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「思い出を作ろうね。」

深雪は、そう言うと俺の手を引っ張り夜行バスへと向かった。

いつも以上にはしゃぎ。
いつも以上に甘えてきた。

一生懸命元気付けようとしてくれる気持ちが痛かった。
そして、すぐにそれが、顔に出てしまう自分が情けなかった。

「伸二?大丈夫だよ。大丈夫」

その度に深雪は、そう言って俺を励ました。
そして、引っ張られやってきた先は・・・

景色が良く見える見覚えのある高い丘だった。

「ここから見える景色には、家やビルしかないけれど・・・
 その家やビルの中には、色んな人が居るんだよね」

深雪は何を言っているのだろう・・・

「その人の中には、色んな事をやり直したくても・・・
 どんなに頑張ってもやり直す事が出来ない人も居る。」

「でも、伸二は違うんだよね?」

「・・・え?」

「時間を戻れる薬、作ったんでしょ?
 それで、私を助けてくれたんだよね?」

「ああ・・・
 ってか、信じてくれてたのか??」

「あはは・・・
 伸二との付き合い長いもん。
 嘘をついているかいないかなんてすぐにわかるよ。」

深雪はニコリと笑い言葉を続けた。
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