～マーメイド～

Scene05 夢はでっかい宝島

51 逃げるが価値

「さぁ！狩りの時間よ！」

紫が笑う。

「でも今回は逃げちゃうよ」

秋夫はそういってそのまま去った。

「ちぇーつまんないなぁー」

紫は大きくため息を吐いた。

ある夜。
ある場所。
あるところの物語。

そこにあるのは希望の場所。
どこにあるのか絶望の場所。

むかしむかしあるところに。

そんなぼのぼのとした世界になればいい。
でも、そんな世界にはならない。
でも、そんな世界はやってこない。

おじいさんとおばあさんはどの時代にもいる。
あるところだけではない。
どこにでもいる。

そんな世界。

「壱ー！」

ピノが壱の名前を呼ぶ。

「はいはい」

壱が軽く返事する。

「今日はね一星球探そうよ！
　千里の道も一歩から！っていうよ！」

「そうだね、ちなみにいーしんちゅうって一だっけ？」

「そうだよ！一星球！見つかるまで二星球は見つけないの！」

「そっか」

ずっとみつからない気がする。
壱はそんなことを思った。