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神様お願い

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私の失言も受けても、目元を少し細めるのみ。すぐに能面の様な、いつもの鉄壁無表情に戻ってしまったが、これでも、かなりご機嫌なのだ。

「でもね、趣味と容姿は、まったく関係ないわよ。」むむ、美人なのは否定しないのね。

「それに、ここらで美人といえば、私の事じゃないし。」はい?

次の駅に着いたら分かるわよと、思わせぶりな微笑に、またしても見とれてしまった。いかんいかん・・・。環ちゃんは何事も無かった様に、『リーマンもの』の、私の想像をはるかに越えるであろうハードな官能小説を表情一つ変えずに読み進めていく。

いやはや、昔から変わってたのは知ってたけど、こんなヒートアップしているとは・・・。
実は、環ちゃんと会うのは、本当に久しぶりなのだ。
この度、我が家の両親は、仕事の都合でそろって海外赴任となった。
それは致しかたない。
が、両親ときたら、語学が不得手だからと言う理由で、一人娘である美和だけを置いて行くという暴挙にでた。
実の娘から見ても呆れるほど今だラブラブの両親は、これ幸いに二人っきりになりたかったのが本当の理由であると確信している。
はいはい、お幸せにーだ。

赴任の間お世話になる事となった、親戚一の良識人である叔父さん夫婦が、『美和ちゃんも大変だね。』と私の頭をなでてくれた時は、不覚にも涙が出そうになった。
てな、理由で今学期から、従妹の環ちゃん宅にご厄介&転入の運びとなる。
 まぁ、人生悪い事ばかりでは無いはずだ、良し悪しは天秤で、いつか良い事がめぐって来ると私固く信じている・・・って言うか、ほんと来てくれないと困る。
神様、そこん所どうかお願いします。
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