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「場所を変えて話をする」と言ったボス。
2年たっても相変わらずうっとり見惚れてしまうボスの端正な顔が近づいてきたと思ったら、その広い胸に抱きこまれてしまった。
連れて来られた場所はボスの家。162㎝あるのでそんなに背は低くはない園だけれど、ヒールを脱いで長身のボスに抱かれると、ボスの胸にちょうど唇を押しつける形になった。
(ボス…細身だと思ってたけど、広い胸。大人の男の人の香りがする…)
園は、高梨の男の香りに酔ってしまいそうになり、弱々しく、高梨の胸を押した。
「ボス。これからは私にもミッション…与えてくれますよね?」
「悪いがミッションは与えられない」
「どうして?…私、できましたよ?……でも…。やっぱり私じゃ無理?」
高梨は目をそらしてボソッと言った。
「南野くんは誤解している。無理なのは俺の方なんだ」
「?どういう事?」
「南野くんが受けたテストのミッション、覚えているよな?」
「はい、上手くできなかった[誘惑]のミッションですよね。」
「ああ、そのミッションだが、上手くできなかった訳じゃない。それどころか、南野の[誘惑]は完璧だったよ。」
「うそ…?だって、ボス?私には[誘惑]、無理だって、確かに言ってた…!」
「…一瞬で恋に落ちた」
「…は?」
「南野くんの虜になったんだ、ホント秒殺でね。すごく可愛いかったし、そそられたし、クラクラした。そんなの無理だ…。南野くんにミッションやらせたら、男は皆南野くんに夢中になってしまうだろ?そんな事許せる筈がない。」
「…は?」
(私は耳がおかしいのだろうか?ボスが私に恋?虜?男が皆私に夢中に?……。)
「南野くんのあんな…あんなハニトラは他の誰にも絶対見せない。
っていうか、南野くん自体を誰にも見せたくない。南野くんの笑顔も、一生懸命な姿も、全部俺だけが見ればいい。」
(…これは、……これは、………本気?!)
「だってそうだろ?南野は大事な可愛い社員だ。だけど営業に出す訳にはいかない。……どうすればいいんだ?」
高梨は止まらない。
「最初に言ったように社内恋愛は禁止している。だから、この2年間、南野くんには一線引いて、上司としてだけ接してきたつもりだ。
でも、あんな告白を聞いてしまった今、好きな気持ちをとても抑えられない。
幸い、うちの会社は既婚者は受け入れて採用している。……南野くん、もう、ミッションを請け負うのは諦めて、俺の所に来てくれないか?」
「ボスの所…へ?」
「南野くん、いや、……園。」
「…はい」
「俺と結婚して欲しい」
「………!!」
──美形が片膝をつき、優雅に微笑んだ───
2年たっても相変わらずうっとり見惚れてしまうボスの端正な顔が近づいてきたと思ったら、その広い胸に抱きこまれてしまった。
連れて来られた場所はボスの家。162㎝あるのでそんなに背は低くはない園だけれど、ヒールを脱いで長身のボスに抱かれると、ボスの胸にちょうど唇を押しつける形になった。
(ボス…細身だと思ってたけど、広い胸。大人の男の人の香りがする…)
園は、高梨の男の香りに酔ってしまいそうになり、弱々しく、高梨の胸を押した。
「ボス。これからは私にもミッション…与えてくれますよね?」
「悪いがミッションは与えられない」
「どうして?…私、できましたよ?……でも…。やっぱり私じゃ無理?」
高梨は目をそらしてボソッと言った。
「南野くんは誤解している。無理なのは俺の方なんだ」
「?どういう事?」
「南野くんが受けたテストのミッション、覚えているよな?」
「はい、上手くできなかった[誘惑]のミッションですよね。」
「ああ、そのミッションだが、上手くできなかった訳じゃない。それどころか、南野の[誘惑]は完璧だったよ。」
「うそ…?だって、ボス?私には[誘惑]、無理だって、確かに言ってた…!」
「…一瞬で恋に落ちた」
「…は?」
「南野くんの虜になったんだ、ホント秒殺でね。すごく可愛いかったし、そそられたし、クラクラした。そんなの無理だ…。南野くんにミッションやらせたら、男は皆南野くんに夢中になってしまうだろ?そんな事許せる筈がない。」
「…は?」
(私は耳がおかしいのだろうか?ボスが私に恋?虜?男が皆私に夢中に?……。)
「南野くんのあんな…あんなハニトラは他の誰にも絶対見せない。
っていうか、南野くん自体を誰にも見せたくない。南野くんの笑顔も、一生懸命な姿も、全部俺だけが見ればいい。」
(…これは、……これは、………本気?!)
「だってそうだろ?南野は大事な可愛い社員だ。だけど営業に出す訳にはいかない。……どうすればいいんだ?」
高梨は止まらない。
「最初に言ったように社内恋愛は禁止している。だから、この2年間、南野くんには一線引いて、上司としてだけ接してきたつもりだ。
でも、あんな告白を聞いてしまった今、好きな気持ちをとても抑えられない。
幸い、うちの会社は既婚者は受け入れて採用している。……南野くん、もう、ミッションを請け負うのは諦めて、俺の所に来てくれないか?」
「ボスの所…へ?」
「南野くん、いや、……園。」
「…はい」
「俺と結婚して欲しい」
「………!!」
──美形が片膝をつき、優雅に微笑んだ───
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