嘘恋

02 5月3日

22

　なにをしている。
　なにをしているんだ僕は……
　折角女の子とのデートだったんだぞ？
　生まれてはじめてのデートだったんだぞ？
　僕は、それから逃げた。
　でも、怖いんだ。
　優しくされるのが……
　だって怖いんだ。
　誰かを好きになるのが……
　だから、去るんだ。
　好きになってしまう前に……

　僕は走った。
　走って家に帰った。

　人の手って温かいんだな。
　はじめての感触だったな。
　でも、仕方がないよね。
　僕は身も心もバケモノ。
　好きって気持ちを持つこと自体許されない。
　だってそうだろう？
　人を好きになるって誰かに迷惑をかけることなんだ。
　僕にとって好きになるって怖がられることなんだ。
　好きになりそうな人とは距離を置く。
　嫌われたくないから……

　僕はベッドに横になる。

　もしも僕が人間なのなら……
　もっと普通だったなのなら……
　楽しい一日になったのかな？
　僕は自分が普通でないことを呪い。
　普通な人のことを呪った。

　みんなずるい。
　あんな暖かい感触を普通に味わい。
　当たり前のように生きていく……
　本当にずるいや……