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20 『聖域』の守護騎士団
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聖域に寝泊まりするようになって数日、私は改めて他の聖人や聖女の方々とお会いする事になった。
とはいえ、騎士団を抜けた……いつもの面子も一緒だ。彼らは私の傍を離れる気はなく、私を必ず守るという意思の元、離宮で身ぎれいに(装備品も全て)した後、常に交代で武装して私の部屋の前に張り付いていた。
私と言えば、聖域の水で髪を洗い、顔を洗い、体も清めた所、茶色だった髪も瞳も色が変わってしまって驚いた。
それに、湯浴みを人にお世話される、というのも初めての事で戸惑った。彼女たちは慣れているのか、私の変化についてこう語った。
「聖人様、聖女様は、聖地と聖域にて真の姿と力を発揮されます。生まれてすぐにこの地を離れられた『金剛の聖女』様の本来の髪と瞳はこちらの色で、自己防衛として無意識に神力を使われていたのかと……」
言われてみれば、顕現した後は存在感を消そうとしていたし、その前は自分が聖女だなんて思っていなかった。つまり、周りに溶け込む姿ならよかったわけで、それが無意識に働いていたからという事らしい。
私の髪は銀髪と言えばいいのか、白髪と言えばいいのか……光が当たると虹色に輝く直毛に代わり、瞳も光の具合で色が変わる銀色になった。肌も、なんだか少し白くなったような気がする。
そして宛がわれた真っ白な衣装は、胸元の金剛石を見せるようなデザインで、襟ぐりが大きく空いているシンプルなドレスだった。
こうまで見た目が変わると、やっぱり聖女なのか、という風に変に納得してしまうというか、改めて聖女なんだな、と意識してしまうというか、自分の変化に頭が追い付くのに数日を要した。
そして、落ち着いて一緒に国を出た騎士の方たちと対面した時には驚かれながらも「飯た……ルーシー様、本当に聖女なんだなぁ!」と、私と同じような感想を抱きながらそのまま受け入れてもらえて、私は安心した。
見た目が変わっても、立場が変わっても、所属する国が変わっても、変わらない事があるというのは安心できる。
彼らと共に聖人聖女との対面も済ませ、その後、一緒に過ごしていた離宮の一番広い部屋に集められ、広場で一目見ただけの国王様がやってきて、これから、の話をされた。
「改めて、此度は貴殿らの義勇と『金剛の聖女』であるルーシー様によって国が救われました。現在、各地では冒険者や料理ができる市民に特別給金を支払い、魔物で食いつないでおります。街中や領地にいる貴族も、正しく調理された魔物の肉を食べることを厭いませんでした。全て『金剛の聖女』様が各地を回り自ら調理し、口にされたことのお陰です。植物や水の再生も済んできています。国境での小競り合いは、明らかにこちらに理があるため、周辺諸国の声もあって現在止んでいます」
その言葉に、こっそりと胸をなでおろした。戦いが止んだのは嬉しい。それに、死傷者がいなければいいのだけれど。
「そして、『金剛の聖女』であるルーシー様を盗み出した者が彼の国の草の者と一致することが我が国の魔法技術で判明しました。痕跡として残っていた髪の一筋と、同じ物を持つ者が草の者の長だと分かったのです。これで、彼の国が我が国からルーシー様を非道な手段で盗み出した事は確実であり、証拠となります。……今は彼らは死なぬようにとらえてあります。しかし、今後『金剛の聖女』様を聖域において置くにしても、安全だとは言い切れない。それが国の判断です」
グランドルム国王の言葉に、私を含め騎士の皆が、それはその通りだけれど、というように顔を見合わせた。話がいまいち見えてこない。
「この離宮は元々『金剛の離宮』でございます。皆様の部屋もありますし、必要でしたら訓練場も作りましょう。この離宮をそのまま使ってくださって構いません。この聖人、聖女の住まう聖域を守る『守護騎士団』となってくださらないでしょうか?」
とはいえ、騎士団を抜けた……いつもの面子も一緒だ。彼らは私の傍を離れる気はなく、私を必ず守るという意思の元、離宮で身ぎれいに(装備品も全て)した後、常に交代で武装して私の部屋の前に張り付いていた。
私と言えば、聖域の水で髪を洗い、顔を洗い、体も清めた所、茶色だった髪も瞳も色が変わってしまって驚いた。
それに、湯浴みを人にお世話される、というのも初めての事で戸惑った。彼女たちは慣れているのか、私の変化についてこう語った。
「聖人様、聖女様は、聖地と聖域にて真の姿と力を発揮されます。生まれてすぐにこの地を離れられた『金剛の聖女』様の本来の髪と瞳はこちらの色で、自己防衛として無意識に神力を使われていたのかと……」
言われてみれば、顕現した後は存在感を消そうとしていたし、その前は自分が聖女だなんて思っていなかった。つまり、周りに溶け込む姿ならよかったわけで、それが無意識に働いていたからという事らしい。
私の髪は銀髪と言えばいいのか、白髪と言えばいいのか……光が当たると虹色に輝く直毛に代わり、瞳も光の具合で色が変わる銀色になった。肌も、なんだか少し白くなったような気がする。
そして宛がわれた真っ白な衣装は、胸元の金剛石を見せるようなデザインで、襟ぐりが大きく空いているシンプルなドレスだった。
こうまで見た目が変わると、やっぱり聖女なのか、という風に変に納得してしまうというか、改めて聖女なんだな、と意識してしまうというか、自分の変化に頭が追い付くのに数日を要した。
そして、落ち着いて一緒に国を出た騎士の方たちと対面した時には驚かれながらも「飯た……ルーシー様、本当に聖女なんだなぁ!」と、私と同じような感想を抱きながらそのまま受け入れてもらえて、私は安心した。
見た目が変わっても、立場が変わっても、所属する国が変わっても、変わらない事があるというのは安心できる。
彼らと共に聖人聖女との対面も済ませ、その後、一緒に過ごしていた離宮の一番広い部屋に集められ、広場で一目見ただけの国王様がやってきて、これから、の話をされた。
「改めて、此度は貴殿らの義勇と『金剛の聖女』であるルーシー様によって国が救われました。現在、各地では冒険者や料理ができる市民に特別給金を支払い、魔物で食いつないでおります。街中や領地にいる貴族も、正しく調理された魔物の肉を食べることを厭いませんでした。全て『金剛の聖女』様が各地を回り自ら調理し、口にされたことのお陰です。植物や水の再生も済んできています。国境での小競り合いは、明らかにこちらに理があるため、周辺諸国の声もあって現在止んでいます」
その言葉に、こっそりと胸をなでおろした。戦いが止んだのは嬉しい。それに、死傷者がいなければいいのだけれど。
「そして、『金剛の聖女』であるルーシー様を盗み出した者が彼の国の草の者と一致することが我が国の魔法技術で判明しました。痕跡として残っていた髪の一筋と、同じ物を持つ者が草の者の長だと分かったのです。これで、彼の国が我が国からルーシー様を非道な手段で盗み出した事は確実であり、証拠となります。……今は彼らは死なぬようにとらえてあります。しかし、今後『金剛の聖女』様を聖域において置くにしても、安全だとは言い切れない。それが国の判断です」
グランドルム国王の言葉に、私を含め騎士の皆が、それはその通りだけれど、というように顔を見合わせた。話がいまいち見えてこない。
「この離宮は元々『金剛の離宮』でございます。皆様の部屋もありますし、必要でしたら訓練場も作りましょう。この離宮をそのまま使ってくださって構いません。この聖人、聖女の住まう聖域を守る『守護騎士団』となってくださらないでしょうか?」
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