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番犬狼
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「ぐるるるるっ。なんで起こしてくれないんだ!」
「声はかけたよ。」しれっと答える姫。
おや?明らかに態度が冷たい。
「親父から聞いたぞ。ドアノックして、『起きて』・『じゃあね』この間二秒だったらしいな。そんなの声かけた事になるか!」
それは、ごもっともな言い分です。
「だから、一人で行くなって!危ないだろ!これ以上ストーカー増えたら対応しきれないぞ!どーするんだよ!」
「あー朝からキャンキャン、煩い。」
言い争いはまだ当分終わりそうにない。
「あのー、そのキャンキャンと吠えている方は、どなたですか?」
「これ?さっき話してた番犬。」
「犬じゃねぇ!俺は狼だっていってんだろ!ああん、誰だこいつ!」
「私の従妹よ。」
「げっ、環!」おっ?ひるんだぞ。
興奮気味の彼は環ちゃんに今気がついたらしい。
狼でも、苦虫噛み潰したような顔ができるもんだ、と変なところで感心した。
その一瞬、彼の尻尾が股の間に移動しかけたのを美和は見逃さなかった。
過去、どんな目に会わされたのだろうか。心中お察しいたします。
お気の毒に。
「失礼な態度をとるな。質問に質問を返すな。後、唸るな。」
すぱーんと、子気味よい音で、姫が彼の頭を平手ではたいた。
腕の振り抜き方と、スピードに迷いがない。
「ごめんね、美和ちゃん。これは同い年の兄弟で夜彦。見ての通り人狼。挨拶は。」
ほうほう、姫は、身内にはあたりがきついタイプなのね。
右側にピッタリ寄り添う姿は、兄弟というか、飼い犬とトレーナーにしか見えません。
「尾長 夜彦だ・・・よろしく・・。」
目線を外し口の中でもごもごと挨拶。
尻尾もうねうね。
くうっ、こんなデカいのに、いちいち仕草がかわいいぞ。
触りたい、抱きついて、わしゃわしゃ撫でまわしたい誘惑にかられる。
いや落ち着け、これは初対面の先輩だ。いくらなんでも失礼に当たる。
我慢だ美和。
「始めまして、藤木 美和です。よろしくお願いします。」
気を取り直して握手を求めようかなと思ったが、この状態では『お手っ』にしかならない。
危なかった、失礼どころじゃない。
気づいて良かった。
「あれ?でも、さっきお父さん、人って伺いましたが・・。」
「僕んち再婚なんだよ。夜彦は、生粋の人狼だよ。」はぁ、再婚。
「声はかけたよ。」しれっと答える姫。
おや?明らかに態度が冷たい。
「親父から聞いたぞ。ドアノックして、『起きて』・『じゃあね』この間二秒だったらしいな。そんなの声かけた事になるか!」
それは、ごもっともな言い分です。
「だから、一人で行くなって!危ないだろ!これ以上ストーカー増えたら対応しきれないぞ!どーするんだよ!」
「あー朝からキャンキャン、煩い。」
言い争いはまだ当分終わりそうにない。
「あのー、そのキャンキャンと吠えている方は、どなたですか?」
「これ?さっき話してた番犬。」
「犬じゃねぇ!俺は狼だっていってんだろ!ああん、誰だこいつ!」
「私の従妹よ。」
「げっ、環!」おっ?ひるんだぞ。
興奮気味の彼は環ちゃんに今気がついたらしい。
狼でも、苦虫噛み潰したような顔ができるもんだ、と変なところで感心した。
その一瞬、彼の尻尾が股の間に移動しかけたのを美和は見逃さなかった。
過去、どんな目に会わされたのだろうか。心中お察しいたします。
お気の毒に。
「失礼な態度をとるな。質問に質問を返すな。後、唸るな。」
すぱーんと、子気味よい音で、姫が彼の頭を平手ではたいた。
腕の振り抜き方と、スピードに迷いがない。
「ごめんね、美和ちゃん。これは同い年の兄弟で夜彦。見ての通り人狼。挨拶は。」
ほうほう、姫は、身内にはあたりがきついタイプなのね。
右側にピッタリ寄り添う姿は、兄弟というか、飼い犬とトレーナーにしか見えません。
「尾長 夜彦だ・・・よろしく・・。」
目線を外し口の中でもごもごと挨拶。
尻尾もうねうね。
くうっ、こんなデカいのに、いちいち仕草がかわいいぞ。
触りたい、抱きついて、わしゃわしゃ撫でまわしたい誘惑にかられる。
いや落ち着け、これは初対面の先輩だ。いくらなんでも失礼に当たる。
我慢だ美和。
「始めまして、藤木 美和です。よろしくお願いします。」
気を取り直して握手を求めようかなと思ったが、この状態では『お手っ』にしかならない。
危なかった、失礼どころじゃない。
気づいて良かった。
「あれ?でも、さっきお父さん、人って伺いましたが・・。」
「僕んち再婚なんだよ。夜彦は、生粋の人狼だよ。」はぁ、再婚。
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