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Scene04 赤ちゃんの十戒

37 私お姉ちゃんになる

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 気付いた時。
 私は眠っていた。

 目が覚めると世界は暗かった。
 夜が来たんだ。

 不安になる。
 不安で不安で怖くなる。

 私が、泣こうとするとパパが私の頭をなでてくれた。

「大丈夫。
 パパが、そばにいるから……」

 その言葉だけで安心した。
 その言葉だけで私は救われた気がした。

 だから、その後に「おやすみ」とパパに言われて、すぐに眠りに就く事が出来た。

 そんな毎日が続く。
 ママのお腹がだんだん大きくなっていく……

「ママ、お腹が大きいよ?
 病気なの?」

「違うよ……
 これは、赤ちゃんがいるの」

「赤ちゃん?」

「そう、お腹の中に赤ちゃんがいるの。
 理香もこうやって生まれてきたのよ……?」

 ママは、優しく私の頭を撫でた。

「私もママから生まれてきたの……?」

「そうよ。
 だって私は、理香のママなのだから……
 理香、ママのお腹に耳を当てごらん」

 私は、言われるがままにママのお腹に耳を当てた。

 ドックン、ドックン、ドックン。
 ママのお腹から心臓の様な音が聞こえる。

「これはなに?」

「ここに赤ちゃんがいるのよ」

「赤ちゃん?」

「そう、理香の妹よ」

「妹なの?」

「そう妹よ。
 理香は、お姉ちゃんになるの。
 お姉ちゃんになったら、妹を守らなきゃならないの」

「わかった!
 私、赤ちゃんを守る!」

 私は、ママと指きりげんまんした。

 私は、お姉ちゃんになる。
 だから、妹を守るんだ。

 何が合っても必ず守るんだ。
 それで、ママとパパが幸せになるのなら……
 私は、守る。
 絶対に守る。

「じゃ、お姉ちゃん!」

「はい!」

「今日は、ママのお料理のお手伝いをしてください!」

「お手伝い?」

「そう!
 ホームプレートで、ホットケーキを一緒に作りましょう」

「ホットケーキ!?」

 私の胸が躍る。
 何故なら、私はケーキの次にホットケーキを食べるのが好きだから……
 つくづく思う。
 私は、子供なんだと……

 ホットケーキを食べ終えた私は、ご機嫌。

 お腹いっぱい。
 しあわせいっぱい。
 笑顔もいっぱい。

 妹が、出来たら一緒にホットケーキを食べよう。
 そして、一緒に笑って遊ぶんだ。

 つらいことは、半分。
 楽しいことは、2人分。

 きっと楽しいことが始まる。
 それから、数ヶ月が過ぎた。
 ママのお腹が、びっくりする位、大きくなっていた。

「ママ、お腹大丈夫?」

「うん。
 大丈夫よ」

 ママが、ニッコリと笑い私の頭を撫でる。

「本当に?」

「ええ……」

 ママの表情は、少し辛そう……

「そろそろ妹が、産まれるかもしれないわよ」

「え?」

「理香、お姉ちゃんになるんだよ」

「うん!」

 お姉ちゃんの意味は、まだわからない。
 だけど、私は、お姉ちゃんになるんだ。
 しっかりしなくちゃいけないんだ。

 私は、そう思い大きな声で返事をした。

「理香。
 良い子だ!」

 ママは、そう言って私を抱きしめた。

 赤ちゃんが、産まれたのは、それから数日後のことだ。
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