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03 バケツのお月さまひとつ

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 ところで皆さま。
 魔王という存在をご存知でしょうか?
 え?悪さをして世界を滅ぼそうとする邪悪な存在?
 いえ、違います。
 そういう魔王もいます。
 殺すことが快楽にしており、人だけでなく仲間までも殺す魔王もいます。
 でも、それはほんの一握りの存在なんです。
 この世界の人間は、約75億人と言われています。
 それに対し、魔界に住む魔族の数は77億を超えていると言われています。
 ちなみに神族の数は80億、天使族の数は77億です。
 現在の状況ではこの世界の人間は数で負けています。
 魔族と人間は現在協力しないと両方共滅んでしまいます。
 なので、最初は仕方がなく手を組んでいたのですが……
 魔族は、人々の脆さを知り何故か護ってあげたくなる存在になり。
 人は、魔族の寂しがりやな部分に共感しそばにいたいと思えるようになりました。

 そう、柊 万桜もそのうちのひとりです。
 万桜の父親は、魔王の中の最古の魔王サタンです。
 サタンにとって万桜は、7番目の娘です。
 それは、もう溺愛され育ちました。
 そんな万桜が、未来の勇者候補を見るため人間界に舞い降りました。

「よいっしょっと!」

 すると目の前で服が乱れ倒れている少女がいました。
 その場で俯いている天使とも魔族とも神族とも違う魔力。
 もちろん人間の魔力ではありません。

 万桜は姿を消し亜金の背後に回ります。

「なにかな?」

 亜金は冷静に頷きます。

「アナタは誰?この周りの子たちは、アナタがやったの?」

「万桜ちゃん」

 ライセンが万桜の方を見ます。

「あれ?ライセンさん?」

 万桜は、亜金からゆっくりと離れます。

「えっと私、なんかお邪魔だったかな?
 えっと、君もごめんね」

 万桜は気まずそうに笑った。

「えっとアナタは?」

「私は、勇者志願の柊 万桜だよ」

「万桜さんか……
 僕の名前は、亜金だよ」

「で、亜金くんこの状況を説明してくれるかな?」



 亜金は、事情を万桜に説明しました。
 情報は情け深く報告すること
 それがこの世界の掟なのです。
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