~マーメイド~

はらぺこおねこ。

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Scene08 デモニックになった日

109 信じてたくて

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2023年12月22日午後17時38分

ゆかりは特別警護室に移動しそこで産気づいた。
慌てる紫。
紫はナースコールを鳴らし看護師を呼び状況を説明した。

「はい、すぐに向かうね」

担当看護師は、そう言って病室に向かってきてくれた。
そして状況を考慮しそこで出産することになった。

「あの私は……?」

「貴方は着替えて、そこで見てなさい」

助産師がそういった。

「え?」

看護師がそう言って紫を更衣室に連れていき服を着替えさせる。
そして……
紫は出産に立ち会うことになった。

紫にはそれが何を意味するのかわからなかった。
ただ必死に産もうとするゆかりを見て何かを感じた。

限られた命の子供。
障害を持って産まれる。

それを意味すること。
産まれる意味はあるのか?
生きるとは何なのか……
いろんなことが頭をよぎる。

力むゆかりと見ることしか出来ない自分。
考える時間なんていくらでもあった。

1時間、2時間。

苦しむゆかりと汗を拭き励ます助産師。

「頭が見えてきましたよ」

助産師の言葉にゆかりはあと一踏ん張り。

「元気な赤ちゃんですよ」

そう言われるその時を願って。

自分の中から何かがすっと出るのを感じた。

「赤ちゃん、産まれましたよ」

ゆかりは安心した。

「あーあーあー」

赤ちゃんが泣く。

思っていた鳴き声をは違う声に紫は戸惑う。

助産師は慣れた手つきで赤ちゃんを処置した。

ゆかりは虚ろな目でそれを見たあと、紫を見たあと安心した表情を浮かべた。

紫は不安しかない。
わかってはいた。
知識としてネットで調べもした。

赤ちゃんの目は、顔の真ん中にひとつ。
鼻はなく。
穴が空いているのみ。
口はあった。

それを見た紫は泣きそうになった。
でも自分には泣く資格はない。

ゆかりが安心した顔でその赤子を見ていたからだ。
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