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Scene08 デモニックになった日
110 忘れない1日へ
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産まれたての赤子には視力はない。
何も見えない。
感じるのは遠くなる母の音。
聞こえたはずの母の呼応。
聞こえなくな母の鼓動。
トクンとひとつ。
命の太鼓を叩く。
でも、それが精一杯。
赤ちゃんが泣く。
力弱く。
小さく泣く。
誰かに届くのか。
誰に届くのか。
それはわからない。
ただ赤ちゃんが泣いた。
それだけなのだ。
「私に力があれば……」
紫が涙を零す。
するとサッチャーが現れる。
「何の力だい?」
「この子の病気を治す力……」
紫が涙をこらえる。
「この子には死の運命しかない」
「そんなこというかな……」
「運命は変えられない」
サッチャーは冷たく言う。
でも小さく笑う。
小さく笑ったあと言葉を続ける。
「だけどその運命をかき乱し暴れることは出来るんだよ」
サッチャーの目が青く光る。
「え?」
「さぁ、君が求める力はなんだい?」
「私が求める力……」
紫が目を閉じる。
「ゆかりさん、外に出ましょう」
「え?」
戸惑うゆかり。
そして医師の方を見るゆかり。
「赤ちゃんに外の空気をすわしてあげてください。
ずっと病院の空気だけというのも味気ないですし」
医師の目が涙ぐむ。
何も見えない。
感じるのは遠くなる母の音。
聞こえたはずの母の呼応。
聞こえなくな母の鼓動。
トクンとひとつ。
命の太鼓を叩く。
でも、それが精一杯。
赤ちゃんが泣く。
力弱く。
小さく泣く。
誰かに届くのか。
誰に届くのか。
それはわからない。
ただ赤ちゃんが泣いた。
それだけなのだ。
「私に力があれば……」
紫が涙を零す。
するとサッチャーが現れる。
「何の力だい?」
「この子の病気を治す力……」
紫が涙をこらえる。
「この子には死の運命しかない」
「そんなこというかな……」
「運命は変えられない」
サッチャーは冷たく言う。
でも小さく笑う。
小さく笑ったあと言葉を続ける。
「だけどその運命をかき乱し暴れることは出来るんだよ」
サッチャーの目が青く光る。
「え?」
「さぁ、君が求める力はなんだい?」
「私が求める力……」
紫が目を閉じる。
「ゆかりさん、外に出ましょう」
「え?」
戸惑うゆかり。
そして医師の方を見るゆかり。
「赤ちゃんに外の空気をすわしてあげてください。
ずっと病院の空気だけというのも味気ないですし」
医師の目が涙ぐむ。
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