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4話

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 盾を勧められた僕は母さんの攻撃を防ぐ事に成功する。

 レラよりも速いから防御する行動が遅れそうになったよ。

 でも、【直感】先生が教えてくれる場所に盾を置くと簡単に防げた。母さんも力を抑えてくれているから安心した。速度は手加減がなかったけど……。

「か、母さん……全く見えなかったよ?」

「ロイ──まぐれじゃないか確かめるわ」

「え!? ちょ、ちょっと──」

 待ってと言おうとする前に母さんは目の前から消える。

【直感】先生が警鐘を鳴らす──

 僕はなんとなくわかる場所に盾を置いて次々と防いで行く。

 無理無理無理無理──む~りぃぃぃっ!

 速すぎて追い付かない──

 防ぐだけじゃダメだ。

 避けるんだ!

 僕は体を半身にして当たる面積を狭くし、盾を前に突き出す。

 そして、右から来た攻撃を今度は盾を置くのではなく、角度を付けて逸らして行く。

 ──これならまだ防げるな。

 それになんか剣より盾の方が

 レラよりも速い母さんの攻撃が僕に当たらない。と言っても見えない事に変わりはない!

 ……しかし、段々攻撃が速くなっている気がする……木と木がぶつかる音が速くなってるぞ?

 僕の筋肉は無理な動きで悲鳴をあげてるんですけど!?

 最大の警鐘が鳴る──

 場所はお腹だ。おそらく下から来る。

 僕は既に袈裟懸けの攻撃を逸らしたばかりで反応が出来ない。

 僕は下から来るであろう場所を見つめると。剣が斬り返されてお腹に向かってくる。

 ──見える。

 何でかわからないけど

 だけど、体が反応しない!

「うぐっ──」

 そのまま木剣の剣戟を受けた僕は空中を舞う──

 ……母さん……手加減がなくなってるよ……。

 そんな事を思いながら空中で意識を手放した。



 ◆



 やってしまった……。

 つい、我が子と撃ち合えるのが楽しくて手加減を忘れてしまった……。

 空高く舞い上がっているロイをキャッチする。

「ロイ……こんなに動けるなんて……」

 心を折るつもりで攻撃をしたのに……ロイは怯む事なく私の攻撃を捌き通した。

 この子にはやっぱり才能があるのかもしれない……カイルの才能を色濃く継いでいる。

 そんな事を考えていると──

 パチパチッと手を鳴らす音が聞こえてきた。

 ──不覚。熱中し過ぎたとはいえ、気付かないなんて。

 気配は2人──

 私はロイを地面に置いて、振り向き視認する。

 すると──

「お久しぶりですライラ。そして、確かロイド君でしたよね? さすが2人の子供です。特にカイルの才能を濃く継いでいるようですね」

 かつて仕えていた聖女であるシャーリーがいた。隣にはその面影のある娘──赤ん坊の時に一度見たきりだったけど大きくなったシャーリーの娘であるスフィアちゃんもいる。

 私は昔の癖で即座に膝を着く。

「シャーリー様、ご無沙汰しております。ありがたきお言葉。ロイには今日初めて盾を使わせましたが、その一端を感じさせてくれました」

「今は部下ではありません。それに人前では無いのですから昔みたいにして下さい。それより──盾を使ったのが初めてですか? あれだけ動けるのに?」

 実は私とシャーリーは昔からの友人だったりする。今は別に偉いさんや他の人はいない。昔の様に話す事にした。

「……わかったわ。あの頃の様に普通に接するわね? ロイに剣の才能が無いから試しに盾を使わせたら予想以上に扱えてビックリしたわ……」

 シャーリーは驚いた顔をする。それもそうだろう。私の今回の攻撃は本気を出してないとはいえ、途中からは速度だけはかなり速い。普通の聖騎士ぐらいなら直ぐに倒せる自信があるぐらいだ。

 けれど、やはりこの子には安全に生きてほしい。

 その事を私はシャーリーに伝えていく──

「……なるほど……しかし、ロイド君は十分冒険者としてやっていけるだけの力量はあると思いますよ?」

「しかし……」

「なら、ライラが鍛えて──生きていける術や、冒険者に必要な事を教えてあげれば良いじゃないですか。私もしばらくは時間がありますから手伝いますよ? スフィアもロイド君に興味があるようですしね?」

 コクリと隣で頷くスフィアちゃんの顔は真っ赤で照れているみたいだった。

 視線はロイに固定しているし、惚れたのかしら?

「フィアちゃん、ロイとお友達になってあげてね? この子ってばお友達少ないから」

 私がそう言うとスフィアちゃんは恥ずかしそうに頷いていた。

 やはり、脈ありかもしれないわね……仮に惚れていたとしてもどこに惚れたのかしら?

 模擬戦は見ていたみたいだけど、ロイは終始防いでいただけだし──

 容姿?

 ロイはカイルと同じく、将来男前になるでしょうしね……さてどうなる事やら。
 

 さて──

 今はそれより、これからロイを一人前にする為に訓練しないと……シャーリーも乗り気だし……。

 私を安心させてくれるぐらい成長してくれたなら認めてもいいかもしれない。

 そんな事を考えながら、今はすやすや眠っているロイの顔を眺める──
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