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15 現在、物置小屋に閉じ込められています
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はい、どうも現在私はどうやら物置に閉じ込められている。
手足と胴体を縛られて猿轡をかまされ、ご丁寧に使われていないソファの上に寝かされている状況だ。
領で育つ穀物の類からはお酒ができるので、私は成人してから割と強いお酒を飲んでいたせいか、それ程時間を置かずに意識を取り戻すことができた。
あの刺激臭、かなり強いアルコールだったようで。確かにシャンパンなどのお酒が主流の都会のお嬢さんなら夜まで目が覚めなかっただろうし、なんならその後頭痛や眩暈なんかもしたでしょうが、私はすっきり目が覚めている。
(ベラ王女が気付いてくれるだろうけど、さて困ったな)
子供の頃、誘拐ごっこというか、領民の子と遊んでいる時に、お仕置きで縛られる事があるという子がいて、縄抜けの方法は覚えた。楽しそうだったから。
山猿姫とは言え領主様の娘さんに何してんだ! と、ゲンコツを食らってまた縛られていたけれど、その子はどんどんキツくなる縛りを抜け出すものだから、私もこっそり教えて貰って縄抜けは得意になった。山猿姫も悪いことばかりじゃない。
まずは手首の縄を外す。これはちょっとコツがあって、手首を後ろで縛った後に真ん中を縛ると抜け出すのが難しいのだけれど、幸い犯人は逆手にして結び目を掌の方に向けてくれていた。
これが掌を合わせたり、手の甲を合わせて結んであったり、結び目を切られているとちょっぴり面倒なんだけど、掌の側に結び目があるなら楽勝だ。
肩を開いて手を寄せて、手首の動く範囲を広くして結び目を指で掴んで引いてみる。左右どちらかが解ける方なので、緩くなる方を探ってからそれを引っ張って、そしたら後は手首の動きは普段よりも良くなっているので、縄を背中に押し付けながら両手を抜く。片手ずつだと逆に干渉してしまって抜きにくい。
で、次は腕が自由になって肩を開いているので、その分緩くなった胴体の縄を身体を地面に擦り付けるようにしてなるべくずり下げる。ウエストくらいまで下げたら腕が抜けるので、片腕を抜いて結び目を解く。……案外、イケるものだな。まだできるとは思わなかった。
手も胴も自由になったら足は普通に解けるし猿轡も外せる。と、外していると物置の外で話し声がした。
「……好きにしていいわよ。どうせ生娘なんだから、男は怖いって思い知らせてやりなさい。どんなでも、傷物にしてくれたら構わないわ」
「へへ、慣れない執事服を着てついてきた甲斐があるってもんだ。あんな上玉いただけるとはね、まぁ意識がないのはつまらねぇが」
「猿轡は外しちゃダメよ、一応王宮ですからね」
なんとまぁ、王宮に下町の男を連れてきて、誘拐させた挙句に私を傷物にする、ときたか。
その執念を他のことに向けてれば素敵な男性を捕まえられるだろうに、男より女の方が怖い。
ここは広い物置で(王宮に狭い物置があるかは謎だけど)吹き抜けの二階の造りになっている。
すっかり体の自由を取り戻した私は、特に怪我している部分がないことを確かめてから、靴を脱いで、ロープも腕に巻いて二階にあがった。
暗闇に目が慣れているから、音さえたてなければ特に問題なく動けた。
ハイヒールの音が遠ざかり、扉が開く音がする。
「なっ……?! どこ行きやがった、あの女!」
残念、私はお酒に強くて縄抜けもできる山猿姫なので。
男が暗闇に目が慣れる前に、ソファの所……つまり、吹き抜けの二階部分の真下によたよたと手探りで歩いてくるのを見計らって、私は男の上を目掛けてお尻から思いっきり落ちてやった。
手足と胴体を縛られて猿轡をかまされ、ご丁寧に使われていないソファの上に寝かされている状況だ。
領で育つ穀物の類からはお酒ができるので、私は成人してから割と強いお酒を飲んでいたせいか、それ程時間を置かずに意識を取り戻すことができた。
あの刺激臭、かなり強いアルコールだったようで。確かにシャンパンなどのお酒が主流の都会のお嬢さんなら夜まで目が覚めなかっただろうし、なんならその後頭痛や眩暈なんかもしたでしょうが、私はすっきり目が覚めている。
(ベラ王女が気付いてくれるだろうけど、さて困ったな)
子供の頃、誘拐ごっこというか、領民の子と遊んでいる時に、お仕置きで縛られる事があるという子がいて、縄抜けの方法は覚えた。楽しそうだったから。
山猿姫とは言え領主様の娘さんに何してんだ! と、ゲンコツを食らってまた縛られていたけれど、その子はどんどんキツくなる縛りを抜け出すものだから、私もこっそり教えて貰って縄抜けは得意になった。山猿姫も悪いことばかりじゃない。
まずは手首の縄を外す。これはちょっとコツがあって、手首を後ろで縛った後に真ん中を縛ると抜け出すのが難しいのだけれど、幸い犯人は逆手にして結び目を掌の方に向けてくれていた。
これが掌を合わせたり、手の甲を合わせて結んであったり、結び目を切られているとちょっぴり面倒なんだけど、掌の側に結び目があるなら楽勝だ。
肩を開いて手を寄せて、手首の動く範囲を広くして結び目を指で掴んで引いてみる。左右どちらかが解ける方なので、緩くなる方を探ってからそれを引っ張って、そしたら後は手首の動きは普段よりも良くなっているので、縄を背中に押し付けながら両手を抜く。片手ずつだと逆に干渉してしまって抜きにくい。
で、次は腕が自由になって肩を開いているので、その分緩くなった胴体の縄を身体を地面に擦り付けるようにしてなるべくずり下げる。ウエストくらいまで下げたら腕が抜けるので、片腕を抜いて結び目を解く。……案外、イケるものだな。まだできるとは思わなかった。
手も胴も自由になったら足は普通に解けるし猿轡も外せる。と、外していると物置の外で話し声がした。
「……好きにしていいわよ。どうせ生娘なんだから、男は怖いって思い知らせてやりなさい。どんなでも、傷物にしてくれたら構わないわ」
「へへ、慣れない執事服を着てついてきた甲斐があるってもんだ。あんな上玉いただけるとはね、まぁ意識がないのはつまらねぇが」
「猿轡は外しちゃダメよ、一応王宮ですからね」
なんとまぁ、王宮に下町の男を連れてきて、誘拐させた挙句に私を傷物にする、ときたか。
その執念を他のことに向けてれば素敵な男性を捕まえられるだろうに、男より女の方が怖い。
ここは広い物置で(王宮に狭い物置があるかは謎だけど)吹き抜けの二階の造りになっている。
すっかり体の自由を取り戻した私は、特に怪我している部分がないことを確かめてから、靴を脱いで、ロープも腕に巻いて二階にあがった。
暗闇に目が慣れているから、音さえたてなければ特に問題なく動けた。
ハイヒールの音が遠ざかり、扉が開く音がする。
「なっ……?! どこ行きやがった、あの女!」
残念、私はお酒に強くて縄抜けもできる山猿姫なので。
男が暗闇に目が慣れる前に、ソファの所……つまり、吹き抜けの二階部分の真下によたよたと手探りで歩いてくるのを見計らって、私は男の上を目掛けてお尻から思いっきり落ちてやった。
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