強面店主は目を潤ませ、バルトロメイの手を握ってブンブンと上下に振った。
この村からマロシュ老の弟であるドウシュが旅立ってしまったのは、まさしくろくな武具や防具が手に入らなかったからとも言える。
それが解消される手立てを差し伸べられたのだ──これを喜ばずして何としよう。
何よりバルトロメイはほとんど戦闘を行っていないため、そちら方面の実力やレベルアップが見込めず、簡単にランクアップするわけにもいかないという実情もあった。
だがいずれは何らかの称号を与えられる──それが何なのかアギディハーンには目安がついているらしく、ニヤッとしながらバルトメイに向かってウィンクしながらこうも言っていた。
「ま、お前さんがそれを望むなら、上の奴らにガタガタ言わせないし、言えるわけもねぇ。後はお前さんの実力次第さ」
とはいえ、バルトロメイ自身は実力を発揮しようにも手に入れた剣は生者を切れず、死したものを払うことができるらしいとはわかったが、だからといってアンデッドが出るところばかりを狙う冒険者になるつもりはない。
かといって自分が目指すのが何かも分かってはいないのだ。
今のところ目標は、無事にレーアのもとに着いたことをマロシュ老に伝えるために戻ることである。
何せここまで無事についた過程において、エンとヤシャという二頭の魔馬を手に入れたという幸運もあり、逆に道を行くのもたやすく思えた。
そうして思った通りバルトロメイはガンス家に戻ってくるという目的を果たし、改めて冒険者としての目的を定めたのである。
『自分が育った場所を見つける』という目的を──
とはいえバルトロメイ自身も自分の実力とやらを発揮させる方法もわからず、とりあえず旅立ちの支度がてら、1人で村を彷徨った。
むろん以前に防具と剣を譲ってくれた武器屋にも立ち寄った。
旅立った時とは違ういで立ちに驚きはしても、自分が用意だてた物よりも上質な革鎧をつけたバルトロメイを喜び、しかもドファーニ商会からの紹介状を携えてきたとなれば諸手を挙げて歓迎するしかない。
「なんてこった!これは……お前さんのような新人冒険者がこの村から出た場合や、立ち寄った時に必要な上質な防具なんかをこちらに卸してくれるって?!しかも……希望すればドファーニ商会と縁を続けて支店扱いで、さらに店を大きくする支援もしてくれるって……」
髭面の強面店主は目を潤ませ、バルトロメイの手を握ってブンブンと上下に振った。
この村からマロシュ老の弟であるドウシュが旅立ってしまったのは、まさしくろくな武具や防具が手に入らなかったからとも言える。
それが解消される手立てを差し伸べられたのだ──これを喜ばずして何としよう。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ちょっとエッチな執事の体調管理
mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。
住んでいるのはそこらへんのマンション。
変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。
「はぁ…疲れた」
連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。
(エレベーターのあるマンションに引っ越したい)
そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。
「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」
「はい?どちら様で…?」
「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」
(あぁ…!)
今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。
「え、私当たったの?この私が?」
「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」
尿・便表現あり
アダルトな表現あり
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
催眠魔術師の性奴隷調教記 ~生意気剣聖少女やドM王女と、濡れ衣を着せた元パーティーメンバーを堕としにいく~
匿名
ファンタジー
”精神魔法”を取得したアレンは濡れ衣でパーティーを追放されてしまう。
失意のうちに向かった街で、たまたま出会った剣聖の少女リンとなりゆきでパーティーを組むことになるが、彼女の高慢な性格に激怒したアレンは決意する。
どうせ何もしなくても濡れ衣で追放されるぐらいなら本当にやってやる、と。
手始めにアレンは生意気少女リンを”ツンデレ妹剣聖オナホ妻”に、王女を”変態ドM性奴隷メイド”に堕とし、やがて元パーティーへ復讐することを決意するのだった。
基本的に快楽堕ちが多めになる……予定
寝取りあり、寝取/られなし、残虐・痛い系は少ない予定
エロなし話→無印
エロあり話→〇
本番あり→♡
「ノベルピア」にも掲載
※「エロRPG転移」について
一部不適切な表現があり削除となってしまい、大変申し訳ありません。
「ノベルピア」にて同内容で連載していますので、気になる方はそちらをご覧ください。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜
水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑
★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位!
★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント)
「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」
『醜い豚』
『最低のゴミクズ』
『無能の恥晒し』
18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。
優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。
魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。
ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。
プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。
そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。
ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。
「主人公は俺なのに……」
「うん。キミが主人公だ」
「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」
「理不尽すぎません?」
原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。
※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる