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報われる者。
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つまり『冒険者』として育てた者がたった1匹の魔物も倒すことなくその人生を終えてしまえば、それまでの労苦が報われることなかった今までとは違い、無事にキッチリ『見習い』状態からしっかり討伐して勝って、さらに次の討伐に向かえる状態であれば、こんなふうにボーナスポイントが付くようなシステムに変わったのだろう。
シェイジンが無理に弟子を取らなかったのはそんな旨味がなかったということもあるが、新人たちが簡単に低ランクのダンジョンですらクリアできずに死んでしまうのが当たり前の『冒険者』という常識に、自分が慣れてしまうのが怖かったからだ。
ラジムに関してはその出会い方から見捨てることができなかったということはあるが、デビューしたばかりの若い冒険者チームの中で唯一の生き残り──おそらくはこの先も生き残る確率の高い、つまりは『冒険者として適性のある少年』として認めたからでもある。
死なない。
死なせたくない。
出来れば一生自分の弟子でもいい。
そんな無責任なことを考えないでもなかった。
たった1人と決めたその弟子を自分のそばに置き続け、魔物討伐やダンジョン攻略の際にもなるべく危険に晒さず、生きて冒険者生活を終えるようにその人生を縛りつける──そんなことが、可能ならば。
むろんシェイジンのように、弟子が独立した後のことまで憂い、どうにか責任を持てないかと考える者ばかりではない。
むしろ弟子という名乗りをさせるために上納金をむしり取り、独立した後も死ぬか冒険者を引退するまでそうやって自分の活躍でもないのに金蔓として利用する者たちの方が多いかもしれない。
もちろん師匠よりも活躍し、ランクもレベルも大幅に差が出てしまうこともあるが、それですら『自分があの有名な冒険者を育てた者だ』と知られれば、自分もきっとそうなるに違いないと思い込む未熟者が弟子入りを望んでくる。
だから中にはたいして実力もないのに、上納金だけで冒険者ギルドに所属し続ける者もいた。
だが本当に『未来の勇者』や『上級冒険者』を育てる才のある者が、こうやって正当に評価されることになれば、冒険者ギルドもずいぶん浄化されるのかもしれない。
その証拠とでも言うように、ラジムの冒険者カードには何の変化も現れていなかった。
「ちぇっ。俺もちったぁお前の役に立ったと思うんだけどなぁ~」
「お前はバルトロメイに対して、何の貢献もしてないだろーが。むしろ、俺たち全員がお前ら2人の師匠みたいなもんだぞ?だからバルトロメイだけじゃなく…ラジム、お前自身も大成してくれよ?そしたらきっと俺たちにまた恩恵がくるからな?」
ニカッと笑ってシェイジンは「兄弟子なのに」とまだブツブツ言うラジムの頭を押さえつけるように強く掻き撫でたが、そんなことは本当は思っていない。
おそらく今回のことは、バルトロメイ自身が『奉仕』の指標となるという部分から派生したポイント査定であり、すでにラジム自身は初戦を乗り切って本来は『弟子』という立場にはないはずの人間なのだ。
シェイジンが無理に弟子を取らなかったのはそんな旨味がなかったということもあるが、新人たちが簡単に低ランクのダンジョンですらクリアできずに死んでしまうのが当たり前の『冒険者』という常識に、自分が慣れてしまうのが怖かったからだ。
ラジムに関してはその出会い方から見捨てることができなかったということはあるが、デビューしたばかりの若い冒険者チームの中で唯一の生き残り──おそらくはこの先も生き残る確率の高い、つまりは『冒険者として適性のある少年』として認めたからでもある。
死なない。
死なせたくない。
出来れば一生自分の弟子でもいい。
そんな無責任なことを考えないでもなかった。
たった1人と決めたその弟子を自分のそばに置き続け、魔物討伐やダンジョン攻略の際にもなるべく危険に晒さず、生きて冒険者生活を終えるようにその人生を縛りつける──そんなことが、可能ならば。
むろんシェイジンのように、弟子が独立した後のことまで憂い、どうにか責任を持てないかと考える者ばかりではない。
むしろ弟子という名乗りをさせるために上納金をむしり取り、独立した後も死ぬか冒険者を引退するまでそうやって自分の活躍でもないのに金蔓として利用する者たちの方が多いかもしれない。
もちろん師匠よりも活躍し、ランクもレベルも大幅に差が出てしまうこともあるが、それですら『自分があの有名な冒険者を育てた者だ』と知られれば、自分もきっとそうなるに違いないと思い込む未熟者が弟子入りを望んでくる。
だから中にはたいして実力もないのに、上納金だけで冒険者ギルドに所属し続ける者もいた。
だが本当に『未来の勇者』や『上級冒険者』を育てる才のある者が、こうやって正当に評価されることになれば、冒険者ギルドもずいぶん浄化されるのかもしれない。
その証拠とでも言うように、ラジムの冒険者カードには何の変化も現れていなかった。
「ちぇっ。俺もちったぁお前の役に立ったと思うんだけどなぁ~」
「お前はバルトロメイに対して、何の貢献もしてないだろーが。むしろ、俺たち全員がお前ら2人の師匠みたいなもんだぞ?だからバルトロメイだけじゃなく…ラジム、お前自身も大成してくれよ?そしたらきっと俺たちにまた恩恵がくるからな?」
ニカッと笑ってシェイジンは「兄弟子なのに」とまだブツブツ言うラジムの頭を押さえつけるように強く掻き撫でたが、そんなことは本当は思っていない。
おそらく今回のことは、バルトロメイ自身が『奉仕』の指標となるという部分から派生したポイント査定であり、すでにラジム自身は初戦を乗り切って本来は『弟子』という立場にはないはずの人間なのだ。
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