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からまれました
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「今日は、ほんに美味い菓子をありがとう、これでまた寿命が延びるじゃろうて。坊の事は、他の伝手もあるし、ようよう調べてみよう。またおいで。」
「そうじゃそうじゃ、これらからはいつでも気兼ねのう遊びにおいで。菓子を用意して待っとるよ。ほほほっ。」
佐藤さんと後藤さんに見送られながら湖をあとにした。
同族喰いの『黒喰い』かぁ、そんなのいたら、僕食べられちゃったかな?
さぁ気を取り直して、次はお待ちかね冒険者ギルドだ!
受付のカウンターに、依頼ボード、横には飲食の出来る広いスペース。
ラノベ情報では、依頼を受ける朝と、帰って来る夕方が混むんだよね。
今は、お昼過ぎだし冒険者の皆さんもまばだらだ。
うんうん、それっぽい!
「夜空。私は上で納品と次の打ち合わせがあります。少し長引くと思うので、ここでお茶をして待っていて下さい。」
『ギルドの冒険者を近くで見たかったのでしょう?ふふふっ。』
わぁバレてたよ。念話でこっそり耳打ちしてくる。
さすがに一人にはさせませんよと、冒険者に相席を頼むらしい。
「A級の『早風』とお見受けする。申し訳ないが、私が戻る迄この子との相席を願いたい。」
「これは翠の賢者殿。喜んで。この『早風』承りました。」
声をかけた人は、オフ日なのか装備をつけていない、ラフなかっこで昼間からお酒を飲んでた。
装備が見れないのは、ちょっと残念だけどA級だって!
凄い!ロベリアありがとう!
何か話かけてもいいのかな?
ちょっとソワソワしちゃう。
A級なのにそんなムキムキじゃないんだなぁ、ちょっと垂れ目のアンバーの瞳が優しそうだ。
「賢者様からですよ。」給仕のお姉さんが僕の前に飲み物と木の実の焼き菓子を置いて、ウインクをくれた。
ベールはゆったりしているので、飲食するには全く問題ない。
お茶は香辛料が入ったチャイみたいだ。焼き菓子の方は、絶妙に塩加減が効いてて美味い・・むむやるな。
これはラダさんにお土産にしたい。
お代はロベリアのギルド貯金から相殺するので払わなくていいんだって。
「特別ね」と可愛くラッピングまでしてくれた。
早風が気になってソワソワしている事も、焼き菓子の味に驚いていた事も、ラッピングを喜んでいる事も、気配や機微に鋭い冒険者達には丸わかりだ。
まさか自分の行動をギルド中の皆が注視して、「ちっちゃい子可愛い」と癒されているとは、思ってもみない夜空だ。
「早風いつから子守になったんだ。」
依頼から戻ってきた風の冒険者がやって来る、ずいぶん荒んでるし依頼失敗でもしたのかな?
あれ?これってからまれてる?
わぁ!お約束だぁ。
「こちらは翠の縁者の方だ。弁えろ。」
「何が縁者だ。こんなもの被りやがって、怪しいだけじゃねーか。」
男がベールはぎ取ろうと、触れた瞬間。
―ゴトッ―
手が落ちた。
そう男の手首から先が床に落ちたのだ。
「・・うわあぁ!どうなってるんだ!」
落ちた手首の断面と、男の腕の切断面に小さな魔法陣が見える。
切断面からは血もでておらず、痛みもない様だ。ただパニックになって騒いでいる。
・・・えげつないって、これかぁ。
ベール触ったくらいで手が落ちたよ。
ロベリアったら・・。
田中さんはベールの中で大笑いだ。
精霊が姿が見えないからって笑い転げ過ぎです。
この人、これくらいで冷静さを失うって、レベルの低さが露呈しちゃてるね。
椅子から降りて、嫌々ながら手を拾い、溜息まじりに男に差し出した。
「ほら陣をあわせて。今ならまだくっつくから。・・多分次は無いからね。」
あぁ、ほら雰囲気凍っちゃったじゃん。
僕がやったみたいになってるし!
ロベリアの馬鹿!
「そうじゃそうじゃ、これらからはいつでも気兼ねのう遊びにおいで。菓子を用意して待っとるよ。ほほほっ。」
佐藤さんと後藤さんに見送られながら湖をあとにした。
同族喰いの『黒喰い』かぁ、そんなのいたら、僕食べられちゃったかな?
さぁ気を取り直して、次はお待ちかね冒険者ギルドだ!
受付のカウンターに、依頼ボード、横には飲食の出来る広いスペース。
ラノベ情報では、依頼を受ける朝と、帰って来る夕方が混むんだよね。
今は、お昼過ぎだし冒険者の皆さんもまばだらだ。
うんうん、それっぽい!
「夜空。私は上で納品と次の打ち合わせがあります。少し長引くと思うので、ここでお茶をして待っていて下さい。」
『ギルドの冒険者を近くで見たかったのでしょう?ふふふっ。』
わぁバレてたよ。念話でこっそり耳打ちしてくる。
さすがに一人にはさせませんよと、冒険者に相席を頼むらしい。
「A級の『早風』とお見受けする。申し訳ないが、私が戻る迄この子との相席を願いたい。」
「これは翠の賢者殿。喜んで。この『早風』承りました。」
声をかけた人は、オフ日なのか装備をつけていない、ラフなかっこで昼間からお酒を飲んでた。
装備が見れないのは、ちょっと残念だけどA級だって!
凄い!ロベリアありがとう!
何か話かけてもいいのかな?
ちょっとソワソワしちゃう。
A級なのにそんなムキムキじゃないんだなぁ、ちょっと垂れ目のアンバーの瞳が優しそうだ。
「賢者様からですよ。」給仕のお姉さんが僕の前に飲み物と木の実の焼き菓子を置いて、ウインクをくれた。
ベールはゆったりしているので、飲食するには全く問題ない。
お茶は香辛料が入ったチャイみたいだ。焼き菓子の方は、絶妙に塩加減が効いてて美味い・・むむやるな。
これはラダさんにお土産にしたい。
お代はロベリアのギルド貯金から相殺するので払わなくていいんだって。
「特別ね」と可愛くラッピングまでしてくれた。
早風が気になってソワソワしている事も、焼き菓子の味に驚いていた事も、ラッピングを喜んでいる事も、気配や機微に鋭い冒険者達には丸わかりだ。
まさか自分の行動をギルド中の皆が注視して、「ちっちゃい子可愛い」と癒されているとは、思ってもみない夜空だ。
「早風いつから子守になったんだ。」
依頼から戻ってきた風の冒険者がやって来る、ずいぶん荒んでるし依頼失敗でもしたのかな?
あれ?これってからまれてる?
わぁ!お約束だぁ。
「こちらは翠の縁者の方だ。弁えろ。」
「何が縁者だ。こんなもの被りやがって、怪しいだけじゃねーか。」
男がベールはぎ取ろうと、触れた瞬間。
―ゴトッ―
手が落ちた。
そう男の手首から先が床に落ちたのだ。
「・・うわあぁ!どうなってるんだ!」
落ちた手首の断面と、男の腕の切断面に小さな魔法陣が見える。
切断面からは血もでておらず、痛みもない様だ。ただパニックになって騒いでいる。
・・・えげつないって、これかぁ。
ベール触ったくらいで手が落ちたよ。
ロベリアったら・・。
田中さんはベールの中で大笑いだ。
精霊が姿が見えないからって笑い転げ過ぎです。
この人、これくらいで冷静さを失うって、レベルの低さが露呈しちゃてるね。
椅子から降りて、嫌々ながら手を拾い、溜息まじりに男に差し出した。
「ほら陣をあわせて。今ならまだくっつくから。・・多分次は無いからね。」
あぁ、ほら雰囲気凍っちゃったじゃん。
僕がやったみたいになってるし!
ロベリアの馬鹿!
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