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Scene05 かなしみよこんにちわ

99 生きている

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「では、諸君!」

部長の凰が部員を集める。

「部長なに?
 極秘おにぎりパンの開発で忙しいんだけど?」

華織がそんなことをいう。

みんな恐怖でおののいた。

「……聞かなかったことにしよう」

鋼のメンタルを持つ凰に恋次はある意味尊敬した。

「ツッコんでくれないの?」

「僕の熱々のつくね棒をつっこもうか?」

凰の言葉に華織は驚く。

「拓、分雨。
 華織さんを押さえて」

凰はそう指示を出す。

「華織さん、口をあけるんだ」

「い、いや……
 それは……だめ」

華織は涙目で拒否をする。

「待ってねもうすぐで自慢のつくね棒が焼けるから。
 あっつあっつのほっくほっくの……
 つくね棒を……」

「口を開けさせて待たせるなんて!!!」

華織は全力で拒否をする。

「さぁ、焼けたよ。
 可愛い顔につくね棒を当てられたくなかったら……」

「そんなの芸人の仕事だもん!
 私の仕事は世界一のおにぎりパンを作ることだもん!」

華織の言葉虚しく。
華織の口の中にはつくね棒が収まった。

「さぁじっくり味わえ」

「!!!?!?!!!」

華織はなにかを思いつく。

「やばい。
 逃げるぞ」

今度は凰が恐怖におののく。

「逃さないよ」

華織が凰をつかむ。
頭を鷲掴み。

「あ……」

「あなたのハートを鷲掴み!」

凰は周りを見る。
恋次以外は恐怖している。

「美味しいおにぎりパン作るね」

華織の顔はどこまでも怖かった。
そして嬉しそうだった。

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