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Scene07 殺さない殺し屋

67 面接が始まる

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「静かなる場所に静粛を」

ユキがそういうと館の扉が開く。
ユキは亜金の手を握りしめ館の中に入る。

静かな空間。
その空間は恐怖で満ちている。

亜金が感じたのはそれだけだった。
死ぬかも知れない。
でも、死んでもいい。

「怖い?」

ユキが亜金に尋ねる。

「少し」

「そかそかそか」

ユキが無邪気に笑う。

「ユキ、そいつは?」

男がひとり声をかけてくる。
亜金は驚いた。
なぜならそこに立っているのは有名なミュージシャン。
ハイジだったからだ。

「ハイジさん!」

思わず声を上げる亜金。

「なんだ?俺のこと知ってるのか?」

「はい、ロックのことはわからないですが。
 幼馴染が貴方の歌が好きで……」

「そうか、そいつはありがてぇ!」

ハイジがニッコリと笑う。

「僕、亜金っていいます」

「亜金……だな?わかった。
 コイツが新しい男か?」

ハイジの言葉にユキは頬を膨らます。

「私は、そんな女じゃないですよーだ!」

「男好きだろ?」

「うん!大好き!」

ユキが嬉しそうに笑う。

「冗談はさておき。
 コイツを新しい仲間にするのか?」

「うん、この子も人を憎んでる」

「そうか。なら仲間だ!
 見たところ匂いが違う。
 能力者か?」

「そうよ、多重デモニック」

「そうか。亜金が……」

ハイジはそういって顎に手を当てる。

「騒がしいと思ったら客人ですか?」

初老の男が3人に声をかける。

「月六さん、この子。
 面接です」

ハイジがそう言うと初老の男はすべてを納得した。

「なるほど。
 私の名前は月六と申します」

「あ、亜金です」

月六の自己紹介に亜金も返す。

「なるほどなるほど
 では、面接でございますね。
 こちらへどうぞ」

月六は頷きながら部屋の奥へと亜金を案内した。
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