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Scene.02 漁猫

24 それをやったら退場

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「あとひとり!あとひとり!」

葉月の心が踊る。

「あとひとり!あとひとり!」

蜜柑の心も踊る。
でも峰子がそれに釘を差した。

「それ、応援団が甲子園でやったら責任者が始末書を書くことになるからね」

「ええ……」

葉月と蜜柑がしょんぼりとしぼんだ。。
そんなふたりをみて峰子が言う。

「でも大丈夫!私達は軽音部だから!」

「おお!!!!」

葉月の目に輝きが生まれる。

「でも私達、甲子園であとひとりコールが歌えないってことですよね?」

蜜柑の目が暗くなる。

「ほら、違う歌を歌いましょう」

「……はい」

蜜柑の元気が回復しない。

「アイスクリーム食べない?
 私、奢っちゃう」

「……」

「ね?」

「しろいくま……いいですか?」

「え?」

「しろいアイス……みかん入っているアイス」

「いいけど、それだったらガッツリみかんでもいいんじゃ……?」

すると葉月が提案する。

「みかんアイス選手権をしない?」

「おお!!?」

蜜柑のテンションがあがる。

「軽音部の始動は、みかんで始まるのだ!」

葉月の言葉に蜜柑は釘付けになった。

こうして軽音部の第一歩はみかんからはじまったのだった。

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