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白水君

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「藤木さんおはよう。」

うむ。今日も姿勢がいいね守山君。

「これ昨日約束してた漫画。どれがいいか迷ってお試しに3作持ってきた。読んだことあるかな?」

律儀な守山君は3作を2巻づつ持ってきたらしい。選ぶのも楽しかったそうだ。

「どれ?あーこれ全部気になってたやつだ。ありがとう守山君。じゃ、私のお勧めと交換ね。・・ただし・・この本にはが一つだけあります。」

「注意事項?」

「そ、夜中に読むとお腹がすいて、本当に辛くなるから気を付けて。異世界料理・・例えば、コカトリスの香草焼きとかドラゴンテイルのシチューとかさ。食べたくっても、絶対食べれないし・・もう絶望感しかない。」

「くっ、くくっ。なんだよそれ・・。藤木さんだけなんじゃないの。」

食いしん坊万歳。
いーよ、我慢せずに笑ったら?

「へぇ。それ面白そう。・・僕にも貸して貰っていいかなぁ?」

ふんわり会話に入ってきたのは、同じクラスの白水君。

白水しろうず君はクラスで一番小さく華奢で、髪も肌も真っ白、目は深紅のアルビノの男の子だ。
日光に弱いらしく日傘をさして登校し、体育の授業もいつも見学。
「がんばれー。」と応援する姿は、そこいらの女子なんかより断然可愛い。

ふふっ、なんでこの学園は、こうも顔面偏差値が高いかね・・黄昏ちゃうぞぉ。

「いいよ。守山君が読んだら回すね。」

「うん。うちの父様も異世界漫画好きで一緒に読んでるんだぁ。楽しみにしてるね。」

へぇ・・金運アップのご利益で有名なあの神社のがお父様ですか・・。
白い体に深紅の目・・なる程、白水君は白蛇さんなんだね。

・・・この学園、神様も来てるんだぁ。
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