上 下
23 / 186
Scene02 そんなこんなで卒業式

23 ざわわなパンチ

しおりを挟む
「おいおい。
 釜戸の目的はこっちだろ?」

百道がそう言って恋次を引っ張る。

「お?お前が未来のチャンピオンか?」

滋がそういうと百道が笑う。

「俺がチャンピオンだ」

「まぁ、頑張れや。
 レンレンも配信楽しみにしてるからな」

「ありがとう」

恋次は軽く頭を下げるとそのまま恋次に引っ張られた。
ジムの中に入るとクラッシックが流れていた。
静かな空間。
でも殺気橋ってない。
小さな優しい空間。

恋次は思った。
この空気でボクシングできるのかと。

「……」

老人が恋次を見ている。

「じいちゃん。
 見込みの有りそうなやつ連れてきたぞ」

「……そうか」

「ちょっと見てくれよ」

百道が恋次の腕を上げる。

「……そうか」

老人は小さくうなずいた。

「えっと」

恋次はどうしていいかわからない。

「ちょっとこれに一発入れてみろ」

老人がそう言うと恋次は小さくパンチをした。

「えい」

老人の目が優しくなる。

「優しいパンチだな」

「……ごめんなさい」

恋次は小さく謝った。
しおりを挟む

処理中です...