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Scene.02 影のない男

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 ――近藤寿司

「ここが、寿司屋ですか?」

 ブリ男が不満そうな顔を浮かべる。

「ん?なんか問題あるか?」

 無が、ブリ男に尋ねる。

「回っていないじゃないですか?」

「え?」

 早良と無が声を出して驚き少しショックを受ける。

「ん?お前らどうした?」

 清空が、ふたりに声をかける。

「ブリ男さん、それ本気で言ってる?」

 ボクが、ブリ男に尋ねる。

「ん?なにかおかしいことでも言いましたか?
 あ、高級寿司店じゃないので機械を導入する資金がないとかですか?」

 ブリ男が、そう言うと無が言葉を失う。
 すると無の親父さんが声をかける。

「無、おかえり!
 手巻き寿司の準備なら済んでんぞ!
 奥の部屋で母さんが待っている。
 早く行ってやれ!」

「ああ……
 親父、サンキューな!」

 無が、ニッコリと笑うとボクが軽く頭を下げる。

「あ、あの……
 お久しぶりです」

「ああ、ボクくん久しぶりだな」

 親父さんが、ニッコリと笑うとボクはうなずく。

「はい……」

「さぁ!
 今日は、手巻き寿司を……って、女の子がいるのか?
 ふたりも!」

「おう!
 親父さん、こんばんは!」

 清空が、元気よく挨拶をした。
 そして、早良も照れ笑いを浮かべながら挨拶をする。

「は、はじめまして……」

「めんこいお嬢ちゃんたちだねぇ……」

 そう言って無の母親が、姿を表す。

「あ、近藤くんの母上殿でございますか?」

 ブリ男が、ニッコリと白い歯を見せる。

「あら?新しいお友だち?」

「はい。
 鰤谷ブリ男と申します」

「ブリ男くんね。
 いい男じゃない」

「ありがとうございます。
 ときにご婦人……
 このお寿司屋さんは回らないのですか?」

 ブリ男が、そう尋ねると無の母親は少し困った顔をした。

「寿司は回らねぇよ」

 親父さんが、少し機嫌が悪そうな顔を擦る。

「ほう……」

「寿司が回ったら食べづらいだろう?」

 親父さんが、そう言うとブリ男は納得した。

「なるほど……
 確かに食べにくいですね」

「って、信じるのかよ」

 無が、ため息をつくと親父さんが無に小さな声で尋ねる。

「この子、外人さんか?」

 すると無が困った顔をするとボクが代わりに答える。

「日本人じゃないです」

「なんだ……日本人じゃないのか。
 そりゃ仕方がないな!」

 親父さんは、そう言うと豪快に笑った。
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