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第六章 悲恋の始まり
告白
しおりを挟むまぁやんと舞華が出会って数日後、まぁやんは会社の会議に出席した。
議題は新店舗展開である。
社長をはじめ、重役たちも出席しての大規模な会議であった。
その結果、まぁやんの出身でもある北海道に出店することが決まった。
その計画をまぁやんが担当することになった。
そして、まぁやんは多忙を極めたが、少しの時間を舞華と会う時間にした。
まぁやんにとって、舞華と会うことが癒しとなっていた。
「まぁやん、大丈夫?疲れてない?」
「ちょっとね…でも舞華さんと話していると、なんか落ち着くんだよね」
「ふふ…私がまぁやんの癒しになってるの?嬉しい」
ふたりはまだ、お互い付き合うという言葉は出していなかった。
まぁやんは仕事が多忙な上、付き合うことに自信がなかった事、舞華は病気の身体でまぁやんに迷惑掛けたくない思いがあったからだ。
「舞華さん、俺もしかすると、北海道に帰ることになるかも」
「えっ!どうして?」
「今ね、北海道に出店を企画しているんだ。そうなると、向こうにかかりきりになっちゃうから」
「北海道かぁ…遠いね…」
「うん…遠いかぁ」
まぁやんの心の中では、舞華に好意を寄せていた。
でも『告白する』というところまで踏み切れない自分がいた。
一方、舞華も同様であった。
お互い両思いではあったが、次の一歩になかなか進めなかった。
ある日、まぁやんの元に一本の電話があった。
☎︎「龍!久々だな!元気してたか?」
☎︎「おう!元気だ!そっちは?相変わらず大変か?」
☎︎「ああ!大変だよ。今な、札幌に店出そうとしてるんだよ。そしたらそっちに帰れるな」
☎︎「へぇ~!そうか!それなら会える機会も増えるじゃんかよ」
☎︎「だな…でもな…」
☎︎「なんだよ!らしくねぇ声出して?」
まぁやんは思い切って、龍弥に相談してみる事にした。
☎︎「龍。俺な、惚れた女がいるんだ」
☎︎「ほう!お前から恋バナとはな」
☎︎「茶化すんじゃねぇよ…そっちに戻ったら会えなくなってしまうから…」
☎︎「うん。で?」
☎︎「どうしたらいい?」
☎︎「ぷっ!お前、アバウトすぎんぞ!」
☎︎「わからないんだもの」
☎︎「じゃあ整理するぞ、お前はその女が好きなんだよな?その好きっていうのはどのレベルだ?」
☎︎「どのレベル?」
☎︎「例えば『結婚したい』、『とりあえず付き合いたい』、『まぁ今の関係でいいや』だとどっちだ?」
☎︎「俺は…マジなんだ。その娘といると、安らぐんだ」
☎︎「そっか。じゃあ話は早い!告っちゃえ!」
☎︎「そんな簡単に…」
☎︎「簡単な話だよ!お前はその女が好きで、マジなんだろ?だったら告るしかないだろ?それとも何か?お前向こうから言われるの待ってるのか?それじゃあ男じゃねぇな!」
☎︎「……」
☎︎「いいか!好きな女ならば、自分からいけよ!何ビビってんだよ!振られるのが怖いとか言ってんのか?」
☎︎「告ってよぉ…関係悪くならないか…」
☎︎「それ言っちゃあ、この先何も進展しないな」
☎︎「そうだな…」
☎︎「テメェが惚れた女なら、ぜってぇに離すな、諦めるな!それが男ってもんだ」
☎︎「サンキュー!龍!スッキリしたぜ」
☎︎「健闘を祈る!」
龍弥の熱い言葉を聞いて、まぁやんは決心した。
(俺は舞華さんが好きだ!誰にも渡したくない!)
まぁやんは決意を固めて、舞華を公園に呼び出した。
「まぁやんさーん!ごめんなさい!遅くなっちゃって」
「あ…いや…大丈夫」
「ん?どうしたの?」
舞華がまぁやんの顔を覗き込んだ。
「いや…その…」
(言うんだ!勇気出せよ!)
「舞華さん、聞いてほしい話があるんだ」
「うん!いいよ」
「舞華さん、俺…舞華さんのことが…好きです!」
「えっ!」
「俺、北海道に帰るかもって話したと思うけど、俺と一緒に、北海道に来てほしいんだ!舞華さんと離れることなんて、考えたく無い。だから…」
すると舞華はまぁやんの手を握った。
「…すごく嬉しい…私も…まぁやんの事が好き!大好き!でもね…私…病気の事があるし…長く生きられないから…」
「だからさ、北海道の空気綺麗なところで、一緒に暮らさないか?もちろん、お父さんも一緒に」
「まぁやん…それって…プロポーズ?」
「…そうとってもらって構わない。舞華さんとこの数ヶ月一緒にいて、俺のそばには舞華さんが必要なんだと思った。だから…俺と一緒に…」
すると舞華はまぁやんの胸に飛び込んできた。
「まぁやん…ありがとう…私ね…憧れていたの…病気があるから諦めてた…結婚っていうこと…まぁやん。私で良かったら、よろしくお願いします」
「マジで!?」
「マジで!」
まぁやんは突然走りだして、公園の噴水に飛び込んだ!
「まぁやん!」
「わははは!やったー!やったよー!」
噴水では子供連れのお母さん達が子供たちを噴水で遊ばせていた。
その中ではしゃぐまぁやんに、小さな女の子が
「お兄ちゃん!いい事あったの?」
とまぁやんに尋ねた。
「ごめんね!おじちゃんね、あのお姉ちゃんと結婚することになったんだよ」
「わーすごいね!ママーこのお兄ちゃん、結婚するんだってー」
舞華は恥ずかしそうにまぁやんに近づいて
「まぁやん…出ようよ…」
すると周りにいたお母さんたちから盛大な拍手が!
「おめでとうございますー」
「素敵ねー」
それを受けてまぁやんは
「ありがとうございます!一生をかけて舞華を幸せにします!皆様に誓います!」
と高らかに宣言した。
「もう!まぁやんったら…うふふふ…」
そしてまぁやんは噴水から出てきて、舞華をお姫様抱っこした。
「きゃー!重いよぉ…」
「全然軽いよ!舞華さん!いや…舞華!俺が一生守ってやる!病気も含めて!お前の全てを受け入れる!」
「まぁやん…大好き」
「俺もだ!」
晴れてまぁやんと舞華は、結婚を前提にお付き合いすることになった。
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