子どもができた

第10話 幸せの形

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「隆君は、私の部屋に来てー」

港は、そう言うと俺の手を引っ張った。

「あのね、あのね、隆君にね
　いっぱい、いっぱい、見てもらいたいものがあるの！」

港は嬉しそうに俺を自分の部屋に迎え入れてくれた。
港の部屋はきちんと整理されていて、タンスとベッドの上にはぬいぐるみが飾られていた。

「そこに座って」

俺は言われるままに、港に渡されたクッションの上に座った。

「えっとね、えっとね」

港は、そう言いながらアルバムを広げた。

「じゃーん。
　私のアルバムだよー」

幼稚園の写真、小学生の修学旅行、中学の頃の写真、高校の頃の写真、大学の頃の写真、成人式の写真、何故か、小学生の頃以前の写真は無かったが、俺はあえて聞かなかった。

人には色々あるだろうし…
聞かれたくない事もね…

途中、港の母親が入ってきて、茶菓子と紅茶を出してくれた。

二人で、美味しいねと言いながら食べた。

「これね、滑り台から落ちて怪我をしたときの写真だよ」

そこには、頭を擦りむき泣いている港の姿が写されていた。

「ドロドロだね」

「うん
　この時の事、よく覚えているよ
　物凄く痛かったの」

「何歳位？
　9歳の頃かなー」

「へぇ～」

「9歳かぁ～
　その頃、俺は何をしていただろう？」

「あ、今度、隆君のアルバムも見せてー」

「あ、ごめん
　アルバムは実家にあるんだ」

「そうなの？残念」

「……」

「……」

「って、俺も港ちゃんを親に紹介しなきゃ」

「あ、そうだねー」

「その時にアルバムを見せるね」

「うん!」