子どもができた

第09章 和解

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「決して安直な理由で決めた訳じゃないですよ。
　それに、護りたいって本気で思うんです」

「そうか……」

「よくわからないんですけどね……
　あはは」

「わからないじゃ、困るがね」

父親はそう言うと苦笑いを浮かべた。
そりゃそうだよな
これから娘を渡す相手がこんなに頼りない返事をするのだから……

「好きだけじゃ、やっていけないものだよ、結婚というのは……」

「その辺は、なんとなくわかります」

「もし、自分の子が出来たとき、今、お腹にいる子も同じように愛せる自信はあるのかい？」

「あります。
　と、言うより俺、子供が出来ないんですよ」

「そうなのか……」

「だから、港さんに会うまで結婚とか考えた事がないんですよ」

父親は、一呼吸入れて言った。

「娘を君に任せても大丈夫かね？
　あの子は、一度言い出すと決して変えない。
　精神的にもまだまだ未熟だ。
　それでも、君はあの子を愛せると言い切れるかね？」

「はい」

俺は、自信を持って返事をした。

「わかった。
　君に任せよう」

父親は、ニッコリと笑った。

「不束な娘と孫をよろしく頼む。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

俺は、軽くお辞儀した。

「そろそろ戻るか」

父親は、そう言うと席を立った。
俺達は、港達が待つ待合室に向かった。