～マーメイド～

Scene09 カウントダウン

127 明日起きたなら

「俺は俺のケジメをつけに来た」

七道がそう言って小さく笑う。

「なに？自殺でもするの？
　自殺をしても貴方が私を……何の罪もない女性をレイプした事実は変わらないわよ！」

七道は小さく息を吐く。

「ちなみに俺は誰もレイプはしていない」

「何を言っているの？貴方！
　DNA鑑定が嘘をついているとでも？」

「……本当に気づいていないの？」

そう言って現れたのは翼だった。

「貴方は翼！
　確か七道に殺されたんじゃ……」

「生きているよ。
　本当に今の七道さんを見て気づかない？
　それでも本当に七道さんが玲奈さんをレイプしたと思うの？」

「何を言っているの？
　私は鮮明に覚えている！七道！貴方の顔を！
　17歳？そんな少年法で守られて！」

「そこだよ、玲奈さん。
　人間は歳を取る。
　でも、七道さんは？貴方の記憶のままの姿じゃないかな？」

「あ……」

玲奈がなにかに気づく。

「でもDNA鑑定では……」

「クローンだ」

真・モトフミがそう言ってため息を吐く。

「そんな……」

玲奈が戸惑う。
そして翼が言う。

「混乱するよね。
　僕も理解できなかった。
　でも、知ったんだ。
　僕はその七道さんのクローンの子供だってことを。
　だから僕はウイルスとかの耐性はあるけれど死ぬ」

「そんなだったら私たちエルフは……」

「やはりそうだったのですね」

月六が現れる。

「月六さん！貴方には待機を命じてたはずです」

「そうも言ってられません。
　ロリ・キラー、ショタ・キラー。
　大地真櫻がテオスに拘束されました」

「え？」

「私はなんとか追手を払いましたが彼らは――」

よく見ると月六の体は傷だらけだった。
どれだけ大変な思いをしてここに気たかは目にも見える形であった。