~マーメイド~

はらぺこおねこ。

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Scene08 デモニックになった日

108 真実はいつもひとつとは限らない

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「サッチャーくん……?」

驚く壱。

「セロくんの質問に答えるならば、能力ギフトはひとりひとつじゃないし、そんな決まりはない」

「え?」

セロが驚く。

「そして何かを失って手に入れる呪われた能力デモニック
 突然なにかに目覚める祝福された能力ギフテッド
 それは本来人が持っている力に過ぎない」

「僕にも魔法が使えるってことかい?」

壱がそういうとサッチャーが答える。

「コツを使えば右手に炎」

サッチャーは右手に火を出し。

「左手に氷」

サッチャーは左手に氷を出す。

「その力は……」

ピノは何かをいいかける。
それをサッチャーが防ぐかのように言葉を覆いかける。

「まぁコツを掴めば100個や200個の魔法簡単さ」

「そんなはず……」

「そうそれは本来あったら駄目なことだ。
 だけど。
 人はマーメイドとエルフを作ってしまった。
 その事により本来、使えるはずもない。
 脳に封印されてしまっていた力が開放されてしまったのだ。
 忘れていた力を思い出す。
 それがテオスが与えたとしている祝福された能力ギフテッドだ」

「じゃ、呪われた能力デモニックというのは?」

「それはマーメイドに関連している。
 何かを失いそこの悲しみで気づくこと。
 それがマーメイド……
 遺伝子操作で誕生したなにかによって脳が刺激を受け力を授かる。
 いずれにしてもきっかけがないと覚醒しないけどね」

サッチャーがそう言って笑う。

「じゃ、君も人なの?」

壱はどうしてそれを聞いたのかわからない。
するとサッチャーが笑う。

「僕は神さ」

「え?」

ピノが驚く・

「ピノさん。
 僕は君を探してたんだよ」

「……」

黙るピノ。

「まさか『帰ろう』とか言わないよね?
 そしてピノを連れ帰ろうとか――」

壱がそういうとサッチャーが口をとがらせる。

「ピノさんが帰るのは君の家では?
 まさか僕に連れて帰れとか言わないよね?」

「いや、流れ的に……」

「ピノさんはいろんな研究所をたらい回しにされ。
 その力を遺伝子を利用され続けてきた。
 マーメイド研究所。エルフ。
 そして許せないのがテオス。
 彼はピノさんを傷つけすぎた」

「ピノは……なにものなの?」

「君は海の神の娘と大地の神の子供。
 だから君はマーメイドというより神に近い」

「マーメイドっていったい」

「マーメイドは神の肉を食べて不老の力を得た八百比丘尼が自分の遺伝子を利用し作られた存在を指す。
 エルフとは、八百比丘尼の息子、桐島七道のクローンに犯された神無月玲奈が自らの体内に残された遺伝子を元に作った存在なのさ」

壱は桐島七道という名前を聞いて心に衝撃が走る。
なぜなら舟橋菜々を犯し殺した男の名前だからである。
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