嘘恋

01 チェーン電話

04

　再び眠ろうとしたとき、僕の携帯が鳴った。

　誰だ……
　こんな時間に……
　相手は非通知。
　でも、とりあえず出てみた。

「出会いがない貴方にビックなチャンス」

　プチ。
　僕は無言で電話を切った。
　チェーンメールでよくある内容だったな。
　チェーンメールならずチェーン電話？
　どちらにしろ、鬱陶しいな……

　また、非通知からの電話だ……
　無視しよう。

　電話が唸っては途絶え響いては途絶え。
　繰り返すこと30分。
　しつこいな……

　はぁ……
　出よう。
　なんのようかわからないけど電話に出て直接断ろう。

「もしもし」

「どうして、もっと早く出てくれないんですか？」

　さっきと同じ若い女の人の声が聞こえる。
　今にも泣きそうな声だ。
　ちょっと可愛い声だ。
　でも、なんだかちょっと面倒臭いな……

「……切りますね」

「ちょっと待って下さい！」

「なに？」

「出会いの無いあなたにビックなチャンスを！」

「出会いが無いって、どうしてわかるの？」

「え？」

「だから、僕に出会いが無いってどうして思うの？」