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2話

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「やっぱ…入るしかないよな?」 


俺はダンジョンへと変わってしまった玄関の前で座り込み首を傾げていた。


それは俺の家がダンジョンへと繋がってしまった影響で外に出られる窓や扉が開かなくなってしまい、家の中にある食料だけで生きていかなくてはならなくなってしまったからだ。


「ダンジョンには食べられる物があるらしいからな」


幸いにも電波は繋がっているようでケータイでダンジョンのことについて調べた結果…ダンジョンには人間が食べられる物が存在していると書かれていた。そのため俺は限りある食料が尽きる前にダンジョンへと入ることに決めた……決めたんだが…


「やっぱりモンスターとか出るんだろうな~」


ダンジョンのことについて調べていると他にも分かったことがあった。


どうやらダンジョンの中にはモンスターが存在しており、さらには罠やトラップ等も仕掛けられているという情報が…


それにより俺はダンジョンへと入るための一歩を踏み出すことが出来ないでいた。


「よ、よし!いくぞ!行くったら行くぞ!」


かれこれ1時間は悩んでいただろうか、時間を図っていたわけではないのでどれくらいの時間が過ぎたのかはわからないけど、ようやく俺はダンジョンへと踏み出す勇気を振り絞る事が出来た。

…………まぁ勇気が出たってよりかはもうどうにかなるようになれって自暴自棄になってしまったとも言えなくもないが…。


まぁ何はともあれ俺は玄関の扉を開けダンジョンの中へと踏み出した。



…………って中に入ったまでは良かったのだけど



「あれ? ここが奥?」


ダンジョンの中は一般的にイメージされている地下にある迷宮だった。


これはどのダンジョンにも言えることでほぼ全てのダンジョンはこの様な見た目をしているのだそうだ。


この様な見た目のダンジョンはノーマルと言われている。


まぁこれは玄関を開けた時に見えていたので特に問題はないのだけど…問題があるとしたら……


「どこにもない…」


中に入って数分で壁にぶつかってしまった。辺りを見渡しても奥につながる道はなくここがこのダンジョンの最深部であるということなんだろう。


つまり……このダンジョンには何も食べられる物が存在しないということだ。


これは問題があるとかそんなレベルじゃなく大問題だ。


なんたって俺の生き死にがかかっているのだから。


「……終わった」


これがモンスターはいるが食べられる物もまたあるならこれほどにまで絶望を感じる事はなかっただろう、だって希望が持てたのだから…


だが食べられる物はない、どころか何もないなら希望すら持つ事は出来ない。だって何もないのだから……


俺はあまりの出来事に膝から崩れ落ちた…
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